南極観測船に同行しているフジテレビ取材班は、数日以内に南極に上陸するもようで、昭和基地まで、あと数十kmのところまで来ている。
今回、隊員の皆さんは、さまざまな思いで参加しているが、その中には、病気と闘う娘さんとの約束で参加を決めたという医師の方もいた。
南極に向かう「しらせ」の船内。
南極滞在中にけがをしないよう、隊員たちに安全講習を行っているのは、観測隊の三上学さん。
東京都内の病院で長年、第一線で働いてきた救急医療のプロフェッショナル。
南極の拠点となる昭和基地には、手術室はあるものの、難しい手術はできないため、こうした安全講習は、命を守ることに直結する。
第64次南極観測隊 医療担当・三上学医師「みんなを安全に、また(日本に)連れて帰るぞというのは、隊長の次ぐらいに思ってるかなと」
今回、三上さんが越冬隊として南極へ行くことを決めたわけ。
その1つには、長女の愛加さんとの約束があった。
車いすに乗っているのが、愛加さん。
愛加さんは、20歳になったばかりの2020年、感染症にかかり入院。
その後、足が思うように動かせなくなり、現在は、車いすでの生活を送っている。
いったんは辞退することも考えたが、愛加さんから、「南極で頑張る姿を見せてほしい」と言われ、参加を決意した。
第64次南極観測隊 医療担当・三上医師「つらいであろう娘が一番賛成してくれた。(何て言ってくれたんですか?)行っておいでって」
南極へ出発する際に、愛加さんからもらった手紙には「父上見て人生何歳からでも挑戦できるなって思った。帰ってくるころには、元気で走り回っているかも」との言葉が。
第64次南極観測隊 医療担当・三上医師「娘のために、いくつになっても挑戦はできるんだよというのを見てもらったらいいかなと。そうしたら、気持ちももっと上向きになればと」
28人の隊員を無事に帰国させ、闘病中の長女に、挑戦する父の背中を見てもらいたい。
この2つの約束を胸に、南極へ向かう。