今では生活に欠かせないスマートフォンやSNS。内閣府が行った調査では、小学生・高学年の63%、中学生の91%がスマホを所有していると回答した。この所有率の高さとともに増えているのが、スマホをめぐるトラブル。新潟市の親子に密着し、その実態を取材した。

SNSでの交流や依存 心配する母親「どこまで制限したら…」

新潟市江南区に暮らす高校生と小学生の2人の子どもの母・小林かおりさん。

小林かおりさん
小林かおりさん
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小林かおりさん:
どこからどこまで制限していいか。ぎゅっと縛りたいのは本望だけど…。ぎゅっと縛って、依存などが収まってくれればいいが、きっと今の子たちは、命の次にスマホが大事という感じなので

小学6年生の娘には、まだスマホを持たせていないというが…

小林かおりさん:
私は使い方が分からない。娘のほうが使いこなしている

小学6年生の​娘:
帰宅後はお菓子とか準備して、すぐにYouTubeを見る

帰宅後には、テレビでYouTubeを見るのが日課に。一見、トラブルにはつながらないようにも見えるが…

帰宅後はテレビでYouTube
帰宅後はテレビでYouTube

小林かおりさん:
ネットの中でお友達を見つけて、つながっていたりしていた。「相手は小学生だ」と言うけど、分からない。相手の顔も見えないし、それは本当に怖いと思う

一方、スマホを持っている高校1年生の兄は、SNSでのトラブルを避けるため、自身で対策を取っていた。

高校1年生の息子:
個人情報の管理に気をつけている。例えば、名前を伏せるとか

これまでSNSで大きなトラブルはなかったものの、スマホの平均使用時間を見せてもらうと…

小林かおりさん:
9時間…

高校1年生の息子:
いや、でも音楽聴きながら寝るとかさ、そういうのもカウントされちゃうから

スマホの平均使用時間
スマホの平均使用時間

高校1年生の息子:
友達からの連絡が気になって仕方なくなるときとかは、「自分は依存しているんだな」と

小林さんの家庭では、スマホを購入する前に、テストの成績が悪くなった場合は、「スマホを一時的に預かる」というルールを家族の間でつくった。

小林かおりさん:
親もそういう姿を見せないといけないと思って、食事中はスマホを見ないようにしている

また、食事中はスマホを操作しないというルールを作り、親も子どもと一緒に取り組んでいた。それでも…

小林かおりさん:
ケンカになるよね?

小学6年生の​娘:
うん

親子ゲンカになるときも
親子ゲンカになるときも

静岡県牧之原市では1月16日、中学1年生の少女が就寝中の母親を殺害する事件が発生。少女は「スマホの使い方でトラブルになった」と話していることが分かっている。

小林かおりさん:
ニュースを見て、どこの家庭でもあり得ることだなと思った。持たせたら、やっぱり依存する。本当に片時も離さなくなって。あれだけ勉強が好きだったのに、勉強が嫌いになって、やらなくなっちゃって

親子で話し合い「子ども自身」がルール決めを

こうした中、小林さんは娘の学校で企画された親子SNS講習会に参加した。

小学6年生の​娘:
個人情報を載せない、悪口を書かない

小林かおりさん:
はい、大事です

講習会では、親子で話し合い「子ども自身がルールを決めることが大切」だと呼びかけられ、実際にそのルールを親子で検討した。

小学6年生の​娘:
個人情報・自分の顔、自分の家の周りの写真とかを載せちゃいけないことが分かった

小林かおりさん:
SNSを使うのは娘なので、とても危険、怖いところがある。家庭で教育するときのためにもなった

東京都が小中学生や高校生を対象に行った家庭におけるルールづくりに関するアンケートでは、最も多かった内容が「利用する時間や場所」で37.6%

次いで、「困ったときはすぐに保護者へ相談する」が36.3%

そして、「利用する際のマナー(誹謗中傷することは書かない等)」が31.9%と続いた。

スマホ・SNSトラブル増加… 「考える力」を身につけて

講習会で講師を務めた、新潟市児童相談所の小野郁夫さん。2年前まで新潟市内の中学校で30年以上教員として生徒指導に携わり、携帯電話やSNSをめぐるトラブルの対応にあたってきた。

新潟市児童相談所こども相談課 小野郁夫 課長補佐
新潟市児童相談所こども相談課 小野郁夫 課長補佐

小野さんは家庭でのルールづくりは保護者が一方的に決めるのではなく、子ども自身が決めることが重要だという。さらに、スマホやSNSの危険性については、親も子どもも認識を変える必要があると訴える。

新潟市児童相談所こども相談課 小野郁夫 課長補佐:
まず、現実を知ってほしい。例えば、ここ数年、日本の犯罪はすごく減っているが、略取誘拐・子どもの連れ去りに関して言うと増えている

警察庁によると、2022年の刑法犯の認知件数は4年前に比べ、約21万件減っているのに対し、略取・誘拐の認知件数は80件以上増えている。

新潟市児童相談所こども相談課 小野郁夫 課長補佐:
SNS等で大人から呼び出しを受けて行ってしまったとか、そういう例はいくつも聞いたことがあるし、実際にそういうものに対応したことがある。携帯・インターネットも安全を守るためには、子どもも大人も、本気で向かって行かなきゃならない時代なんじゃないかと思う

小野さんはスマホやSNSは今の時代に必要なものだからこそ、安全に使う方法を親子で考えてほしいと話す。

新潟市児童相談所こども相談課 小野郁夫 課長補佐:
「考える力」を身につけることが、携帯に使われるのではなくて、携帯を使える力になっていく

「考える力」を身につける
「考える力」を身につける

小林かおりさん:
悪いところだけ見ると怖いけど、使い方の問題で良い方向に行くと思うので、使い方だけはしっかりと学ばせないといけないと思う

スマホやSNSのトラブルを防ぎ、便利なツールとして使うためにも、改めて親子で話し合って、ルールを決めることが重要だ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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