九州最大の繁華街、中洲を練り歩く「中洲國廣女みこし」。法被姿の女性たちが、みこしを担ぐ「中洲まつり」最大の名物だ。
コロナ禍で苦境に立たされ続けた担ぎ手たちが、3年ぶりに復活したみこしに込めた思いとは。

女性だけでみこしを担ぐ「中洲國廣女みこし」 3年ぶりに開催

35年前、男性だけが参加できる博多祇園山笠に負けられないと、中洲で働く女性たちによって始められた「女みこし」。しかし新型コロナ感染拡大の影響により2年連続で中止を余儀なくされていた。

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まとめ役は「みこし委員長」の高瀬奈美さん。高瀬さんは、女性たちだけでみこしを担ぐ一体感に魅了され、20年以上、祭りに参加し続けている。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん:
ことしは参加者が少ないです。みこしは1基だけ出します。みなさんに本当にきつい思いをさせるかもしれませんけど、けががないようにしていきますので、ご協力お願いします

高瀬さんは中洲の一角でスナックを経営している。中洲で働き始めて20年以上。コロナ禍で「夜の街」は感染源のひとつとして敬遠され、度重なる休業要請や時短要請でかつてない苦境に立たされた。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん(47):
お客さんたちが戻ってこない状態がずっと続いていたので。ほかに仕事どうしたらいいんだろうとか、先が見えなさすぎて、辞めるべきか続けるべきかを悩みましたね

感染拡大が落ち着きつつあるなかで3年ぶりの開催が決まった「女みこし」。2022年は「特別な思い」があると話す。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん:
いまから、やっと日常に来年に向けて、明るい中洲に戻るために、少しでも手助けに華やかな神輿をしたい

一方で、心配なことも―。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん:
無事に感染対策してみこしが奉納できるかという心配が大きいかな。担ぎ手の人数も少なくしているし、マスクも着用というのは息苦しくなるし

担ぎ手の数は例年の4分の1 迎えた「女みこし」本番当日 

不安を抱えながら迎えた「女みこし」の本番。みこしの総重量は500kg以上。感染対策のため参加者は全員マスクを着用。さらに、担ぎ手の数を例年の4分の1に減らしたため1人1人にかかる負担は大きいものになる。

それでも―。

「ソイヤ!ソイヤ!」女性たちだけの力で「みこし」を見事に担ぎ上げた。高瀬さんも安全に気を付けながら先頭に立ってみこしを力強く誘導する。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん:
いーい?いくよー

コロナ対策のため、恒例の台上がりはなかったものの中洲の街に「女みこし」の威勢のよい掛け声が響き渡る。

参加者:
3年ぶりに担げてものすごく楽しいです。3年分の思いを「ソイヤ!」に込めました。中洲を盛り上げていきたい気持ちがあるので、見て下さった方が元気になればいい

見物客:
人と人のつながり、触れ合いが見られるのはすごくいいことだなと思いました

見物客:
女性だけなのに男性に負けないくらいパワーを感じて素敵でした

誰1人けがすることなく、約2時間半かけてみこしは中洲の街を練り歩いた。

中洲國廣女みこし委員長・高瀬奈美さん:
本当にありがたい、みなさんのご協力のたまものだと思う。中洲に来られるお客さまへの謝恩なので、これをきっかけに少しでも足を運んでいただけて活気づけばと思います

3年ぶりに夜のネオン街に繰り出した「女みこし」。中洲の街は一歩ずつコロナ前の姿を取り戻そうとしている。

(テレビ西日本)

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