11月4日から群馬県で開催される東日本選手権。
東北・北海道選手権、関東選手権、東京選手権を勝ち抜いた選手たちが全日本選手権をかけた最後の戦いに挑む。
今年の全日本は12月21日から大阪・東和薬品RACTABドームで開催される。
果たして、どの選手が全日本への切符を掴むのか。
シニア女子は7枠を争う熾烈な戦い
GPシリーズ出場のため住吉りをん、渡辺倫果が予選を免除され、全日本の出場が決定している。東日本選手権は28名がエントリー、そのうち7名が全日本の出場権を獲得できる。
優勝候補の筆頭は、明治大学入学を機に福岡から上京し、MFアカデミーで力をつける江川マリアだ。
東京選手権ではGPシリーズ出場メンバーの住吉・渡辺を抑えての初優勝。

「ミスがあっても120点台が出るようになった」と話し、悔しさをにじませながらも手ごたえを感じていた。
その江川と同じく今季からMFアカデミーへ拠点を移し、去年の東日本では2位だった青木祐奈も注目だ。
代名詞の3回転ルッツ+3回転ループのコンビネーションジャンプの精度を上げてきている。去年の全日本でフリー進出を逃した悔しさを晴らすため、東日本で弾みをつけたいところ。
吉岡詩果も2年ぶりの全日本を狙っている。関東選手権3連覇の彼女は、去年右足の疲労骨折の影響で全日本の切符をつかむことができなかった。悔し涙を流した舞台でどんな演技をするのか、注目したい。
活躍の場を広げている本田真凜も期待だ。本田はここ2、3年で一番良い状態だといい、大きなミスなく全日本で再び華のある演技を披露してほしい。
2019年の全日本で3位の経験を持つ川畑和愛は去年、不慮の交通事故に遭い全日本欠場を余儀なくされた。まだ万全ではないものの、東日本に向けてどう調子を合わせてくるのか。

シニア1年目の三枝(さいぐさ)知香子は、去年の全日本ジュニアが大学受験と被り、演技直前で会場に到着。周囲のサポートもあり、駆け込みで演技ができたという経験を持つ選手。
今年は初の全日本を目指す三枝。東京選手権5位のスコアであれば全日本圏内だ。
さらに今季ラストイヤーの松原星、佐藤伊吹、廣谷帆香の3選手も目が離せない。3人は、それぞれブロック大会で納得のいく演技ができなかったと語っている。最後の全日本出場を絶対に逃すわけにはいかない。
シニア男子はたった4枠の出場権
シニア男子はシードの鍵山優真、GPシリーズに出場する佐藤駿、島田高志郎、三浦佳生が予選を免除されている。エントリー20名のうち全日本へ進めるのはたった4人だ。
優勝候補は、西山真瑚。東京選手権でGPシリーズ出場組に食らいつき、210点を超えるハイスコアをマークした。

来季からアイスダンス一本で勝負するため、シングルの全日本は最初で最後の挑戦となる。
ファンの間で“スタァ”と呼ばれる大島光翔も全日本を狙っている。

フリー「トップガン」のサウンドトラックを組み合わせたプログラムは、大島らしくエンターテインメント全開だ。組み込み続けている4回転ルッツにも注目したい。
今季ラストイヤーの山隈太一朗も4枠というわずかな出場権を狙う一人だ。高さのあるトリプルアクセルは健在。初めて海外の振付師と作ったというプログラムは、東日本でどんな磨きがかかってくるのか。
他にも、3回転ルッツ+3回転トゥループが武器の東京理科大学に通う長谷川一輝、2度の全日本の経験を持つ國方勇樹、去年全日本出場を果たした鈴木楽人も東日本を突破し、全日本への切符を手にしてほしいところだ。
そして初の全日本出場を狙うのが、門脇慧丞と佐藤由基の2人。伸びのあるスケーティングが特徴の門脇、去年約2点差で全日本に届かず、リベンジを誓う佐藤由基ら、シニア男子も激しい戦いが予想される。
ジュニア勢の戦いにも注目
11月25日からの全日本ジュニア選手権をかけた一戦も東日本で行われる。今大会では、ジュニアGPシリーズ出場のため、地方大会を免除された選手も顔を揃える。
ジュニア女子は31名がエントリー。シードの千葉百音をのぞく、12名が全日本ジュニアの出場権を獲得する。

千葉百音は、シード選手としてすでに全日本ジュニア出場を決めている。
彼女の伸びやかな滑りはより一層磨きがかかり、ジュニアGPポーランド大会では表彰台に登った。4回転トゥループも練習中だ。

中井亜美は2戦連続でジュニアGPの表彰台に立った。トリプルアクセルも成功させて、ジュニアGPファイナル進出も決定。彼女の武器の一つ、トリプルアクセルの成功が東日本優勝へカギを握る。
その中井と仲が良く、同じMFアカデミー所属の髙木謠は、ハツラツとした演技が特徴だ。また、東京選手権で優勝した奥野友莉菜は、ジュニア勢トップクラスとも言える、流れの途切れないスケーティングを誇る。
2年連続で全日本ジュニアを逃した穂積乃愛は、去年悔し涙を流した東日本で今年こそと意気込んでいる。
ジュニア男子は31名がエントリー。
シードの吉岡希をのぞく9名が全日本ジュニアへ進出することができる。

その男子シードの吉岡希は、ジュニアGPチェコ大会で優勝、ジュニアGPファイナルの出場権を掴んだ。
去年までは西日本選手権に出場していたが、今年法政大学に進学したことで、吉岡にとって初めての東日本となる。

ジュニア1年目となる中田璃士(りお)は、ジュニアGPラトビア大会で2位に入った。高さとキレがあるトリプルアクセルに加え、4回転ジャンプも練習中だ。
同じくジュニアGPラトビア大会に出場した周藤(すとう)集は、東京選手権では2位に20点以上差をつけて合計184.09点で優勝。力強い演技が魅力だ。
将来が楽しみな期待のペア
ジュニアペアは、1組がエントリーしている。
結成1年目の村上遥奈・森口澄士組は、ジュニアGPポーランドで表彰台に登るという快挙を成し遂げた。そんな2人は、10月27日から30日に行われた西日本選手権からの連戦だ。
2人はそれぞれシングルで出場し、村上はジュニア女子で3位、森口はシニア男子で3位に入った。シングルでもトップクラスの2人が繰り出す3連続ジャンプは、ペアのトップ選手たちが組み込むことのない超大技。

夏にはカナダで、今年GPシリーズで日本のペア史上初優勝を飾った“りくりゅう”こと、三浦璃来・木原龍一組と同じリンクで練習を積んだ。今の“りくりゅう”のように、将来“はるすみ”と呼べるようなペアを目指す2人の演技が楽しみだ。
いろいろな思いが交錯する東日本選手権。今年はどんな戦いが繰り広げられ、どんなドラマが生まれるのだろうか。選手一人ひとりの健闘を祈りたい。
全日本までの道の詳しい概要はフジスケで!
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/toJPN.html