JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」では、2023年から新たに「雲仙コース」の運行が始まる。旅の舞台に“雲仙”が選ばれた理由には、仕掛け人の“旅を3D化する”狙いがあった。ななつ星in九州・雲仙コースのテスト運行を独占取材した。

ななつ星 雲仙コースに密着

2022年10月にコースが刷新された、JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」。
大人1人の料金は1泊2日で65万円から、3泊4日で最高270万円と高額だが、簡単には予約が取れない大人気の列車ツアーだ。

JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」
JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」
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長崎県南部、島原半島の中心には「雲仙岳」がそびえる。「ななつ星 in 九州」の新たな旅の舞台は「雲仙」だ。「雲仙」が選ばれた理由について、ななつ星の仕掛け人に聞いた。

九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長
九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長

九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長:
(雲仙の魅力は)まずは人ですね。ななつ星のコースをずっと作ってきている中で、人って本当に大事だと思っていて。雲仙の持っているポテンシャル。人々の思いを感じていました

「ななつ星in九州」に新たに加わる3泊4日の「雲仙コース」は、福岡・博多駅を出発し大分、熊本をめぐったあと、2日目から長崎に入り、最終日には終点・博多に戻るコースだ。

2023年の運行開始を前に、テスト運行にKTNの松永悠作記者も同乗させてもらった。

旅は島原港からスタート
旅は島原港からスタート

松永悠作記者:
長崎県内での旅は、ここ島原港から始まります

「ななつ星」ではなく、フェリーで長崎へ! 列車での移動にこだわらないのが、「雲仙コース」のポイントの1つだ。

ライバル「島原鉄道」も
ライバル「島原鉄道」も

バスやタクシーも利用するほか、「ライバル」でもある島原鉄道とのコラボもある。島原から諫早までは、「島原鉄道」で移動する。

九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長:
新しいルートを作るのにあたって、九州をどういう風に見せようというときに、今までは鉄道でつながるところだけがコースだった。そうでないところを逆につなぐことで、旅を3Dで広く見せていく。それで雲仙ルートを作ることにしました

「列車の旅」でありながらも、列車では行けないところにある“地域の魅力”も届けたい。
2日目の宿泊地・雲仙温泉では、こんな「体験」が用意されていた。

準備体操が行われている
準備体操が行われている

地域ガイド 市来勇人さん:
この風景も一緒にノルディックウォークで楽しんでください

地域ガイドの案内を受け、雲仙温泉街にあるキャンプ場「白雲の池」を散策するノルディックウォークだ。雲仙の自然を体感してほしいと盛り込まれた。

「白雲の池」を散策
「白雲の池」を散策

参加者:
うわ~めっちゃすごい。きれい~

地域ガイド 市来勇人さん:
雲仙というところは、これまで温泉街としては注目されていたが、日本発の国立公園で本当に自然が豊かな場所なんだよと知っていただきたかった。また雲仙に来たいと、この自然を見たいと思っていただけたらなと思う

“芯のある思い”が何よりも魅力

こだわりは「食」の演出にもある。ななつ星の乗客に昼食を提供する雲仙市国見町のレストランでは、食事の前に、料理で使う野菜を栽培している地元農家とのトークタイムが設けられた。

竹田かたつむり農園 竹田竜太代表
竹田かたつむり農園 竹田竜太代表

竹田かたつむり農園 竹田竜太代表:
自然の恵みをフルに活用して、一切水をかけない、雨水に頼る。農薬も化学肥料も使わないで、こだわった野菜を作っています。これ、「雲仙こぶ高菜」って言います。このこぶが、またおいしい。葉っぱの茎も料理に出るが、種もマスタードとして出てくる。いつ出てくるか楽しみにしてください

雲仙こぶ高菜を使ったメニュー
雲仙こぶ高菜を使ったメニュー

villa del nido 吉田貴文シェフ:
お肉の発酵エキスで煮浸しにした雲仙こぶ高菜、中に有明海の車エビと発酵させたレモン、有明海のノリ。上にアクセントに雲仙こぶ高菜の種を添えています

次々とテーブルに地元食材をふんだんに使用したイタリアンが運ばれ、参加者は、舌でも「雲仙の魅力」を味わったようだ。

villa del nido 吉田貴文シェフ
villa del nido 吉田貴文シェフ

villa del nido 吉田貴文シェフ:
この旅を機会に島原半島に来てくださったお客さまがまた帰ってくるような、そういった流れが生まれる機会になればいいなと思う

豪華列車でのゆったりとした時間だけでなく、雲仙のディープな魅力を体感できるななつ星の旅。地元・雲仙の観光協会は、観光地としてのブランド力アップに期待している。

雲仙観光局 林田真明さん
雲仙観光局 林田真明さん

雲仙観光局 林田真明さん:
(ななつ星のコースに)選ばれたというブランドを生かしながら、大地の恵み、食、温泉というものをななつ星の力に乗せてPRしていければ

九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長
九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長

九州旅客鉄道 クルーズトレイン 本部 小川聡子次長:
(雲仙の)人たちの芯のある思いがあるから農産物、レストランの食事、いろんなものが生まれていっている。それが何よりも魅力に感じています。九州へまた訪れたくなるそんな旅が作れたらいい思う

今回同行取材したのはコースのほんの一部で、大分・熊本など九州に息づく文化や豊かな大地の恵みに触れる北部九州を巡る雲仙コースは2023年1月と2月、そして9月に運行予定だ。料金は大人1人、115万円から240万円で、すでに1月・2月分は完売している。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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