淡くカラフルな宝石のような花。実はこれ、菊の花なのだが、どうして虹のようなカラフルな色になるのか?その不思議な世界を取材した。

きっかけはコロナ禍…葬儀需要なくなった生産者救う

その花が作られているのは愛知県田原市。栽培面積・出荷量ともに全国1位を誇る菊の産地。

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夜も明るく照らして育てる、いわゆる「電照菊」で、大輪の花が咲くのが特徴だ。その電照菊をどうやって美しい虹色の花に変身させているのか。生産者・林さとみさんの工房を取材した。

菊農家の林さとみさん:
今日は4色のカラーリングマムを作っていきたいと思います。マムは日本語で菊ですね

準備するのは、ズラリと並んだ花専用の染料。35色もある。

今回はピンクやミントなどを選び、4分割されている容器にセット。

真っ白な菊の蕾をつみ、1輪仕立てにした「輪菊」の葉を半分ほど取っていく。そして…。

菊農家の林さとみさん:
レインボーフラワーメーカーという器具に真っ直ぐにさします。4色に染まるか染まらないかはそこで決まるので、真っ直ぐささないとダメですね

菊を容器に刺して準備完了。

しばらくすると、真っ白だった花びらに少しずつ色が入り、美しく染まってきた。

1時間ほどで完成。まるでジュエリーのよう…。

4分割された茎がそれぞれ染料を吸い上げ、その上にある花びらを染めていった。虹色はもちろん、黄色や緑といった単色も綺麗な仕上がりになる。

この「染め輪菊」が誕生したのには、あるきっかけがあった。

菊農家の林さとみさん:
コロナの影響で葬儀の需要が完全に止まってしまって、輪菊は葬儀のイメージが強すぎて、他の場面で使われることを模索し始めたのがきっかけです

コロナ禍で菊の出荷がストップ。葬儀以外の活用法を考えていたところ、妻のさとみさんが偶然「染め輪菊」と出会い、始めたという。

SNSで発信したところ好評で、1年ほど前から購入する人が増えた。

花の大きさなどにもよるが大体1本350円。水を取り替え管理をしっかりすれば、1カ月ほど持つという。

菊農家の林さとみさん:
花を買う習慣が今の日本人にないと思うので。花が生活の中にあって当たり前の状況になっていければなと思って。花を身近に飾ってもらえればなと

(東海テレビ)

東海テレビ
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