九州で唯一、24時間運用が可能な北九州空港。国交省は、来年度の新規事業の候補として北九州空港の滑走路延長を発表した。

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計画では現在の2,500メートルから南に500メートル伸ばし、3,000メートルにするもので、事業費は130億円。着工から4年での完成を見込んでいる。

滑走路が延長されれば、大型の貨物機や北米・ヨーロッパ向けの長距離便が、貨物や燃料を満載しても安全に離陸することが可能となり、空港のさらなる機能強化につながる。一方、県や北九州市が進める北九州空港の物流拠点化も動きが加速している。

加速する“物流拠点化”の動き

北九州空港の貨物取扱量は、2021年に過去最多を更新。韓国・仁川と結ぶ定期便が増便されたことなどの影響を受けている。

北九州空港の貨物取り扱い量は2021年に過去最多に
北九州空港の貨物取り扱い量は2021年に過去最多に

2022年、稼働を始めた国際貨物の施設は、需要の高まりへの対応だけでなく、国際貨物の輸送に地元空港があまり利用されていない現状も変えていく目的で新設された。

北九州空港・鮎川典明社長:
九州の国際貨物は8割が関空・成田に行っている。九州の空港から輸出しているのは2割。“8割”を北九州空港で取りに行くために建てました

アメリカの物流大手も誘致

アメリカの物流大手、UPSの日本法人「ユーピーエス・ジャパン」。

2月20日、北九州空港に国際貨物定期便を就航させた。

ユーピーエス・ジャパン・西原哲夫社長:
750以上の空港に乗り入れをする世界最大規模のネットワークを提供している。世界のネットワークに北九州空港が加わる

航空輸送だけでなく、集荷から配送までを担うUPSは、220の国と地域でサービスを展開。全体の売上高が日本円で約13兆円という世界有数の物流会社だ。北九州の定期便は、関西国際空港を経由して中国・深圳を結び週5便運航する。

ユーピーエス・ジャパン・西原哲夫社長:
九州で預かる荷物をアジアやアメリカの主要都市であれば、最短で翌日に届けることが可能となる

誘致のカギは「24時間」

成田・関空に続いて国内3カ所目の北九州。誘致のカギを握ったのは、福岡空港をはじめとして九州の他の空港にはない24時間運用という最大の強みだった。

ユーピーエス・ジャパン・松田佳典マネージャー:
初期の段階では福岡空港も検討されたが、24時間空港のメリットが非常に大きい。飛行機が遅れるとネットワーク全体に影響を与えかねない。カーフュー(離着陸制限)がない北九州空港のメリットは大きい

北九州空港の貨物便を巡っては、日本航空とヤマトホールディングスが2024年4月に国内の貨物定期便を就航させる予定で、専用施設の建設も始まっている。

都市部から離れた場所にあるものの24時間運用可能な北九州空港。一方でアクセスは良いものの時間制限がある福岡空港。それぞれの持ち味を生かした空港インフラの「福北連携」が、地方空港活用と地域活性化の新たなカギとなりそうだ。

(テレビ西日本)

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