加藤勝信厚労相は29日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、中国からの入国者を対象に強化している新型コロナウイルス検査の緩和に前向きな考えを示唆した。

中国での新型コロナウイルス感染症の急拡大を受けて政府は中国からの入国者に対し、PCR検査の義務づけなど対応を強化している。

加藤大臣は「いまの措置を行いながら、状況をみて柔軟に対応していく」としながら、「実際(中国からの)入国者の陽性率は1%を切っている。ゲノム検査でも日本で流行しているウイルスと同様のものというのが現状だ」と説明した。その上で、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられることに伴い「水際でチェックしていくことは基本的になくなっていく」と述べた。

新型コロナワクチンの接種の間隔を年1回とする意見が出ていることについて、加藤大臣は「昨秋から接種が始まった二価ワクチンの効果に関するデータを出して専門家に議論してもらっている。方向性が出ればしっかり説明していく」と述べた。

感染症学会専門医の寺嶋毅氏(東京歯科大学市川総合病院教授)は、「高齢者や基礎疾患のある重症化しやすい人は年2回の接種にするなど、幅があってもいい」との見解を示した。

番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、「年1回接種」論の浮上に、ワクチン否定派が「ほら見ろ、と沸騰しかけている」と指摘。「政府には科学的根拠をもって回数設定してもらいたい」と注文をつけた。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが(5月8日に)5類に移行することが決まった。FDA(米食品医薬品局)の有識者委員会は、ほとんどの成人に対するワクチン接種について「年1回の接種」を勧告、FDAは近く承認する方向だ。政府分科会の釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、国内での年一回の接種について「有力な1つの選択肢」としている。

橋下徹氏(番組コメテーター、弁護士、元大阪府知事):
加藤大臣をはじめ日本政府には慎重にしっかり科学的根拠をもって回数設定してもらいたい。僕はワクチンの効果はあると思っていて4回打っている。子どもにも打たせている。この「接種は年1回」という話が急にポンと出てくると、「ワクチンに効果なし」「ワクチンは打たない」と言っている人たちが「ほら、見てみろ」と。政府は今まで2回、3回、何か月かに一遍打て、と言っていたのに、一回の接種で免疫ができるというのなら、なぜそれを言わなかったのだという意見がちらほらとすごく沸騰しかけている。

加藤勝信氏(厚労相):
どういう目的でワクチンを打っていくのか。元来、重症化予防を中心にワクチン接種がスタートした。当初、武漢株を対象とした一価ワクチンでスタートし、昨秋から二価ワクチンになった。まだ年に1回と決めたわけではないが、その二価ワクチンの効果がだんだん見えてきており、そのデータを出していま専門家がどうすべきか議論してもらっている。1つの方向性が出てくれば、なぜ今後はそういう形で打っていくのかをしっかり説明していく。

橋下氏:
接種が年1回になることは歓迎だ。感染症対策はできる限り多くの人にワクチンを打ってもらわなければいけないので、政府の信頼性をしっかり保ち接種回数の変更をしてほしい。

加藤氏:
米国の議論を見ていると、流行ってきそうなものを察知して、それに対応するワクチンを作る。メッセンジャーRNAワクチンではそういう対応が可能だと聞いている。打っていただく以上、重症化予防としての効果がしっかり出てくるワクチンを選択していく。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
重症化予防の観点から半年ぐらいは効くのではないかと、これまで言われていたが、年1回接種となると、本当に効果があるのかどうか疑問も出てくる。

寺嶋毅氏(感染症学会専門医・東京歯科大学市川総合病院教授):
高齢者や基礎疾患がある人など、やはり重症化しやすい人はある程度いる。そういう人は年2回接種など、少し幅があってもいい。

橋下氏:
特に子どもに対して打つ打たないははっきりしてもらいたい。重症化リスクということなら、子どもには要らないのではないかと考える親も多いと思う。

松山キャスター:
加藤大臣は、高齢者など重症化リスクがある人へのワクチン接種を今後も無料とすることを考えているか。

加藤氏:
このワクチンはどこまで必要性があるのか。米国でも高齢者、リスクの高い人には2回打ってもらうなど、それぞれの効果と目的がある。基本的に社会全体を防衛することもあるが、それよりも病院の逼迫を抑えていく観点から接種をお願いしている。当面はそういう(無料とする)考え方でやっていくことになると思うが、そこも含めて専門家に議論してもらう。

松山キャスター:
今後の水際対策をどうするかも気になる。中国からの入国者には検査を強化しているが、どう見直していくか。

加藤氏:
中国からの入国者に対しては今の措置を行いながら、状況を見ながら柔軟に対応していく。実際、(中国からの)入国者の陽性率はいま1%を切っている。ゲノム検査をしても日本で流行しているウイルスと同様のものというのが現状だ。5月8日から感染症法上の分類を見直すことになるので、感染症法と検疫法との絡みだが、水際措置のあり方も当然見直していく。水際でのチェックは基本的になくなっていく。

松山キャスター:
なるほど。

日曜報道THE PRIME
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