日常の買い物などで貯まるポイント。これで投資できる「ポイント投資」をご存じだろうか。

投資は通常、証券会社の口座にあるお金で株式などを購入することで行う。ポイント投資はこれをポイントでも購入できるようにしたもので、複数の証券会社がサービスを提供している。

そしてこのポイント投資、投資経験者の半数近くが利用していることが分かった。

投資経験者に「ポイント投資」が普及

調査結果を公表したのは、投資顧問会社の「スパークス・アセット・マネジメント」。2022年11月16~17日、2022年の株式市場の振り返りなどについて、全国の20~79歳の投資経験者1000人にアンケートを行った。調査では投資サービスの利用状況を探るべく、次の5つの利用率を調べた。

・共通ポイントなどで投資できる「ポイント投資」
・買い物のおつりを自動で積み立て投資してくれる「おつり投資」
・ロボットが資産運用を代行してくれる「ロボアドバイザー投資」
・好きなテーマを選ぶと最適な銘柄を自動で選択してくれる「テーマ型投資」
・ネット上でお金を借りたい企業を仲介してもらい投資できる「ソーシャルレンディング投資」

投資サービスの利用率(提供:スパークス・アセット・マネジメント)
投資サービスの利用率(提供:スパークス・アセット・マネジメント)
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そうしたところ、最も普及していたのがポイント投資で利用率は48.1%だった。他のサービスの利用率は高いものでも10%ほどで、圧倒的な差をつけた形だ。

ポイント投資の年代別利用率(提供:スパークス・アセット・マネジメント)
ポイント投資の年代別利用率(提供:スパークス・アセット・マネジメント)

ポイント投資の利用率は、18年が18.8%、19年が27.3%、20年が33.7%、21年は39.9%であり、ここ数年で着実に伸びているほか、年代別だと50~70代の利用者が特に増えていた。

ポイントは“自分にないはずのお金”

ポイント投資にはどんな魅力があり、どんな使い方ができるのか。楽天ポイントを活用した投資サービスを提供する「楽天証券」の担当者に聞いた。

――ポイント投資はどんなもの?改めて教えて。

当社では「ポイント運用」「ポイント投資」の2つを提供しています。ポイント運用は証券口座の開設が不要で、ゲームのようにポイントを指標と連動させて疑似運用するもの。ポイント投資は証券口座を開設いただき、株式や投資信託の購入時に現金ではなく、ポイントを使えるものになります。ポイント投資の方が一般的なので、今回はこちらについてお話いたします。

現金を使わずに投資を始められる(提供:楽天証券)
現金を使わずに投資を始められる(提供:楽天証券)

――通常の投資とポイント投資はどう違うの?

一番の違いは、投資に対する心理的ハードルが下がることだと思います。貯まったポイントは“自分にないはずのお金”と考えられます。そんなポイントで投資すると、価格が下落したとしても心理的負担を受けにくいですし、金融商品の購入も気軽にできると思います。

また、当社に限ってしまうのですが、ポイント投資をすることで、楽天市場でのポイントが貯まりやすくなるサービスもあります。間接的にもらえるポイントを増やすこともできます。

投資信託の積み立て購入にもポイントが活用されている(提供:楽天証券)
投資信託の積み立て購入にもポイントが活用されている(提供:楽天証券)

――調査ではここ数年で普及が進み、中高年の利用が増えた。想定される要因は?

普及の要因はお得さだと思います。当社でも、投資信託を購入、積み立て設定されている方の多くはポイントを利用しています。中高年の利用率が増えた点は想定ですが、ポイントが投資に使えることが広まったのではないでしょうか。

投資初心者や資金が少ない人もできる

――ポイント投資はどんな考え方、経済状態の人に向いていそう?

ポイントは“おまけ”のような存在なので、投資に興味はあるが経験がない、お金を使うのが少し怖いといった、投資初心者の方に向いていると思います。証券会社によってはポイントとお金を併用して投資することもできるので、資金が少ない方にも向いていると思います。
 

――金融商品も種類があるが、ポイント投資に向いているものは?

例えばですが、米国株など海外の株式でも、ポイントなら心理的に投資しやすいと思います。また、投資信託を積み立て購入する時にも役立ちそうです。購入時に設定すれば、自動的にポイントを使うこともできるので、ポイントを上手に活用する環境を整えてもいいと思います。

貯まりやすいポイントでの投資がお勧め(画像はイメージ)
貯まりやすいポイントでの投資がお勧め(画像はイメージ)

――複数の証券会社がポイント投資を提供しているが、どう選べばいいの?

今はさまざまな“経済圏”がありますが、ポイント投資のためだけに新しい経済圏に入るのは効率が良くないと思います。日常の買い物など、ご自身の生活で貯まりやすいポイントで投資できる、証券会社のサービスを選ばれてばいかがでしょうか。

ポイントの利用期間、購入できる商品は確認しよう

――ポイント投資する前に注意してほしいことは?

証券会社によっては、ポイント投資できる金融商品が限定されていることもあります。また、経済圏で貯められるポイントには、利用期間が限定されているものもあります。期間限定のポイントは投資には使えないことが多いので、事前に確認していただければと思います。
 

――ポイント投資の普及で期待したいことは?

それまで知らなかったことでも、始めると興味が出てくるものはたくさんあります。ポイントの利用を通じて、投資がどんなものかを知っていただければと思います。今の若い世代は、老後を年金に頼れない可能性がありますので、投資を知るきっかけになればいいですね。


ポイントは“本来はなかったもの”と考えることもできるので、投資で減ってもダメージが少ない。増えればもっとうれしい。そんなところが、ポイント投資が普及している要因かもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。