東日本大震災から12年を迎えた3月11日、追悼のイルミネーションが岩手・陸前高田市で行われた。この催しは亡くなった友人のためにと同級生が2013年から始め、その思いは世代を超えてつむがれている。

1人の友人への追悼が広がり

3月11日、陸前高田市で行われた市民手作りの「つむぐイルミネーション」は、2023年で10回目を迎えた。

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会場にはこれまでで最も多い約1,200個のLEDキャンドルが並び、「つむぐ」の文字が浮かび上がった。

つむぐ実行委員会委員長の松村幸祈さん(37)は、「たくさんの人たちの力を借りてやってきてよかった」と話す。

1人の友人への思いが、この催しを始めたきっかけだった。

震災当時25歳だった菊池勇輝さんは、消防団員として活動中に津波の犠牲になった。

2014年のつむぐイルミネーション
2014年のつむぐイルミネーション

松村さんたち同級生は菊池さんへの追悼と、光を失った街に明かりを灯したいとの思いを込めて、2013年からこのイルミネーションを始めた。

一人一人が思いを込めてつくったキャンドルの瓶
一人一人が思いを込めてつくったキャンドルの瓶

その思いは徐々に広がり、今回は地元の小・中・高校5校が参加。キャンドルの瓶の一つ一つには子どもたちのメッセージが込められている。
米崎小4年生の児童は「キャンドルを見て、明るい生活になってほしい」と話す。

実行委員会以外にも多くの人たちがイルミネーションの準備を
実行委員会以外にも多くの人たちがイルミネーションの準備を

今回は実行委員会のメンバーのほかに、東北大学の学生や高田高校の生徒合わせて20人ほどが準備にあたった。

つむがれる3.11への思い

3月11日。
暗くなると、熊本地震で被災したトランペット奏者の演奏があたりに響き渡った。

亡くなった菊池さんの父・純一さん:
12年たって、やっと普通に戻りつつあるのかな。勇輝だけじゃなくて、みんなが亡くなってるので、元気にやってる姿を見せたくてずっとやってきたので、それが伝わると良いなと思う

イルミネーションをみる子どもたち
イルミネーションをみる子どもたち

震災の記憶がない子どもたちも、それぞれの思いを胸に光を見つめていた。

震災で祖父母亡くした中学生:
すごくきれいだと思う。(震災は)忘れちゃいけないことだし、普通に生活できていることはすごいこと。大事な日は「ありがとう」と感謝を伝えることも大切だと思う

つむぐ実行委員会・松村幸祈さん:
震災や陸前高田への思いは変わっていくかもしれないが、みんなで力合わせて、力を貸してもらいながら、これからも続けていきたい

亡き友への思いから始まったイルミネーション。
地域や年代を超えて人々の思いを温かくつむいでいる。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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