秋篠宮ご夫妻は、3月10日、東京・墨田区にある東京都慰霊堂で行われた春季慰霊大法要に出席されました。
![春季慰霊大法要に出席された秋篠宮ご夫妻](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/c/700mw/img_ec246ad0bbdf0c3d148463921269dd40557194.jpg)
この日は、東京大空襲から78年にあたり、戦災で亡くなった人や今年100年という節目を迎える関東大震災で亡くなった人たちを悼む大法要が皇族も出席される中、毎年営まれてきました。
秋篠宮ご夫妻は、午前10時前、東京都慰霊堂に着くと、東京都慰霊協会の関係者の挨拶を受け、堂内へと進まれました。
開会の辞、読経に続き、小池都知事らが追悼の辞を述べています。
![追悼の辞を述べる小池都知事](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/700mw/img_91f751ebd3667c81cb853fe6f4a8a5d2475614.jpg)
小池知事は「今から七十八年前の昭和二十年三月十日、東京は激しい空襲を受け、一夜にして十万人もの、かけがいのない命が奪われました。また、大空襲から二十三年を遡る、大正十二年九月一日、関東地方は大地震に襲われ、死者、行方不明者を合わせて十万人を超える方が犠牲となりました。大空襲や、大震災とその極度の混乱の中で、犠牲となられたすべての方々のご無念と、ご遺族の皆様の癒されることのない深い悲しみに思いを致しますと、悲痛の念に堪えません。戦争や災害の記憶を決して風化させることなく、次の世代へ語り継いでいくことは、私たちの使命であります」と述べています。
秋篠宮ご夫妻は、じっと座って「追悼の辞」を聞かれていました。
そして、まず、秋篠宮さまが、祭壇に向かい、ポケットから焼香用の「お香」を取り出し、2回香炉へと「お香」を入れられました。
![持参の「お香」を取り出す秋篠宮さま](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/a/700mw/img_0aa0a3b74181c97f8b8169d84b81f306338520.jpg)
そして、ご拝礼。
![ご焼香される秋篠宮さま](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700mw/img_eb5408d31c8db45af4ebe858cb6c4d14436275.jpg)
紀子さまも同じように、焼香し、拝礼し席へと戻られています。
![ご焼香される紀子さま](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/700mw/img_eff423d234ab2dacc09d4ace49a1949c435803.jpg)
皇室は、神道で対応するように思われがちですが、仏式の行事には、仏式で臨まれます。
さらに、明治時代以前には、仏式での法要や葬儀も行われていました。
明治天皇の父に当たる孝明天皇の葬儀も仏式で行われています。
中世以降の天皇の葬儀が行われ、御陵が営まれるなど皇室と縁の深い京都の泉涌寺には、歴代天皇のご位牌も安置されています。皇室の「菩提寺」とも言えるお寺もあるのです。
![皇室の菩提寺とも言える京都の泉涌寺](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/2/700mw/img_c2ad8d804bc6e8ca36aa8463c0c95c222966336.jpg)
そして、秋篠宮ご夫妻がお焼香で使った「お香」ですが、これはご夫妻が宮邸から持参されたもの。龍涎香(りゅうぜんこう)と呼ばれる香料だと聞いたことがあります。
龍涎香とは、マッコウクジラの腸内でできた結石で、大変貴重なものだということです。
今年は、関東大震災から100年という節目の年です。
![震災発生後の東京の街並み](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/700mw/img_68248548aea37f2405ed4d1629d01a8748884.jpg)
9月1日に行われる秋季大法要は、関東大震災で亡くなった人たちを悼もうと多くの人たちが東京都慰霊堂を訪れることでしょう。
![関東大震災で広場に集まる被災者](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/9/700mw/img_794d81bd7f450d562faef4a418b87c3159278.jpg)
上皇さまは、忘れてはいけない四つの日として、「沖縄慰霊の日」「広島原爆の日」「長崎原爆の日」「終戦記念日」を挙げられています。
![平成30(2018)年1月 国立沖縄戦没者墓苑で遺族らと懇談される上皇ご夫妻](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/2/700mw/img_a2978b1acae2120c31fad0babedf5a39344452.jpg)
ただ、皇室の方々にとり、忘れてはいけない日は、このほかにも「対馬丸撃沈の日」「東京大空襲」など太平洋戦争の痛ましい日があり、「関東大震災」「東日本大震災」「阪神淡路大震災」など大災害の日を忘れることなく、お住まいで黙とうをされてきました。
皇室の方々は、神式や仏式などにこだわることはなく、痛ましい日を風化させないよう祈り続けていらっしゃいます。
【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】