愛媛県産の規格外の農産物から、新たな商品を開発するプロジェクトが進んでいる。まさにSDGsともいえる商品のアイデアを考えたのは、高校生や大学生。若者ならではの斬新な感性から、どんな商品が生み出されるのか。

「今までにないものを」高校生や大学生がプレゼン

堂々とプレゼンテーションをしているのは、高校生や大学生。「最大級の安心と安全を提供したいと考えています」「愛媛と世界の懸け橋にしたい、できる商品になってほしいという思いがあります」など、自分たちが考えたアイデアを熱く語った。

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この取り組みは、規格外の農産物を使って、新たな商品を開発しようというSDGsプロジェクト。愛媛・西予市の米を使った新商品のアイデアを発表している。

プロジェクトのスタートは、2022年12月。米どころとして知られる西予市宇和町に、愛媛大学の学生たちが集まった。商品開発は、まず素材を知ることから。生産者との交流会で、稲わらのもみから玄米を取り出す作業を体験する。

米の生産者:
サイズが小さい米とか茶色くなった米とか、収穫されたお米の1割程度は「くず米」となります

商品開発のテーマは割れたり小さかったりして、商品として販売できない「小米」だ。

参加した大学生:
実際に小さいのがあるなっていうのがわかったので良かったです

参加した大学生:
僕たちに求められているのは、今までにないものっていうのがあると思うので、そこをできるだけ実現したいなっていう風には感じています

米の生産会社 田力本願・中野聡社長:
どこか知らない所で商品になっているっていうよりは、目に見える範囲で「僕の知ってる人たちが」みたいな商品になるってワクワクしますね

「お米につけるお米」「食べる輸血」…すでに商品も

生産者の話を聞いた学生たちは、チームに分かれてオンラインでアイデアを出し合った。

オンラインミーティングでは、「お米につけるお米っていうものを作れないかなっていうのが僕らが考えていたこと」「ミカンの皮みたいなのがいいって」「いいと思います」などのやりとりが交わされていた。

愛媛らしい商品イメージが固まってきたようだ。もうひとつ、商品開発を進める食材がある。赤いカブのような野菜「ビーツ」。この日は、今治の生産者がプロジェクトに参加した大学生にビーツの魅力を伝えた。

山媛ファーム・高橋達也さん:
「食べる輸血」っていうふうに呼ばれていて、血を作るうえで、とてもいい栄養があるので。色もあるし栄養もあるし甘みもあるし、加工にはすごく適している商品だなって思って

ビーツの赤を生かして、すでに商品も作られている。

生産者:
ビーツの色で染めたタオルです

参加した大学生:
主婦とか若い人向けに、色がいいから色を使って、おしゃれっていう感じの商品を作れたらいいなって思っています

そして、2月に迎えたマッチングイベント。大学生や高校生が1組5分の持ち時間で、食品加工会社に新商品のアイデアをプレゼンする。

プレゼンをする大学生:
米の麺で「COMEN」という名前になっているので、イメージが湧きやすいかなと思います

プレゼンをする大学生:
「甘酒砂糖」は「日本の古来の甘さ、ギュっと手軽に」をコンセプトとした甘酒でできた角砂糖です

オンラインでミーティングを重ねてきたグループは、愛媛の食材を具だくさんにした、お米にかけるお米ソースを提案した。

プレゼンをする大学生:
お米を好きになってもらうきっかけのひとつとなるような商品を開発したいと考えています。その商品はおかずのかわりとして、手軽にお米にのせて食べられるソースのようなものを作りたいと考えています

商品化へ第一歩 サンフランシスコで販売も

今回のプロジェクトの参加者の最年少で、宇和高校1年の松田結菜さんが提案したのは、「クレープシュゼット」というクレープを使ったフランスのお菓子だ。

宇和高1年・松田結菜さん:
クレープの生地には米粉を使用します。食感がよりもちもちとなるだけでなく、小麦アレルギーやそばアレルギーの方も安心して召し上がっていただくことができます

学生たちのプレゼンは商品のコンセプトや販売ターゲットなど、どれも具体的なものばかりだ。

参加した加工会社からは、「うちの商品開発チームよりしっかり考えられているなと。頭が上がらないなという気持ちですね」との声が聞かれた。

一方、ビーツの商品アイデアは…。

プレゼンをする大学生:
既成概念を取っ払った新しいタイプ。おしゃれなピクルスというのを開発したいとに考えております

赤い色に着目し、カットしたピクルスを「赤い宝石」と名付けた。

果たしてマッチングの結果は…。

結果の発表:
まず、ひとつ目が「COMEN」です

次々とマッチングが発表され、16のアイデアが商品化の可能性を探る話し合いに進むことになった。

あいさと・山下大仁専務:
ごはんにのせるジャムみたいな商品を企画してくれたんですよ。それを商品化に向けて第一歩を踏み出せるように挨拶させていただいて、これからのことを決めていこうと思います

東陽製菓・野島佑介社長:
天真らんまんにプレゼンテーションされる姿がすごく印象深くて、この商品を商品化したいっていうのがすごく届いたので

提案した大学生:
すごく応援したいっていう気持ちをいただいて、非常にうれしいと思います

そして、宇和高1年生の松田さんが提案したクレープシュゼットには、手焼きクレープの企業が手を上げた。

宇和高1年・松田結菜さん:
めっちゃうれしいです。実現したら、アレルギーの方も食べていただけるっていうことを想像すると、めっちゃ喜ばしいことです

ロンガ・フーズ 津乗聖一部長:
今まで米粉っていうものにトライしてきたんですけど、いろいろプレゼンを聞かせてもらって、もう一回やってみようかなっていう気持ちにさせられたっていうのが一番大きいですね

実際の商品化には、まだ多くの課題をクリアしなければならないが、実現すれば愛媛産の食材を使ったSDGs商品として、6月にもアメリカ・サンフランシスコで販売される予定となっている。

(テレビ愛媛)

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