丁寧に清掃、白いタオル洗って更に点検。最新工場で“命吹き込まれる”洗濯機。 注目度が高まっている“中古家電”。その背景にあるのが、家電業界にも押し寄せる値上げの波だ。 最新の消費者物価指数の去年8月と比べた伸び率を見ると、冷蔵庫やエアコンなどが軒並み値上がり。加えて半導体などの部品供給の不足もあり、納品が遅れるという現象もあるようで…。中古家電の最前線を取材した。

■新たな選択肢となりつつある中古家電

 ガソリン、食品、電気代…円安等の影響で、今あらゆるモノの値段が上がっている。そんな中で価格も手ごろで中古家電のニーズが高まっている。

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 その一方で、中古家電には抵抗感を持っている人もいるようで、番組が行った取材では「誰が使っていたか分からないから嫌」「生活に身近な家電だからこそ中古は考えにくい」「すぐに壊れてしまうのでは?」といった声も上がっている。

使い古しというイメージから、リユースという消費者の新たな選択肢となりつつある中古家電。変わる業界の今を取材した。

■お部屋の住み替えでも…中古家電が決め手に

 中古家電は、住まい選びにも大きな影響を与えている。今回取材した女性は、引っ越しを機に家電の買い替えを検討していたが、予算面で断念。

 そんな時、中古家電が一式で付いてくる物件を見つけ入居を即決したそうだ。 この女性が手にしたのは、テレビや冷蔵庫、洗濯機などあわせて8点。

 リサイクル業もおこなう不動産業者がサービスとして行っていて、家電一式が無料で揃うことをウリにしている。

取材した女性:
一気に揃えると、やっぱりすごく高くなるので。汚かったりとかしたら嫌だったんですけど、すごいピカピカのが用意されていたので、ありがたいの一言です

中古家電は、住まい選びのひとつの判断基準にもなっているようだ。

■新品の売上もアップ!中古家電の底力

中古家電への抵抗感を変えようと、ヤマダデンキでは全国90店舗で中古家電を販売している。

ヤマダ アウトレット門真店 永石勝店長:
こちらが今発売されている新品の商品になります。価格が14万8000円ほどです。対してこちらが、同じメーカーの同じサイズのリユースで3万5000円ほどになります

薄田ジュリアキャスター:
これだけの差があるわけですね、中を見てもいいですか?目立った汚れはないですね。あまり大差ないですね、思っていたのと違う。

薄田ジュリアキャスター:
この差で10万円以上価格に差が出るわけですね。これだったら迷われる方がいそうですね

ヤマダ アウトレット門真店 永石店長:
当店では(新品・リユース)どちらも併せて展示しておりますので、お客様のニーズにあった商品選びをしていただけるようにしています

 新品と同じぐらい綺麗になった中古家電と新品を比べることで、その価格差が際立つ。さらに、ヤマダデンキの中古家電は2年間の保証付き。

ヤマダ アウトレット門真店 永石店長:
初めから中古は嫌だという方もいらっしゃるので、そういった方は新品・アウトレット品をお買い求めいただきます。当店としては、新品とアウトレット品、リユース品と選択肢を増やすことによって、お客様への集客効果というのが非常に期待できます

 中古家電を取り揃えるようになってから、相乗効果で新品の売り上げが以前に比べ10%ほど伸びたそうだ。

ちなみに中古家電は安く引き取れるため、新品を販売するよりも利益率が高いそうだ。

■"再生工場"で生まれ変わる中古家電 その仕組みは…

 新品と遜色ない状態にまで再生する工場とは…?お邪魔したのは全国から集められた家電7千台が収納できる倉庫。工場へ届いた家電は、サイズやメーカーごとにこの倉庫で自動管理されている。

その後、家電ごとに点検や修理が行われますが、作業はほぼ全て人の手によって行われる。運び込まれた家電はまず正常に動くかや、部品が欠けてないかなどの点検が徹底的になされる。

中には、故障や動作不良などでリユースに回せない物もあるが、それらはすべて分解。使える部品をストックしておくことで、別の中古家電の再生に役立てたり、故障時の部品交換などに活用する。

ヤマダホールディングス 清村浩一執行役員:
こちらが洗浄のコーナーになっております

ここで洗われていたのは洗濯機。高圧で汚れを落とす機械や手作業で、細かい部分まで丁寧に汚れを落としていた。

1時間程かけて綺麗にした後は、白いタオルを洗ってさらに点検。

ヤマダホールディングス 清村執行役員:
先ほどの洗浄の後、洗濯槽の中に汚れが残っていないか、あるいは糸くず等のゴミが残っていないか確認することができます

これだけの洗浄と点検を繰り返し、自信を持って全国の店舗へ出荷されていく。 この工場では、リユース品の洗濯機のほか冷蔵庫やテレビ、エアコンが1日あたり400台生産されている。

ヤマダホールディングス 清村執行役員:
こちらの工場ではひと月の生産台数が1万台をまもなく達成します。このリユース製品についてはまだまだ市場規模が拡大するので、これからも工場を増やして、リユース商品の生産を(年間)30万台まで拡大する計画です

進化する中古家電。消費者が当たり前のように選ぶ時代は、すぐそこかもしれない。

(関西テレビ「報道ランナー」10月18日放送)

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