「屋外でのマスク着用は原則不要」と政府は5月から呼びかけているが、現在も街ではたくさんマスク姿の人を見かける。
その理由に関係しそうな、興味深い調査結果が発表された。マスクを外した時の顔立ちのギャップに不安がある人が男性でも4割以上、女性は6割以上いることが分かったのだ。
「マスクギャップ」の不安を調査
美容医療を専門とする東京美容クリニックが、首都圏に住む20~50代の女性965人と男性962人を対象に「マスクギャップ」ついてのインターネット調査を実施。
なお「マスクギャップ」とは、“マスクをつけた時と、外した時の顔立ちの印象ギャップ”を表す言葉だという。
顔の印象は上半分(目元)と下半分(口元)のバランスで成り立っているため、口元が隠れるマスク生活では実際の顔印象とギャップが生じやすく、マスクを外したときに印象が変わる恐れがあるとしている。
調査はまず女性を対象に行われ、マスクを外した時に人から見られる自分の顔に不安があるかを聞いたところ、「すごくある」「ややある」と答えた人は66.2%。
さらに、具体的にどんな不安があるかについては、答えが多かった順に「顔の上下の印象が違うと思われる」(23.2%)、「思ったより老けていると思われる」(21.6%)、「シミやそばかすが見られる」(16.8%)、「ニキビ顔が肌荒れを見られる」(16.0%)という結果になった。
同じ質問を男性にもしたところ、「すごくある」「ややある」と答えた人は41.1%。
不安の内訳は、上位から「顔の上下の印象が違うと思われる」(25.6%)、「ニキビ顔や肌荒れを見られる(」23.0%)、「思ったより老けていると思われる」(13.7%)、「しわが見られる」(9.9%)だった。男女ともに「顔の上下の印象が違うと思われる」ことを特に気にしているようだ。
また「マスク生活で増えたと思われる、自身で感じる顔で気になるところ」も聞いていて、女性のトップ3は「ほうれい線」(15.9%)、「たるみ」(15.8%)、「ニキビ(吹き出もの)」(13.6%)で、男性は「ニキビ(吹き出もの)」(14.0%)、「ほうれい線」(7.0%)、「たるみ」(6.7%)と、順位こそ違うものの同じ悩みが上位を占めていた。
男性の若い世代ほど「マスクギャップ」不安
長引くマスク生活に慣れてしまい、現在は外すときにも悩む人が出ているようだ。マスクギャップに不安がある男性が4割超もいるとは驚きだが、ウィズコロナにシフトする中でこの不安はこれからも増えるのだろうか?
東京美容クリニックの担当者に聞いてみた。
――男性の4割がマスクギャップに不安を感じている結果をどう分析する?
想定より多い印象です。年代別に見ると「不安がある」と「ややある」の合計が、20代は48%、30代は42.9%、40代は41.7%、50代は31.8%と、年代が若いほど不安を感じている割合が高い結果となりました。近年のメンズ美容の意識への高まりもあり、特に若い年齢層ほど顔のコンプレックスを感じやすいのかもしれません。
――この男性の不安は“脱マスク”社会が近づいてきた影響もある?
男性は、ヒゲの手入れをしなくてはならないという面倒さが不安要素にあるかもしれません。また、口元のコンプレックスを隠せなくなる、会社に入社した時からマスクをしている若い世代にとっては印象が変わるのではないかという不安もあるのではないでしょうか。
美容医療の男性利用者は増加
――マスクのルールが変わりつつある今、美容医療の男性利用者は増えている?
当クリニックの来院数は増えております。3年前は、男性が来院しやすいようにメンズデーを設けておりましたが、今は男性の美容医療への敷居が低く感じられるようになったのか、特にメンズデーを設けなくてもご予約をいただいております。
ジェンダーレス化が進んでいる社会の中で、男性がスキンケアに熱心になり美容医療に抵抗なく前向きな男性が増えているような気がします。
――男性客はどのぐらい増えている?
数年前に比べると2倍ほどに増えております。
――マスク関連でクリニックに来る人は、どんなことに悩んでる?
長時間マスクを着用することによって蒸れてしまい、毛穴が詰まる、ニキビが増える。また、しわやほうれい線の悩みが増えております。マスクで顔が隠れている間に、ダウンタイムが長めの施術(プチ整形)を希望される方が増えました。
――今後さらに脱マスクが進むと「マスクギャップ」が不安な人も増える?
多くなると思います。髭剃り不要など、どこか手入れをさぼりがちだったことができなくなることへの面倒さもあるのではないでしょうか。一方、あまり気にしていない割合が高い年齢層にとっては、早く外したいため不安はそれほどでもないでしょう。
ただ、第8波やインフルエンザ流行の兆しもあるため、感染したくないためマスクは必要になるという難しい時期ではあるかもしれません。
新型コロナの流行により、マスクが顔の一部になってしまったことや、世代に関係なく美容が身近になったこと、SNSなどで“映え”を意識する時代が来ているなど、様々なファクトと絡み合っているのかなと思います。
政府の新型コロナ対策の基本的対処方針では、11月25日から「飲食はなるべく少人数で黙食を基本とし、会話をする際にはマスクの着用を徹底すること」という記述がなくなっている。
一方、日本各地では第8波の到来も言われており、脱マスク生活はまだしばらくかかりそうな気配もある。こうしている間に「マスクギャップ」の不安はどこまで広がってしまうのだろうか。