二酸化炭素などの温室効果ガスが原因で地球の平均気温は上がり続け、豪雨などの異常気象が世界各地で発生している。
地球温暖化への対策が急務となる中、与那原町では温室効果ガスの排出ゼロ。いわゆる「脱炭素・カーボンニュートラル」の実現に向けさまざまな取組みが進められている。

沖縄県で初の「脱炭素の先行地域」

世界的な課題となっている地球温暖化。
平均気温が上昇していく中で国は2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指すいわゆる「カーボンニュートラル」の実現を目指している。

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与那原町 照屋勉 町長:
この脱炭素の流れはもはや世界の流れですので、町民もそういう意識を持ってもらってCO2を削減していくと、そして持続可能な環境に優しい町を作っていくという流れになろうかと思います

与那原町では年間約10万1000トンの温室効果ガスが排出されていると町の試算で推計されている。

町では脱炭素に向けて2020年から電気自動車の導入や太陽光パネルの実証実験を行っていて2022年11月、県内で初めて国から脱炭素の先行地域として認定を受けた。

今回の認定を受けて町は、10万トン余りの温室効果ガスをゼロにする本格的な取組みを進めるため2023年から5年の計画で、ある事業に着手する。

与那原町 照屋勉 町長:
まずは太陽光発電が一つです。これは公共施設あるいは、民間の一戸建ての住宅、あるいはアパートマンションも含めてそこに太陽光を設置することです

再生エネルギーの「ショールーム」に

人口約4400人が暮らし集合住宅や商業施設が建ち並ぶ与那原町の東浜地区。

町の計画は東浜地区を対象に国の補助で公共施設や商業施設そして、住宅に太陽光パネルと蓄電池を設置して、そこに貯まった電力を町内の電力会社から供給しようというものだ。

太陽光などの再生エネルギーを使用するため温室効果ガスは排出されない。
また、石炭などの燃料を輸入する必要がないことからコストを低く抑えることができるため電気料金も安くすることが可能となる。

与那原町 照屋勉 町長:
今後、様々な再生エネルギー。風力発電であったりそれから波の力を使った波力発電であったり(与那原を)脱炭素を目指した再生エネルギーのショールームにしていこうと

「稼ぐ力を好循環していく」

埋め立て地区で海に面した東浜の立地を活かして、今後は波力発電や小型の風力発電などの導入も視野に入れる。
また、この計画を進めることで地域経済の発展に繋げたいという考えもある。

与那原町 照屋勉 町長:
新たな産業の創出。そして地域経済の活性化を目指す。稼ぐ力を町内で好循環していくという仕組みを作っていきたいと思っています

町によると、電気やガスといった町内で年間に消費されているエネルギー全般の消費額は約21億円。町内に電力会社を置き地域内で回すことで、経済の活性化や公共サービスの向上にも繋がるとしている。

与那原町 照屋勉 町長:
様々な高齢者の問題。あるいは貧困の問題だったり、あるいはまた公共交通の維持であったりそういう事に上手く回していけるという所です

「目標に向かう姿勢 醸成できれば」

こうした町の計画を説明するため2022年11月、東浜自治会で住民向けの説明会が開かれた。

与那原町の住民の方:
共同住宅アパートやマンションの場合。何のメリットがあるのか、分かりかねるので教えていただきたい

担当者の方:
同じメニューで電気代が安くできるようにしていきます。そのために多くの建物公共施設も含めて多くの建物に再エネ(再生可能エネルギー)を導入し、余った利益を地域みんなで使っていこうという事によって電気代が安くなる

与那原町の住民の方:
メリットが継続して(計画の)5年以降もいけるのか?

与那原町の担当者の方:
(設置したら)人が住んでいる限り続くわけですから、我々としても持続可能な計画として今回組んでいますので5年は補助事業入れますけど、仕組みが作られているのでずっと続いていきます

町は、これまでにも住民説明会を4回開いて、この日も今後も住民の疑問を受ける機会を定期的に設けることが確認された。

与那原町東浜自治会 國仲健次 会長:
丁寧な説明の場を何回も重ねるという事が一番大事なことだと思いますので、それをみんなの力で出来るのであれば協力して、いろんな面で勉強しながら行政と協力していけたらと思います

与那原町 照屋勉 町長:
町民全体で1人の力はそんなになくても多くの人の目標に向かっていくという姿勢がうまく醸成できれば出来るのではないかと思っています

温暖化を食い止め、豊かな環境を次の世代に残していくため行政、民間、そして地域によるプロジェクトが与那原町から始まる。

沖縄テレビ
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