2022年、J3参入一年目でJ3優勝とJ2昇格という快挙を成し遂げたいわきFC。東日本大震災からの復興がきっかけとなって誕生したチームへ、特別な思いを抱くサポーターと選手がいた。

チーム・サポーター互いに育む

福島県いわき市にあるサポーターが集う店「CHEKA」
店主の鈴木雅之さんはサポーター歴5年で、試合の前の日には前夜祭・アウェー戦では店内でパブリックビューイングを行っている。

サポーターが集う店「CHEKA」
サポーターが集う店「CHEKA」
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サポーター・鈴木雅之さん:
浦和レッズがアジアチャンピオンになったときに、試合を見た後に浦和の街で飲んだんですけど、おばさまたちがいろんなサッカー談議で盛り上がっているのを見て、自分の街にもこんな光景ができたらと思って

サポーター・鈴木雅之さん
サポーター・鈴木雅之さん

チームの躍進によって、これまで思い描いていた光景が、少しずつ現実のものに変わろうとしている。

サポーター・鈴木雅之さん:
この雰囲気だけは壊したくない。この雰囲気でどんどんどんどん盛り上がっていきたい。サッカーの試合があるときには、サッカーを見に来た方が飲みに出て街が盛り上がればと思います

チームがサポーターを育み、サポーターがチームを育てていく。昇格後のチームの未来に、話は尽きない。

声が届いた運命の一戦

そんなサポーターの熱い思いが実を結んだのが、昇格を決めた「運命の一戦」
観客席のチケットがソールドアウトし、Jヴィレッジスタジアムは過去最多となる約4400人のサポーターで埋め尽くされた。
4位の鹿児島を相手に、序盤からいわきペースに。この日も貫き通した「90分間止まらない走り続けるサッカー」 3年ぶりに声出し応援が解禁され、サポーターの熱い声援が選手の背中を押し続けた。

ホームには過去最多となる約4400人
ホームには過去最多となる約4400人

いわきFC・有田稜選手:
本当に素晴らしかったですし、きつい時にも「有田!」っていう声で自分も頑張れましたし、感謝したいです

いわきFC・有田稜選手
いわきFC・有田稜選手

J3参入一年目で、J3優勝とJ2昇格という快挙を成し遂げた。

いわきFC・山下優人選手:
東北社会人1部のことだったり、地決のことだったりっていうのがすごくフラッシュバックして、こうやって一つずつ段階を登って来たんだなっていうことが頭に上ってきました

特別な思いを胸に

2021年にデビュー戦を迎えた、福岡県出身の宮本英治選手。小学1年生のときにサッカーをはじめ、中学はJFAアカデミー福島への入団が決まっていた。

いわきFC・宮本英治選手
いわきFC・宮本英治選手

しかし、直前に発生した東日本大震災でJFAアカデミー福島の拠点は静岡県に。福島でサッカーを学ぶ機会は失われたが「結びつき」が失われることはなかった。

福島で学ぶ機会が失われる
福島で学ぶ機会が失われる

いわきFC・宮本英治選手:
勉強するのに困らないようにということで、勉強道具一式、筆箱やノートなどたくさん送っていただいて

大切にしてきたペンケース
大切にしてきたペンケース

入学するはずだった広野中学校から送られてきた筆箱。

いわきFC・宮本英治選手:
自分たちの方が恵まれているじゃないですけど、何不自由ない生活があるのに。そうやって困っている人たちから、支援物資が届くっていう。なんか申し訳ない気持ちというか、どう感謝を伝えればいいのかわからないというか

いわきFC・宮本英治選手
いわきFC・宮本英治選手

10年後、福島への特別な思いを抱き入団した選手は…その強い気持ちをプレーで表現。今シーズンは全試合に出場、2ゴール3アシストを記録し、チームの優勝・昇格に貢献した。

いわきFC・宮本英治選手:
こうやっていわきで自分が活躍している姿を見せて、広野町だけじゃなくて、いわきの星じゃないですけど、希望になれるように頑張りたいなっていうふうに思っています

いわきFC・宮本英治選手
いわきFC・宮本英治選手

宮本選手も、来シーズンの更なる活躍を誓った。

(福島テレビ)