福井市の高校生が「原発」に関する同世代の意識を探ろうと、県内と東京それぞれの高校生2,000人を対象にアンケートを行った。原発のイメージについては、福井が「必要」だったのに対し、東京では「暗い」と意見が分かれた。

電気代の高騰でエネルギー問題への関心が高まる中、生徒たちは「同世代から考えることを始めてほしい」と訴える。

“原発” 同世代の意識調査

発表の資料作りに励んでいたのは、福井南高校(福井市)の2年生、森夕乃さんだ。学校のゼミ活動で原発をテーマに同世代の意識を調べていた。

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福井南高2年生 森夕乃さん:
同年代とエネルギーとか政治の話をする場って本当にないなと思っていて、高校生から意識を変えようと思ったのが(意識調査の)きっかけ。無関心な人からすると、同年代の影響って本当に強い

今回の調査では、福井と東京の高校2年生2,043人から回答を得た。

「原子力のイメージ」という項目では、福井県南部の嶺南地域、北部の嶺北地域、東京の全てで「危険」が最多となった。原発が立地する嶺南地域でも68パーセントの高校生が危険と答えた。ただ2番目に多かった回答で、福井と東京の差が現れた。嶺南、嶺北が「必要」。一方、東京は「暗い」に分かれ、意識の差が鮮明となった。

ゼミの先輩 今泉友里さん:
東日本大震災が東京の高校生にとっては原発を意識するいい機会となった。原発事故でネガティブになっているのかも

ゼミを担当・浅井佑記範教諭:
ただ福井の、特に原発が立地する嶺南の子たちは、原発が将来に結びついている子が多い。働き口や地域経済の観点で見たときに、必要というのが先にくるのかもしれない

高校2年生 森夕乃さん:
東京の高校生も施設見学のような機会は与えられている。そこでもイメージは変わらないということなのかな

原発の廃棄物を再利用へ

2月下旬、坂井市内の鋳鉄所に森さんの姿はあった。

原発の廃炉作業で出る廃棄物のうち放射能レベルが極めて低い「クリアランス金属」を再利用する取り組みに加わっている。

その一つが防犯灯で、森さんたちがデザインを考えた。県内で原発の廃炉作業が本格化する中、廃棄物のリサイクルへの理解促進が課題となっている。

福井南高2年生 森夕乃さん:
防犯灯を校内に設置する予定で、それを通じてクリアランス金属への意識が少しずつ変わっていけば

森さんたちのゼミでは、放射能レベルの高い廃棄物を地下深くに閉じ込める「地層処分」についても研究している。これまでに北海道にある研究施設や青森県にある貯蔵施設を見学し、同世代との意見交換にも取り組んでいる。

「エネルギーは身近な問題」

高校2年生を対象にした今回のアンケート。森さんは2,000人以上が回答してくれたことから、関心の高さを実感していた。

福井南高2年生 森夕乃さん:
無関心じゃなくて、関心はあるけど対面では伝えられないもやもやしたものがある。エネルギーや政治について、話せる場が少しでもつくれたらいいなと思っている

森さんらは3月13日、研究の成果を東京大学で開かれた日本原子力学会で発表した。詳細な調査などが評価され、奨励賞を受賞した。

福井南高2年生 森夕乃さん:
エネルギー問題は本当はすごく身近な問題で、志賀原発(石川)が動いていないから福井の電気代が高くなるんじゃないか、など家族内でも出るようになって。将来を担うのが私たちの世代なので、同年代から広がって、いろんな人がエネルギー問題を考えてほしい

(福井テレビ)

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