11月22日は「いい夫婦の日」。
男性の家事・育児力を都道府県別でランキング化したところ、高知県が全国1位に。そんな結果が「積水ハウス」が調査した「男性育休白書」に掲載された。

男性の家事・育児力をランキング化した(提供:積水ハウス)
男性の家事・育児力をランキング化した(提供:積水ハウス)
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白書では「男性の家事・育児の実践数」および「関与度」「育休取得日数」「家事・育児時間」「家事・育児参加による幸福度」の5項目について調査。これらを評価基準とし、2022年6月、小学生以下の子どもがいる全国の20代〜50代の男女9400人にインターネットで行った。

そして各項目ごとに1位には47点、47位であれば1点と順位に応じた点数をつけ、合計点のスコアでランキング化した。家事・育児の実践数や関与度などは、妻である女性の評価が反映されている。

トップは高知県…沖縄県、鳥取県が続く

そうしたところ、男性の家事・育児力が全国1位となったのが、高知県。

高知県のデータ(提供:積水ハウス)
高知県のデータ(提供:積水ハウス)

高知県は、家事・育児の実践数が8.5個、家事・育児時間が週に18.4時間で47都道府県の中で最も多く、家事・育児の幸福度も3位となった。育休取得日数は10.2日、合計点は223点でトップに輝いた。

2位は沖縄県(208点)で、育休取得日数は全国最多の19.7日、家事・育児時間は週に17.2時間だった。3位は鳥取県(189点)で、こちらは家事・育児参加による幸福度が高かった。

3位までのデータと全国平均(提供:積水ハウス)
3位までのデータと全国平均(提供:積水ハウス)

4位以下は、大分県、熊本県、栃木県と続いた。東京都は31位(104点)にとどまり、家事・育児の実践数は5.4個で44位だった。

積水ハウスによると、男性の家事・育児力の調査は2019年から行っていて、高知県の順位は、23位(19年)、15位(20年)、10位(21年)と年々上昇しているという。

高知県は育児「休業」も「休暇」もしやすい雰囲気

一体どんな取り組みをしているのだろうか。まずは、高知県の担当者に聞いた。


――高知県の男性の家事・育児力が1位に。ここ数年で上がった要因は?

平成30年(2018年)に「育児休暇・育児休業取得促進宣言」を始めた影響があると思われます。これは企業の代表者に「育児休業を促進する」宣言書に署名し、社内に掲示してもらう取り組みで、育休を取得しやすい雰囲気につながればというものです。

育児休業だけではなく、育児休暇の取得も推進している(高知県のウェブサイトより)
育児休業だけではなく、育児休暇の取得も推進している(高知県のウェブサイトより)

――男性の家事・育児関連の県の施策を教えて。

働きながら子育てしやすい環境づくりに向け、県内企業の取り組みを推進してきました。男性育休をテーマとしたフォーラム、改正育児・介護休業法に関するセミナーを開いたり、父と子どもの時間をみんなでつくる「僕らの子育てキャンペーン」なども開催しています。


――父と子どもの時間をつくるとはどういうこと?

企業によりけりですが、例えば、育児休業だけではなく、育児を目的とした休暇制度を設けるなど柔軟な働き方をすることで、育児時間をつくる促進をしています。優良事例は、地元新聞の広告枠で紹介することもあります。企業名も公開されるのでPRにもなります。

男女関係なく「一緒に稼いで一緒に育てる」

――家事・育児に関連した、高知県の特徴はある?

高知県は女性の有業率が高く、結婚・出産後も働き続け、管理職に占める割合も高いとされています。これは、男女間の賃金差が小さいことが関係しているとみられます。共働きして家事や育児にも参画するのが当たり前という風潮があると思います。

共働きして家事や育児も一緒に行うという(画像はイメージ)
共働きして家事や育児も一緒に行うという(画像はイメージ)

――高知県の男性には特徴や傾向などはある?

育児に積極的な方が多い印象です。知事はイクボス宣言をしていますし、県庁では男性の育休取得率は70%を超えています。子どもが生まれたら、男性も女性も関係なく「一緒に稼いで一緒に育てる」という印象があります。


――男性は家事・育児力をどう高めたらいい?

女性(ママ)や赤ちゃんについて知り、コミュニケーションを取ることが重要ではないでしょうか。家事や育児は本来、自分からするもののはず。家事などのスキルは自然と身につくので、まずは「自分ごと」と意識して取り組むことだと思います。

育休で「何をするのか」の共有も大切

高知県は女性の社会進出が目立つ地域性に加えて、県も支援をしていた。調査元の積水ハウスはどんな取り組みをしているのだろうか。こちらの担当者にも聞いた。


――住宅メーカーがなぜ、家事・育児力を調査した?

積水ハウスは、2018年9月より3歳未満の子どもを持つすべての男性社員を対象に、(子どもが)3歳に達する日の前日までに、1カ月以上の育児休業取得を推進しています。“男性の育児休業取得をよりよい社会づくりのきっかけとしたい”との思いから、9月19日を「育休を考える日」と記念日に制定し、2019年から企業で働く男性の育休取得実態を探る「白書」を発表しています。

家族ミーティングシート(提供:積水ハウス)
家族ミーティングシート(提供:積水ハウス)

――男性の家事・育児力を高めるためにしていることはある?

該当社員とご家族、同僚や上司など社内関係者にコミュニケーションの大切さを伝えています。具体的には「家族ミーティングシート」という独自ツールを提供しています。家族のありたい姿を夫婦で話していただき、育休中に家事・育児の何をするのか、育休が終わってから何をするのかを具体的に記入します。また、奥様のサインをいただく点も特徴です。


――男性の育休制度を導入して変わったこと、思うことはある?

社内調査では育休を取得する際、業務の引き継ぎなど職場が協力的にサポートしてくれたという結果も出ており、助け合いの風土が醸成されてきています。女性の産後の家庭と両立した働き方への理解にもつながっているとの声も聞いています。



高知県も積水ハウスも、家事や育児についての意識を共有することを重視していた。育休の取得率などが注目されがちだが、大切なのは家族で支え合う意識かもしれない。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。