北陸新幹線の福井開業が1年後に迫り、福井では“おもてなし”の機運が高まっていて、その動きはラーメン業界でも進んでいる。福井名物に“ラーメン”が加わる日を目指し、理想の素材を追求し続けるラーメン店を取材した。

食材に並々ならぬこだわり

福井市にあるラーメン店「まほろば」。ミシュランガイド北陸2021で「価格以上に満足感が得られるお店」に与えられるビブグルマンを、県内のラーメン店で唯一獲得した。

ミシュラン掲載の「まほろば」
ミシュラン掲載の「まほろば」
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訪れた客は「多い時は週2回来ている」や「今まで食べたラーメンの中で一番おいしかった。また来たいです」と笑顔で話す。

看板メニューは「醤油味のらぁ麺(800円)」
看板メニューは「醤油味のらぁ麺(800円)」

店の看板メニューは「醤油味のらぁ麺(800円)」だ。スープに使用するのは水、鶏、醤油(しょうゆ)のみというシンプルを追求した一杯となっている。

シンプルを追求した一杯
シンプルを追求した一杯

店主の青山さんは、食材に並々ならぬこだわりをもっている。使用するのは、一般的な流通網には乗らず、なかなか手に入らない貴重な食材ばかり。「これだ!」と思った食材を手に入れるためには、日本各地の生産者の元を何度も訪ねて入手する。

「まほろば」の店主・青山力さん
「まほろば」の店主・青山力さん

「まほろば」青山力店主:
日本各地にはいい食材があるので、その素晴らしい生産者に会いに行けるのも楽しみの一つ。自分たちがラーメンを続けてこれたのも、ひとえにご来店いただけるお客さまのおかげなので、精一杯やれることが幸せです

養鶏場と共同で“卵”を開発

店内のピークが過ぎたころ、青山さんが福井市の養鶏場を訪れた。世界一おいしい卵をつくろうと、数年前からこの養鶏場と卵の共同開発を始めた。

(右)養鶏場・小林英樹代表
(右)養鶏場・小林英樹代表

養鶏場・小林英樹代表:
青山さんは全国の鶏と卵を自分の目で見て、全国を回ってきた方。その方が一緒にやろうと言ってきてくれた時は正直うれしかったし、タッグを組めばいいものができるだろうと思った

青山さんの店で使っている最高級の煮干しがエサ
青山さんの店で使っている最高級の煮干しがエサ

2人の職人がたどり着いたのが、純国産の品種「ゴトウモミジ」の卵だった。広々とした鶏舎で飼育し、エサには青山さんの店で使っている最高級の煮干しを与えた。採算度外視で味を追求。数年にわたって試行錯誤を繰り返し、最近理想とする卵に近づいてきたという。

理想の卵に自信
理想の卵に自信

「まほろば」青山力店主:
とんでもない卵ができたなと思って。全国の卵を食べ比べさせてもらって、その中でも抜群にうまいと自信を持ってお伝えできる

卵が主役「平飼い鶏の卵まぜそば(850円)」
卵が主役「平飼い鶏の卵まぜそば(850円)」

その卵を使ったメニューが、2月から夜限定で提供されている「平飼い鶏の卵まぜそば(850円)」だ。

モチモチの太麺に卵が絡みつく
モチモチの太麺に卵が絡みつく

卵を主役にした一品で、モチモチの太麺に卵と自家製の醤油ダレを絡めて食べるという、シンプルな一杯。そしてシンプルだからこそ、卵の圧倒的なおいしさを味わうことができるという。

「気軽に手が届くラーメンだからこそ」

提供を始めると、常連客を中心にリピーターが続出し、売り切れる日もある。

客:
普通の卵よりも味が濃い感じ。黄身が濃厚でとてもおいしい

客:
食べたあとにすぐに食べたくなる味でした。店長のこだわりがすごいと思います。そこまでやるか、みたいな

青山さんがここまで食材にこだわるのには、「誰もが気軽に手が届くラーメンだからこそ、多くのお客さんにおいしい食材の存在を伝えることができる」という考えからだ。

「まほろば」青山力店主:
残り1年で北陸新幹線が開業する。多くの方に福井に来てもらって、めちゃくちゃおいしい卵などを知ってほしい。そして、この福井が盛り上がってくれたら一番うれしい

福井名物にラーメンが加わる日を目指して、青山さんは素材の味が伝わるラーメンを追求し続けている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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