住宅街の畑で荒らされたネギ。さらに玄関前にはスイカも…。

住民からは「鉢合わせになったら追いかけてきますよ、怖い。人間が逃げないといけない」「畑をぐちゃぐちゃにするからね。かなん(困った)存在やね」などの声が聞かれた。
田畑を荒らし、住民を悩ます無法者。その正体は、大量発生したサルだ。

人里に降りてきてはやりたい放題。だが、この被害に住民も黙ってはいない。
生活をかけて繰り広げられる攻防。住民とサルの戦いを取材した。
屋根を駆け回り、黒豆を集団で盗み食い
兵庫県丹波篠山市。

武家屋敷など歴史情緒あふれる町並みが魅力の場所だが、町を歩いていると…。

取材班:
あ!いたいたいた…屋根の上に2匹。こっちを威嚇してるんですかね。

至る所にサルの姿があった。

住宅の屋根で身を寄せて体を温め合っていたり、こちらのサルは柿の木の枝を器用にたぐり寄せ、カキをむしゃむしゃと食べている。

住民女性A:
サルはすごいですよ。群れになって走りまくってる。
住民男性A:
群れで来るから、30匹くらい。しょっちゅうやな。

丹波篠山市では、以前から住宅街にサルが出没。住民たちを悩ませ続けてきたのが農作物への被害だ。

住民女性B:
これ(黒豆)をなんぼかここに置いてたんですよ。それをガサガサっと音がしてて、あれ?と思ったら5、6匹サルがいた。

こちらの家では、玄関先に置いていた黒豆をサルの集団に食べられてしまったという。

住民女性B:
この辺とかでも食べてるんですよ。豆殻が…。
取材班:
屋根の上?
住民女性B:
ちょっとだけありますね、大分下に落ちたけど。

屋根の上には、サルが食べた後に残したとみられる豆殻があった。
そして再び、住宅街を歩いていると…。

取材班:
スイカの食べ散らかしがありますね。どこから持ってきたのか、スイカが捨てられています。
ネギをむさぼられ「サルのために作ってない」
さらに…。

取材班:
これひどいですね。ネギでしょうか、食い荒らされています。
無残に荒らされていたのはネギ畑。この犯人も、やはりサルだ。

取材班:
あちらのサル、ネギを食べています。
取材班は屋根の上でネギをむさぼるサルを発見。ネギを育てていた女性に話を聞いた。


住民女性C:
これみんなサルやで。白いとこ食べていくねん。あんた(サル)のために作ってたんと違うで。
インタビューをしていたその時…。

住民女性C:
あそこおるで。こら!何食べよる?

塀の上に2匹のサルが現れた。すると女性は…。

取材班:
お母さん、近づいて大丈夫ですか?

「こらっ!」と持っていた棒を振りかざして追い払うが、サルはまだ近くをうろついている。

怒る女性が手にしたのは、市から配布されているサル対策用のロケット花火。

パーンと音を響かせ、ロケット花火を発射。

大切に育てた農作物を守るため、日々サルと闘っているという。

住宅設備にも被害…発信器でサルの位置を特定
被害は農作物だけではない。


バキバキッと、大きな物音を立ててサルが走って行く。音のした場所に行って見てみると…。

取材班:
畑から雨どいをつたって逃げようとしたんですが、取れちゃいましたね。

雨どいが途中で外れてしまっている。サルが移動することで、住宅設備が壊されるなどの被害もあるのだ。

住民女性D:
山からボンって跳んで、倉庫の上に行って。一度、とゆ(雨どい)を壊されて。業者に来てもらって2万円ほどやったかな、修理しました。

こうした被害を未然に防ぐため、市と町が協力して行っている対策がある。

取材班:
今からどこかに行かれる?

自治会長 岡本常博さん:
情報が入ってきたもんですから、サルを追いかけるというか、サルを追い払うことを今からやろうかなと。
取材班:
情報というのは?

自治会長 岡本常博さん:
「サルイチ」という、パソコンやスマホで見れる(サルの位置)情報が、1日2回入ってくるんですよ。

市では群れの位置を把握するため、一度捕獲したサルの首に発信器を装着。

その電波を監視員が専用のアンテナでキャッチし、サルがいる位置を特定して情報を共有しているのだ。

サルを住宅街へ入れるな!計画的に捕獲管理
実際に、サルがいると示された場所に同行させてもらうと…。

自治会長 岡本常博さん:
あそこの屋根にいてますね。
取材班:
どこですか?
自治会長 岡本常博さん:
あそこの屋根。

取材班:
本当だ。いるいる。
屋根の上にサルがいた。

自治会長 岡本常博さん:
団体でおるから、1頭や2頭じゃない。(近くに)30匹くらいは最低いると思います。声がこっちの林の中からしますね。

サルの群れが、林から住宅街へ向かう前に追い払う。

専用の花火を発射。

自治会長 岡本常博さん:
(サルの)姿見えなくなりましたね。
今回は群れが住宅に近づく前に、追い払うことができた。

自分たちの畑、家を守るため、日々続けられるサル対策。こうした地道な行動が、サルと共存していくために必要だと、丹波篠山市でサル対策に取り組む専門家は話す。


サル対策に詳しい 鈴木克哉さん:
一時期よりも(サルの)数を減らしているところはあります。ただ、あまり減らしすぎると、群れが消滅してしまうかもしれない。頭数の管理・被害対策も推進しつつ、そういう方針が基本ですね。

丹波篠山市ではサル対策として、電気柵設置費用の補助、計画的なサルの捕獲管理を継続的に進めていくとしている。
(「イット!」1月24日放送)