寒波が襲った2月中旬、線路の雪を解かす器材を設置するため、JR京都線などが一時運転を見合わせ、およそ11万人に影響が出る事態となった。JR西日本が、運転見合わせまでの経緯を探った。

「融雪機」設置で運転を見合わせ 

京都駅の駅員 15日午後6時ごろ:
お寒い中、大変ご迷惑をおかけいたしております

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15日午後5時ごろから、JR西日本は京都線や琵琶湖線などで一時、運転を見合わせた。

京都からの利用客:
大阪のホテルに泊まる予定なので、チェックインが遅れて大変です

滋賀へ向かう人:
最近よく止まるので、またかという気持ちもありつつ、早く帰りたいなと…複雑な気持ち

運転を見合わせた理由は、線路の雪を解かす「融雪器」を作業員が設置するためだった。JR西日本によると、雪についての契約会社の予測データが15日午後3時に「降らない」から「降雪」に変わったため、融雪器の設置を急きょ、決めたということだ。

 JR西日本はその後、列車を止める35分前の午後4時25分に運転見合わせを発表した。

滋賀へ向かう人:
5時にやめるというのを4時35分(実際は25分)でしたっけ?というのはどうなんかなと。事前に言うのはいいが、急すぎるのではないか

滋賀へ向かう人:
そんなに雪降ってないけど…前の事を踏まえるとこうなっちゃうのかな

 JR京都線では1月、寒波の影響で「ポイント」が凍りつき、駅と駅の間で列車が立往生し、およそ7000人の乗客が最長10時間、列車内に閉じ込められた。

今回、発表が直前になった理由についてJR西日本は「融雪器を置き始めるタイミングの検討や列車を止める手配を行っていた」と説明している。

 融雪器を設置する作業は、予定どおり1時間ほどで終わったが、その後もJR京都線などで通常の5割から7割に本数を減らして運行したため、およそ11万人に影響が出たということだ。

降雪予測は「急に」変化したのか?

 この問題、気象と大きく関わることもあり片平敦気象予報士と見ていく。

JR西日本は、線路の凍結を防ぐ「融雪器」をそれぞれのポイントに設置すると決めた理由について、15日午後3時に、降雪予測が「降雪なし」から「降雪あり」に大きく変わったためとしている。あくまでもJR西日本が契約している気象会社から提供された情報によるとということなんだが… 

これについて片平気象予報士の最初の疑問は、「そもそも当初の予測がなぜ"降雪なし"だったのか?」ということだ。

片平敦気象予報士:
そもそも、15日は京都市内は朝から雪が降ったりやんだりしていたので、「降雪なし」という予報はどういうことなんだろう?と思いました。冬型の気圧配置が強かったので、雪雲が京都に流れ込むことは結構あるので、15日の気象の資料を見る限りは状況が大きく変わったというよりは、そもそも「(雪が)降る」という予想のままじゃないのかと疑問に思いました 

 

さらにー

片平敦気象予報士:
さまざまなコンピューターの予測があるので、その予測資料によっては直近の予測は割と精度が良くても、少し先の予測だとそこまで予測できていなかったりする部分もあるので、そこらへんに一因があるのかも知れないです 

と話した。今回、どういう気象予測データに基づいていたかについては、JR西日本は発表していない。

 今回の「融雪器」設置だが、もともと設置基準は10cmの積雪が予測される時ということだったが、1月の大雪で失敗(8cm予測が実際は15cm)した。

そのため現在は、新しい基準を策定すべく準備をしていて、この基準(10cm積雪予測)と関係なく、状況に応じて設置するとしていた。

しかし、設置した今回の判断について、片平気象予報士のもう一つの疑問は、「15日の気象レベルだとシーズンに20回ほど起きる状況にある」ということだ。

片平敦気象予報士:
15日くらいの上空の寒気の強さだと、上空1500メートル付近でマイナス9度前後。これは真冬には結構あるんです。そう考えると冬の期間、3カ月で少なくとも10回、場合によっては20回、30回くらいは同じような気象状況があってもおかしくないので、降雪予測がそもそも「融雪器」を設置するくらいのケースだったのかどうか…と思います 

このように、15日のような状況でそもそも設置する必要があったかどうか疑問だと話した。

 また、今回、設置が急で乗客への告知が直前だったことについて…関西テレビの神崎博デスクは「利用者サイドからすると、もう少し早く見合わせについて告知してほしかった。駅でいきなり見合わせを知った人も多かった。止める範囲などいろいろ調整に時間はかかったと思うが、せめて1時間ほど前には告知してくれたら、われわれも事前に行動を考えることができたのでは」と意見を述べた。

 片平気象予報士によると、気象予測は万能ではないが無能でもない。予測の数字にある程度、幅があることを考えた場合、時間が近づいてくると、ある程度絞り込めるので場合によっては「ここまで降雪があったら、何時までに見合わせの判断をしますよ」というような告知を事前に段階的に出していく、というようなプロセスを踏むのも大事なのでは」と話している。

 (関西テレビ「報道ランナー」2023年2月16日放送)

関西テレビ
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