2023年1月、福井県内は大雪により北部と南部を結ぶ道路が通行できず“南北寸断”の状況に陥った。これは車の立ち往生を防ぐため、「予防的通行止め」という措置がとられ発生したもの。その効果と課題を検証した。
県内初「予防的通行止め」で“南北寸断”
福井テレビ・坂本剛史アナウンサー:
北陸自動車道・北鯖江パーキングエリアです! 風がとにかく強い! 言葉が出てこない、危険を感じる寒さが続いています
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1月24日、今シーズン最強の寒波が日本列島を襲った。
福井県警によると、田んぼへの転落やスリップといった交通事故は1日で241件発生した。JR北陸本線では特急20本、普通36本が運休し、交通は乱れた。
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24日は午後4時過ぎ、敦賀市などに大雪警報が発令された。そして午後5時には、嶺北と嶺南を結ぶ主要道路となる北陸自動車道と国道8号、国道365号が3本とも一斉に通行止めとなった。
「予防的通行止め」という人為的な通行止めで、解除されたのは午後11時。6時間にわたって福井の道路は南北が寸断されることになった。
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国道を管理する福井河川国道事務所に、当時の判断について聞いた。
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福井河川国道事務所 大西健一副所長:
われわれとしても、南北分断を望んでいるわけではない。ただ過去に起きた事象をふまえて対応を考えている
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高速道路が止まると、車は国道へと流入していく。
福井県内では2018年2月、1,500台の車が国道8号で立ち往生した。福井河川国道事務所では、交通を確保しようと除雪していたが、交通が集中していたことで除雪効率が低下。数台のスタックが引き金となり、大規模な車両の滞留が起きている。
この教訓から、管理側は予防的通行止めの重要性を認識したという。
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大西副所長は、「同時に通行止めをして集中的な除雪をすることが、交通に与える影響を最小にすると考えている」と話す。今回、県やネクスコ中日本と緊密に連絡を取り、県内初となる国道8号と北陸道を同時に予防的通行止めとした。
運送業界は複雑…“極力避けて”早く情報を
一方、県内の物流を支える県トラック協会は、予防的通行止めについて一定の評価はしているものの、「極力避けてもらいたい」と複雑な思いを抱えている。
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県トラック協会 清水則明会長:
運送業界としては、同時通行止めは極力避けて、どちらかは通行できるようにしてほしいと要望していた。しかし、今回は気温が非常に低かったことで、凍結による事故などドライバーの安全を考えて、異常気象の場合は運行を止めることもあるので、通行止めにならなくても運行を止めた可能性も高い
同時通行止めは「本意ではない」としながらも、今回の寒波では事前に国や県などが情報をしっかり発信していたため、一定の評価はできると振り返る。
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県トラック協会 清水則明会長:
(情報があれば)荷主も早めに出荷するとか、ルートを変えることもできるし、われわれも運行計画を立てやすいので、できるだけ早く正しい情報をいただきたい
“通行止め”が立ち往生を防いだ可能性も
雪道による交通渋滞などを研究する福井大学の藤本明宏准教授は、「検証する必要はあるが、一定の評価はできる」と振り返る。
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福井大学 藤本明宏准教授:
立ち往生を防ぐ大事な点は2つあり、「雪をどかすこと」と「交通量を減らすこと」。少しでも除雪のタイミングや通行止めのタイミングが遅れると、先日も新名神高速道路で大規模な立ち往生が起きた。少しの判断ミスで立ち往生になってしまう
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1月25日、新名神高速道路では数十kmにわたり、大規模な立ち往生が発生した。原因の1つが、周囲の道が通行止めになり、高速道路に車が集中したためだった。
藤本准教授は「福井県の同時通行止めは、立ち往生を防いだ可能性はある」と評価する。そして、今後も予防的に同時通行止めをするには「県民の理解が不可欠」だと話す。
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福井大学 藤本明宏准教授:
難しいところは、通行止めの判断を天気予報を元に決めている点。天気予報は外れることがよくある。仮に通行止めをして大雪予報が外れて、積雪がない状態で通行止めをすることもあると思うが、それは必要な処置として県民に認識してもらうことが大切だ。県民も通行止めに対応できるように準備してほしい
福井河川国道事務所によると、国道8号では現在4カ所で道路の拡張工事などを進めている。ただ、ハード整備は一定の時間が必要となり、県民が普段から通行止めを許容できるソフトの整備が大切だ。予防的通行止めが“空振り”となっても、県民が納得できるような説明と準備が求められる。
(福井テレビ)