北陸新幹線の福井延伸まで残り1年余り。駅を降りたあとの交通手段「二次交通」を取材した。“100年に一度のチャンス”に県内各地へストレスなく動いてもらえるよう、急ピッチで整備が進められている。
ビジネスチャンスに備え二次交通を整備
JR西日本:
北陸新幹線の敦賀延伸の効果を最大にするため、「tabiwa by WESTER」を導入いたしました

2022年11月、JR西日本は、観光客向けの新しいアプリ「tabiwa」を北陸エリアに導入した。観光スポットや飲食店までの交通手段が、このアプリで検索できる。加えて、観光施設の入館チケットや、鉄道・バスなどの周遊パスの購入も可能だ。
施設や交通手段の検索から始まり、予約、そして決済までを一括して行えるため、観光客の利便性の向上が期待される。

誘客支援のツールとなる新アプリを十分に活用するために重要となるのが、新幹線駅を降りてから目的地までのアクセス、いわゆる「二次交通」の充実だ。県は市町や交通事業者とともに、この二次交通の整備に取り組んでいる。
県交流文化部 酒井千恵子副部長:
新幹線が開業することで、関東圏のお客さまが直接、乗り継ぎなしで福井に来ることができる。降り立ったときに、県内各地にストレスなく動いてもらえる。新幹線効果を県内全域に波及されるためには必要なことだと思っている。また、駅のキャッシュレス化や多言語表示といったハード整備も進んでいる

また、県は交通の新たな取り組みの実証実験を支援する。これにより、県内に点在する観光地を結ぶ新たな交通手段や周遊ルートを最大限拡充。開業後にはそのブラッシュアップを図る。
県交流文化部 酒井千恵子副部長:
いろいろな観光地に行けるようなコンテンツをできるだけつくっておいて、使いにくいと思われるものは省き、いいものは残していく

また、民間の交通事業者でも、きたるビジネスチャンスに備えている。新幹線が先行開業したお隣、石川県で観光客が急増したためだ。
京福バス 経営管理部・松田康弘部長:
金沢開業時は、とにかく盛り上がった。何を売っても売れるし、当たるというような形で、お客さんもすごくいらっしゃったと聞いた。100年に一度あるかないかの出来事ですので、いかに開業時に向けて最大値の用意、準備ができるかを考えている

京福バスでは現在、福井駅と勝山市の県立恐竜博物館を結ぶシャトルバス「恐竜バス」を運行している。国の特別史跡、一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)周辺を回るバスなど、観光に特化した路線も運行している。

開業を契機に、既存路線の増便に加え、新規ルートも整備。より多くの観光客を取り込みたい考えだ。
コロナ禍でニーズ高まる“少人数旅行”
さらに、両輪として取り組んでいるのが「観光の掘り起こし」だ。京福バスで11月から始めたモニターツアーでは、代表的な観光地や、認知度は高くなくても魅力ある観光スポットをタクシーでピンポイントに巡ることができる。
この日は、大本山永平寺に2022年にオープンしたばかりの酒蔵観光施設「ESHIKOTO」などを巡るコースに同行した。

京福バス 着地型商品企画・吉住愛さん:
家族や好きな人だけで移動できる。普段予約がとれない観光地も、少人数だと対応してもらえるので、そこが魅力だと思っている

新型コロナウイルスの影響で少人数旅行のニーズは高まっていて、現在2種類あるコースを開業までにさらに増やしたいとしている。

観光客にとって、いかに福井が魅力的にうつるのかの努力が進んでいる。その明暗を分ける二次交通の整備は、今まさに正念場を迎えている。
(福井テレビ)