”第8波”が現実のものに

賀来氏は「第8波の入り口にさしかかっているとも考えられる」とコメントした
賀来氏は「第8波の入り口にさしかかっているとも考えられる」とコメントした
この記事の画像(5枚)

東京都の新型コロナウイルスモニタリング会議が開かれ、新規感染者数の7日間平均は、先週の6452人から8020人に増加。感染拡大のスピードを示す増加比は2週前の約130%、先週は約150%、今週はやや勢いは落ちてきたものの約124%と3 週間連続して、100%を上回る増加傾向、との分析が示された。 

年代別に見ると最も多いのが20 代の18.8%、次いで40代16.8%、30代16.1%、で東京iCDCの賀来満夫所長は「第8波の入り口にさしかかっているとも考えられる」とコメントした。

4段階で示す警戒レベルを感染状況については「感染が拡大している」として、一段引き上げ、上から2番目とした。医療提供体制は先週と変わらず上から3段目に据え置いた。 

きのう、日本医師会の釜萢常任理事は、「第8波が始まった」との認識を示している。いずれにしろ、”第8波”が現実のものとなっているのだ。

変異株は「群雄割拠」 

コロナ変異株は「群雄割拠」の状態になるのか
コロナ変異株は「群雄割拠」の状態になるのか

BA.2.75=ケンタウロス、BQ.1.1=ケルベロス、XBB.1=グリフォンなど、新たな変異株が、都内でも、次々、確認されている。東京iCDCの賀来満夫所長は「インバウンドが大きな要因の一つだと思う」としつつ、「変異株は国内独自でも変化していく」とも述べた。

今後についてはBQ.1.1系統の方が主流となる、との見方を示した。ある関係者も、BQ.1.1系統がいずれ主流になる、としつつも直近では「どれが来る(=増える)かわからない。群雄割拠」と先行きを注視する考えを示した。 

確かに、東京都健康安全研究センターが行う変異株PCR検査の今月1日から7日までの結果を見ると、99・2%を占めていたBA.5が76・6%まで減る中、BA.2.75は4・8%、BQ.1.1は5・6%、BF.7は7・3%など、“どんぐりの背比べ”状態だ。 

同時流行で1日最大9万3000人感染か 

東京都は、感染ピーク時には、1日当たりの感染者数が、新型コロナ5万人、インフルエンザ4・3万人の合わせて9・3万人と想定。この人数は、国が先月中旬、全国に向けて出した通達に沿って算出されたものだ。 

東京都は、コロナとインフルの同時流行に備え、確保病床を2週間以内に7262床まで増やすよう要請。現在9000室の宿泊療養施設の稼働居室を、18日から11000室に増やす他、陽性者登録センターの対応能力を、現在の1日8000人から4.1万人まで引き上げるという。

ピークが長く続く可能性も 

大曲氏は「ピークが長く続く可能性がある」との見方を示した
大曲氏は「ピークが長く続く可能性がある」との見方を示した

国立国際医療研究センター・大曲貴夫国際感染症センター長は、現状では感染者の増え方が、第7波に比べて「緩やか」とした上で、「コロナが、だらだらと続く中で、インフルエンザも一気に立ち上がってきますので」と述べ、立ち上がりが緩やかなぶんピークが長く続く可能性がある、との見方を示した。 

3万6000人で済むのなら・・・ 

名古屋工業大学の平田晃正教授のグループから「新規感染者の7日間平均が3万6000人に上る」とう予測が出されている。この予測をめぐって、都庁内での受け止めは様々だ。「それで済むなら」という安堵にも似た声がある一方で、「山(=波)が来るごとに感染者が倍になっているのに、それで済むわけがない」と懐疑的な声もあがっている。

いったん減少も?勝負は12月、1月 

また、ある関係者は、今後の感染状況について、①1万人前後が1ヶ月ぐらい続いて、冬になって大きく増える②ワクチン接種が進んで減る③一旦減るものの冬に再び増える、など様々なパターンが考えられると指摘する。

「勝負は12月、1月。オミクロン株ワクチンの接種が進めばブレーキになる。今回は、感染拡大の波にかぶせるように、ワクチン接種を進めることができる」として、11月中にワクチン接種がどこまで進むかが、今後の感染状況を左右する、と強調した。 

「まさに今が踏ん張りどころでございます」 

コロナ禍で3回目の”冬”を迎えるが、東京都の対応は・・・
コロナ禍で3回目の”冬”を迎えるが、東京都の対応は・・・

小池知事は都民に協力を呼びかけるとともに「ワクチン接種と感染対策で、アクティブな冬を」と銘打って、熱が出たときのための備蓄、重症化リスクに応じた受診方法の確認なども呼びかけた。 3回目の冬を、それぞれがどう踏ん張るのか、今のうちに自分に合った準備を進めておくことが重要だろう。 

(フジテレビ社会部 都庁担当 小川美那)

社会部
社会部

今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。