16日、池袋「サンシャイン60」で行われた100人規模の宴会中に起きた大乱闘。
準暴力団「チャイニーズドラゴン」メンバーらが、2022年8月に服役を終えたメンバーの「出所祝い」を行っている最中、殴り合いに発展したといいます。

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乱闘の原因はわかっていませんが、防犯カメラには別のグループ約20人が店に乗り込む姿が映っていたという新たな情報も。

反社会勢力に詳しい石原行雄氏は、チャイニーズドラゴンを「殺人未遂ですとか暴行傷害ですとか、あるいは強盗ですとか、非常に直情的で凶暴な一面なんかも見られるグループ」だと話します。
ドラゴン内にも多くの派閥があり、今回の乱闘は内輪もめの可能性があるという指摘も。

準暴力団「チャイニーズドラゴン」とは?

家族連れも多く集まるサンシャイン60で起こった、反社会的勢力による大乱闘。
元警察官僚で中央大学法学部教授の四方光(しかた・こう)氏も、最近では“暴力団”だとしてもここまでの規模の乱闘は「珍しい」と言います。

中央大学法学部 四方光教授:
ここまで大規模なものというのは、珍しいのではないかと思います。
グループの勢力争いっていうのはなかなか激しいものがあり、このチャイニーズドラゴンというのは発足当時から荒々しい団体でした。

暴力団も恐れると言われている「チャイニーズドラゴン」。
元は、1980年代後半から1990年代、都内で暴れ回っていた暴走族「怒羅権(ドラゴン)」が源流とされています。
中国在留日本人の2世、3世を中心に構成されており、暴行や傷害、麻薬の密輸などでメンバーが逮捕され、2013年に警察庁が「準暴力団」の認定を行いました。

四方教授は、中国在留日本人たちは、中国では「日本人」として差別され、日本帰国後も言葉が話せず、読み書きができないことなどからうまく溶け込めず、社会への恨みを募らせた一部の人々が「怒羅権」を結成したといいます。

そんな彼らが引き起こしてきたのが凶悪事件の数々、1989年には暴走族の抗争で相手を刺殺、2009年には高校生らを金属バットで襲撃、2015年には新宿歌舞伎町で青竜刀をつきつけて暴行、そして2021年には約4億円の覚醒剤の密輸などがありました。

長年警察は、「怒羅権」そして「チャイニーズドラゴン」に手を焼いてきたと言います。

中央大学法学部 四方光教授:
次々大きな事件を起こしていますので、警察も対応するのが大変だったと思います。
また、暴力団に対しては様々な法令が整備されてきていますが、チャイニーズドラゴンのようなグループを取り締まるのは、難しいところがあるんです。

なぜ取り締まりが「難しい」のでしょうか?

「チャイニーズドラゴン」は集団的・常習的に暴力的不法行為を繰り返すとして、「準暴力団」に認定はされているものの、現状「暴力団」ではないので暴対法や暴排条例で取り締まることができないのです。

「暴力団」は規制されていても、「準暴力団」にはできることとして、出所祝いパーティや出所祝い金品提供、5人以上での集会や事務所新設などが上げられます。

また、組織の形も「暴力団」とは異なっているといいます。「暴力団」はピラミッド型でトップがいて“縦のつながり”が非常に濃く、組織が明確に形成されています。一方、「チャイニーズドラゴン」は、メンバーが流動的に“横のつながり”で行動するため、組織図というものがありません。

SNSでも“暗躍”か?身近に潜む「チャイニーズドラゴン」の影

取り締まりたくても、取り締まれない、実態把握の難しさがある「準暴力団」。
反社会勢力に詳しいジャーナリストの石原行雄氏は、「チャイニーズドラゴン」などの準暴力団が、SNSでも暗躍していると注意を促します。

石原氏によると、SNSをきっかけに若い世代が犯罪に巻き込まれるケースがあるといい、例えば、高収入をうたうアルバイトに軽い気持ちでアクセスをしてしまうと、特殊詐欺の“受け子”として利用されてしまい、「個人情報を押さえられ、脅されて抜け出せなくなる」というケースや、口座情報を提供することで、「特殊詐欺の振込先として悪用される可能性」もあるのです。

中央大学法学部 四方光教授:
“半グレ”のグループの場合、見た目はまったく他の人とかわらないため分かりません。
また、特殊詐欺には、暴力団や準暴力団も参入していて、捕まり役、詐欺の“捨て駒”として闇バイトをSNSで募集しているのです。
楽して儲かる話はないと、安易に話に乗らないでいただきたいなと思います。

(めざまし8「わかるまで解説」より 10月21日放送)