スポーツ名門校は、日本を代表するアスリートたちを数多く輩出してきた。
3月19日の「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)は2時間SP。ボクシング・井上尚弥選手のカート詰め放題と名門校が全国大会へ挑む裏側を密着した2本立てを放送。
「スポーツ名門校・全国大会の裏側に密着!SP」では、開志国際高校バスケ部で活躍する3年生の介川アンソニー翔選手と総監督・富樫英樹さん、東福岡高校バレー部出身の永露元稀選手、八王子実践高校バレー部出身の狩野舞子さん、共栄学園バレー部出身の浦田聖子さん、仙台育英学園高校バレー部出身の大友愛さんらがスタジオに登場した。
娘の頑張りに涙する大友愛
東京・共栄学園高校は、女子バレー日本代表の主力として君臨した益子直美さん、ビーチバレーでも活躍した浦田さんらあまたの名選手を輩出。
2度の春高制覇を誇る女子バレーの名門だ。その女子バレー部が春高へ練習にいそしむ姿を追うと、生徒のみならず、保護者もサポートに奮闘していた。
共栄学園の注目は、1年生の秋本美空選手。身長はチームで最も高い183センチ。

彼女の母親はロンドン五輪で銅メダルを獲得した大友さん。「初めての春高なので、全力で元気にやりたい」と意気込む秋本選手は、U-18の日本代表にも選ばれた日本バレー界期待の逸材だ。
日本一を目指すため、練習は年末年始返上で行われた。都内の学校ながら春高を間近に控えると近くのホテルで合宿。学校とホテルの送迎は、3年生の保護者の運転で、保護者らも年末年始返上でサポートし続けていた。
今年の春高は準々決勝まで無観客開催だったため、保護者らは近くの駐車場からネット中継で応援。
共栄学園は春高で「試合出場経験がなくても3年生は絶対に出場」というルールがあり、どんな試合展開であろうと1度は3年生全員が試合に出るのが伝統。年によってはマネージャーが出場したこともあるという。
初戦はエースの秋本選手を中心に得点を重ね、見事に勝利。その後も順調に勝ち進むが、ベスト4をかけた準々決勝の対戦校は世代別の日本代表を5人擁する、大阪・金蘭会高校。
ここまで1セットも失っていなかった金蘭会から先取するが、共栄学園はベスト4目前で敗退した。

娘の活躍ぶりをVTRで見た大友さんは「娘の活躍には本当にビックリしたし、楽しんでいることが親としてはうれしかった」と涙ぐむ。
バレーを始める前は「バレーはイヤだと言われたので、柔道や水泳とかいろいろな体験をしてみて、最後にバレーに行ったら『バレーにする』と言われた」と話した。
卒業生の浦田さんは「3年生は絶対に一度は出場」という伝統に「マネージャーとか、ベンチ選手のサーブが入ると盛り上がる」と当時を振り返った。
また開志国際高校バスケ部総監督の富樫さんは、この伝統に「大変良いことだと思います。私も若いときに3年生を外したことで、裏で泣いていたという話を聞いてすごくショックだった。今は県大会や地区大会とかで3年生を全員出しています」と言い、アンソニー選手もうなずいた。
監督、ガッツポーズに「自然に体が動く」
新潟・開志国際高校は、2014年に開校した新設校でありながら、平野歩夢・海祝兄弟や冨田せな・るき姉妹らのオリンピアンを輩出。
中でも、富樫監督率いるバスケ部レッドタイガースは、創部5年でインターハイ制覇するなど、今や全国屈指の強豪校に。

そんなバスケ部が掲げる目標が、毎年年末に開催される高校バスケ界の最高峰「ウインターカップの優勝」。これまで4度出場しているが、3回戦を突破したことがなかった。
今回は、チームの絶対的エースのアンソニー選手を筆頭に、高い得点力を誇る最強メンバーで悲願のウインターカップ制覇を狙っていた。
初戦から危なげない試合運びで相手を圧倒したが、準決勝では苦戦を強いられ、試合時間残り17秒で同点に。そして試合終了5秒前のアンソニー選手の劇的シュートで決勝進出を手にした。

