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関西空港近くの大阪湾で、“ある高級魚”の復活プロジェクトが進んでいる。大阪の空の玄関「関西空港」第1ターミナルにある港から、大阪湾に出る船に密着した。
大阪湾で“幻の高級魚”が復活
船が向かったのは、護岸。関西空港の周辺の海にどんな魚が生息しているか、調査するためだ。調査員が海底から引き上げたカゴにかかっていたのは、かつて“幻の魚”とも言われていた「キジハタ」。大阪では、「アコウ」と呼ばれる高級魚だ。
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一時は大阪湾から姿を消していた「キジハタ」が、なぜ復活したのか。
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今からさかのぼること、約70年。大阪湾は海水浴や干潟遊びでにぎわい、海の幸にも恵まれた豊かな海だった。
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しかし高度経済成長期には、工場排水などで水質が悪化。埋め立て地が増えたことで海水の流れが停滞し、さらに汚染が進んでしまった。
大阪湾はかつての姿を失い、捕れる魚も減ってしまったのだ。
約30年前「関西空港」建設時に作った魚たちのすみか「藻場」
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そこで、関西空港の埋め立て工事の際、太陽光が当たりやすいなだらかな護岸を作り、そこに海藻を植え付けて魚のすみかとなる「藻場(もば)」を確保した。
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禁漁区の指定を受けた「藻場」に魚が集まり定着につながるのか、調査を続けることにしたのだ。「藻場」を作ってから10年がたった、1999年。魚の定着に向けて、確かな手ごたえが見られていた。
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記者(1999年):
関西空港の南側の護岸になります。海の下にはたくさんの海藻が茂っていて、魚の種類も豊富だということです
関空の護岸には、サザエやカサゴなどさまざまな貝や魚が増えていた。
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この撮影からさらに約20年がたった、2022年の調査。体長30センチを超えるアナゴに鋭い歯をもつハモなど、約10種類の魚を確認できた。
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関西空港ができてから約30年となった現在、多くの魚や貝が住みつくようになった。そして今回、最も多くカゴに入っていたのが、大阪府がブランド化を目指すキジハタだ。
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キジハタは、冬のフグに匹敵する夏の高級魚で、刺身にするとコリコリとした歯ごたえがある白身魚。大阪府は「魚庭(なにわ)あこう」としてブランド化を目指している。
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調査で捕れたキジハタは、府の養殖研究所などに運ばれ、大阪湾全体に放流されている。その結果、大阪湾のキジハタの漁獲量は、この10年で約3倍以上に増えたという。
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長い年月をかけて育まれた関空の海の資源が、今では大阪湾全域に広がり、海を豊かにしているのだ。
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関西エアポート・久保治之さん:
関空建設の時に“緩傾斜石積み護岸”を作り、藻場を保全していることが、大阪湾の魚の環境に適している。関空の海域環境が(大阪湾の)水産資源の向上につながっている
大阪湾の救世主になるかもしれない、関空護岸の魚たち。これからも守り続けていく必要がある。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月13日放送)