屋根の一部が崩落 近隣住民「火災怖い」
東京都町田市の閑静な住宅街。そこにはある問題が。
この記事の画像(39枚)取材班:
(草が)すごい…家の外壁に絡んでいますね。
草で覆われた家。窓は外れ、木の枠だけが残っている。
さらに、屋根の一部が崩れているこの家は…。
近所の住民:
空き家でしょうね。貸家だったのがいなくなって、という感じだったと思うんですけど。
今、全国各地で社会問題となっている“空き家”。近所の人によると、この家には約30年前から誰も住んでいないという。
そのため、近隣住民からは「一番怖いのは火災です」「見た目も良くない。怖いじゃないですか。誰かが入り込んだりするのも嫌でしょ」と不安の声が上がる。
持ち主の関係者に取材を申し込んだが、回答は得られなかった。
一方、町田市は「必要に応じて、持ち主に改善依頼文を送っている」としているが、対策に限界があるのが実情だ。
年々増加の一途をたどる空き家の数。2018年には、全国で848万9000戸が確認されている。
築70年の実家「近所に迷惑かけたらと心配」
一体なぜ、増え続けてしまうのか。現在、空き家を所有する男性に話を聞いた。
花島勝美さん:
去年の8月9月に、親父とおふくろがパタパタと急逝しまして。両親の住んでいた家なので残しておいてあげようかなと、定期的に来ていたんですけど…。
花島勝美さん(64)は両親が亡くなり、都内の家を相続した。
花島勝美さん:
だいたい築70年弱くらいになっていると思います。だいぶ古くなっていて、見てお分かりいただけると思います。
老朽化が進み、あちらこちらが傷んでいる。壁には粘着テープで補修されている部分も。さらに…。
花島勝美さん:
少し様子を見ると、やっぱり庭先に草が生えたり、空き家というのが分かってるとゴミを投げ入れられたりして。田舎の一軒家じゃないので、何かあった時にご近所に迷惑かけちゃうのが一番心配でしたし…。
そのため、定期的に家を訪れ自分で管理をしてきた。その際、こんな問題に直面したという。
花島勝美さん:
私も今は茨城に住んでまして、来るといっても交通費はかかるし、時間もかかるしということで、ちょっと大変だったんだよね。
管理の難しさ。花島さんは家の手入れのため月に1度、茨城県から都内にある家まで片道3時間かけて通っていたという。
同様に、遠方からの空き家の管理に苦労する人は少なくないようだ。
換気や掃除を代行 動画リポートも
2022年、静岡県御殿場市の実家を相続した小林さん(仮名)。
小林さん(仮名):
今はベトナムですね。(自分で管理は)もう絶対無理です。ほったらかしにするのも、草は生えてくるし、そこそこ庭もありましたんでね。
仕事の都合でベトナムに住んでいるため、管理できない状態に。
しかし、放置するわけにもいかず、小林さんが見つけたのが…。
小林さん(仮名):
管理するサービスの会社をいろいろ探したんですけども、それで今回見つけたのが、この空き家管理サービスだったんですね。
空き家の管理を行う「日本空き家サポート」だ。
その内容は?
日本空き家サポート運営会社 株式会社L&F 森久純社長:
実際の空き家の現場に赴いて、空き家の換気や通水、簡単な清掃や庭木の確認などをさせていただいている。
作業の様子を撮影した映像も送ってくれるため、家に行かなくてもその時々の状態を確認できる。
管理担当者:
和室の天井、カビ・雨漏りの原因となる事象は見当たりません。
今、こうしたサービスが注目され、利用者の数は近年急増。7年前に比べて約18倍になっているという。その依頼者のほとんどが…。
日本空き家サポート運営会社 株式会社L&F 森久純社長:
(依頼者の)9割以上も県外にお住まいの方。ご自身で新幹線に乗って、飛行機に乗って、お金をかけて休みをつぶして、実家の様子見に行くというのはなかなか大変。
空き家になった実家に侵入者が…
千葉市にあるこの住宅も、この会社が管理を依頼されている空き家だ。
家主の前田さん(仮名)は現在、岐阜県在住。以前、こんなことがあったという。
前田さん(仮名):
(空き家に)人が入って、警察呼んだとかあったんですね。
なんと、空き家になった実家に侵入者が現れたのだ。
前田さん(仮名):
窓が開いていて、近所の人が警察に通報してくれた。侵入した人は、近所の人が見たらすぐに逃げてしまったと言っていました。物は取られたことはなさそうですね。空き家管理の人がその後、侵入できないように窓の鍵を付け替えてくれた。
国土交通省は、管理が不十分な空き家について、固定資産税を事実上増税するなど対策強化に向けた法改正を検討している。
(「イット!」1月20日放送)