アンソニー選手は「ラストはみんな僕に頼っている部分もある。決めるしかないと思って、インターハイも負けたので絶対優勝したいと思って(シュートを)撃ちました」と振り返る。
決勝の相手は、ウインターカップを4度制覇している名門・福岡第一高校。夏のインターハイ決勝で敗れた相手でもあった。

苦しい展開を見せる場面がありながらも、1年生の平良宗龍選手らのシュートがどんどんと決まる度に、監督は跳んだり小走りしながらのガッツポーズで、喜びを爆発させた。そして、開志国際高校は5度目の挑戦で悲願の初優勝を成し遂げた。
喜ぶ自分の姿をVTRで見ていた富樫さんは「自然に動くんです、体が」と照れ笑いを浮かべる。
見事な活躍を見せたアンソニー選手は「将来はもちろんNBAに行きたいです」と力強く語った。
春高バレーにかけた高校生たちの思い
九州のスポーツ名門校、福岡・東福岡高校。
日本代表・永露選手を輩出したバレー部は、春高バレー3度を含む全国優勝6回を誇る超名門だ。

今年、東福岡高校は2年ぶりの春高優勝を目指していた。
チームの中心は3年生の川野史童選手。身長199センチで世代別の日本代表にも選ばれてきた怪物サウスポーだ。2021年に優勝した際に唯一1年生でスタメン出場している。
年末年始は選手も保護者も休みのない日を送る中、大晦日には恒例の地元の神社で必勝祈願。おさい銭の額は「181円。1月8日に日本一になれるように」お願いしたという。
1月5日の初戦を見事に突破するとベスト8へ進出。次の試合で勝利すると、3年ぶりの有観客となる準決勝。3年間支えてくれた家族らに初めて会場で晴れ姿を見せることができる。
そのベスト8の相手は、同じく優勝候補の東京・駿台学園。東福岡高校は、エースの川野選手にボールを集めるが、苦しい展開が続く。相手も一歩も譲らず、東福岡高校はベスト8で敗退した。
試合が終わると川野選手は「自分が決めきれなかったのが大きな要因。親に初めて東京体育館の試合を見せられなかったのが悔しい」と涙をこぼした。
選手たちの頑張りにVTR中、涙を拭う大友さん。
「娘も出ていたので親の気持ちに…」と言葉を詰まらせ、番組MC・浜田雅功さんも「わかりますよ」と慰めるが、「感動しますね、春高に出たことないですけど!」と発言し、スタジオを驚かせた。
全国大会に出場…選手、アスリートの楽しみは?
東北を代表するスポーツ名門校・仙台育英学園。
元日本代表の大友さんを輩出したバレー部、全国選手権36回出場のサッカー部。そしてラグビー部は、27年連続で花園出場している。
そのラグビー部を率いるのは、ニュージーランド出身のニールソン・ブレンデン監督。スタジオにいるパンサー・尾形貴弘さんとは仙台育英時代のクラスメートとのこと。
ラグビー部の学生寮は1人1部屋でシャワールームとトイレも完備。部屋での過ごし方は意外にも自由だった。
監督は「ラグビーは試合中に指示が出せない。試合中の判断、ボールを持ったときの判断はプライヤー中心。やらされているだけでなく、本人が責任を持って行動できるように」と理由を語る。
花園初戦直前、尾形さんが部員たちにサプライズメッセージでエールを送り、初戦を東京から見守った。
その初戦、リードを奪われた前半から、後半に逆転するも、最後は追いつかれてしまい、初戦で敗退した。
スタジオでは厳しい練習を乗り越え、全国大会に出場する選手たちが楽しみだったことへ話が及ぶ。それは「大会パンフレットを見ること」だった。

浦田さんは「選手名簿とか手元に届くので、みんなでイケメンを探して楽しんでいました」と話すと、狩野さんもうなずく。
永露選手も「チェックはします。男子校で女子と関わる機会がないので、写真見てかわいいと思ったら開会式でチェック。(生で見たときは)衝撃的です」と振り返った。
アンソニー選手も後ろにいる総監督へ気を使いながら「少しだけ…」と本音を明かした。
(『ジャンクSPORTS』毎週日曜日夜7:00~8:00放送)