福井の子どもは虫歯が多い。学力、体力は全国トップクラスに入るが、口内健康に限っては“後進県”となっている。逆に先進県は新潟で、虫歯の本数は福井の4分の1程度と少ない。この差の秘密は「フッ化物」の使い方にあった。

“虫歯後進県”…福井

「福井の子は虫歯が多いです」。そう危機感を募らせるのは、県歯科医師会・髙橋均常務理事だ。

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それはデータでも示されている。12歳の1人あたりの虫歯の本数は、全国平均は0.6本。それに対し福井は0.9本と、全国平均の1.5倍だ。

文部科学省の調査によると、虫歯が1本以上ある子どもの割合は、福井は幼稚園から小中高校までの全てで全国平均を上回っている。そして、この状態は長年維持されている。

「フッ化物」とは

子どもの歯を守るため、県歯科医師会に正しい歯磨きの方法などを聞いた。

県歯科医師会・髙橋均常務理事:
全て永久歯に生え変わるのは12歳から13歳くらい。生え始めたばかりの弱い歯を守るという意味でも「フッ化物の入った歯磨き剤」と「フッ化物洗口」を使うことが推奨される

フッ化物とはフッ素を基にした化合物のことで、その効果は以下の3つとされる。

1. 初期の虫歯の修復を助ける(歯の再石灰化を促進する)
2. 歯を強くする
3. 虫歯菌を抑制する

虫歯予防にはこのフッ化物をいかに効果的に歯に塗布するかというのが重要だ。

その方法として、フッ化物の入った歯磨き粉を使う、歯科医院で歯の表面に塗ってもらう、フッ化物の入った液体でうがいをする(フッ化物洗口)という手法がある。

「うがい」の二つのポイント

自宅で簡単にできる歯磨きの方法を聞いた。

県歯科医師会・髙橋均常務理事
県歯科医師会・髙橋均常務理事

県歯科医師会・髙橋均常務理事:
歯磨き剤には、ほぼ全ての製品にフッ化物が入っているので、歯磨きに関してはそれで十分

しかし、多くの子どもは毎日歯磨きをしている。ではなぜ虫歯になるのか? それは「うがい」の方法にあった。

フッ化物入りの歯磨き粉を使用したあとは、10~15mlの少量の水で1回うがいをするのが、適切なうがいの方法だ。昔と違ってフッ化物が歯磨剤に多く入っていることで、薬効成分が期待できる。しかし、しっかりうがいをすると、そのフッ化物を洗い流してしまう。

長時間、歯にフッ化物が残った状態を維持するため、うがいは「少量の水で一回だけ」というのが基本になる。

もう一つ大切なのは「フッ化物洗口」だ。それはフッ化物を溶かした水でうがいをするだけというもの。

新潟では、ほぼ全ての小学校でこのフッ化物洗口を実施している。永久歯が生えそろうとされる12歳時点の虫歯の本数は0.25本。全国平均の半分以下という効果が現れている。

やり方は、水に溶かしたフッ化物を約1分間口に含み、吐き出すだけ。4歳から15歳までこのフッ化物洗口を続けると、予防効果は80%ともいわれている。1度に1回分を飲み込んでしまっても、急性中毒の心配はないという。終了後、30分間は飲食やうがいをしないようにするのが大切だ。そのうち就寝前の歯磨きの後が適切とされる。

フッ化物洗口は、4歳から始めるのがよいとされている。ただし、うがいができるというのが前提となる。

県歯科医師会・髙橋均常務理事:
WHO(世界保健機関)なども言っているフッ化物洗口が、福井県では遅れているのではないかと思う。フッ化物洗口することで、虫歯が福井県も減ってくるのではないかと期待している

フッ化物を長く歯に残す「二つのうがい」で、虫歯を予防することが重要となっている。

(福井テレビ)

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