神戸市・JR元町駅の高架下にある商店街「モトコー」がリニューアルオープンした。戦後の闇市が源流とされ、レトロで人気だったスポットは、どんな姿に生まれ変わったのだろうか?
変わる“高架下”の風景と、関わる人々の思いを取材した。

戦後の闇市が源流…区画整理でよみがえった神戸「モトコー」

神戸のJR元町駅と神戸駅を結ぶ元町高架通商店街、通称「モトコー」。10月1日、一部の区画がリニューアルオープンした。

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 戦後の闇市が源流とされる商店街「モトコー」は、狭い路地を挟んで個性あふれるお店がひしめく、独特の雰囲気だった。

リニューアル前の「モトコー」。独特でレトロな雰囲気
リニューアル前の「モトコー」。独特でレトロな雰囲気

レトロでディープな街並みが人気だったが、今回のリニューアルで、これまでのイメージとは一変。開放感のある建物となって生まれ変わった。

今後多くの商業施設などが軒を連ねる予定
今後多くの商業施設などが軒を連ねる予定

神戸ならではの、洋風の雰囲気を意識したレンガ調の建物に生まれ変わった。JR西日本は2024年までの完成を目指していて、多くの商業施設などが軒を連ねる予定だ。

明るくなって良かったと思いつつ…
明るくなって良かったと思いつつ…

訪れた人:
明るくなって良かったなって思います。子供もいるんで歩きやすいです。スタイリッシュになってるから、若い子には受けると思うけど…昔は昔でマニアックな店とか情緒とかあったから

難航する交渉乗り越えリニューアル JR西「皆さまに愛されるような街を」

「モトコー」を巡っては6年前、JR西日本が、老朽化対策などのための再整備計画を発表。工事に伴って店に退去を求めたが、突然の要請に商店街側は反発した。

2016年に開かれた、JRの説明会では…

交渉は難航したが、9割以上の店から同意を得た
交渉は難航したが、9割以上の店から同意を得た

JR西日本の担当者:
契約期間が満了を迎えますので、この機会に(退去)をお願いしたい
商店主:
納得できる人いますか!

交渉は難航したが、今では9割以上の店からの同意を得たという。

JR西日本 経営企画部・前川元 課長:
たくさんの方々と、長きにわたって話を続けてきました。防火・防犯の向上ができたり、耐震工事もできました。
新たな街づくりをしますけど、皆さまに愛されるような街をつくってまいります

"高架下"の文化を見続けたい 変わりゆく景色に複雑な思いも前を向き…

さまざまな思いとともに変化を見つめてきた、「モトコー」の人々。親子3代にわたって衣料品店を営んできた岡幸雄さんは、「一言で言い表すのは、なかなか…」と言葉をにごした。

岡さん:
思い出の場所が一つ減り二つ減り…景色がなくなっていくというのは、つらい部分はある。生まれ育って、赤ちゃんのころから高架下を見てきたので

再整備をきっかけに、移転や廃業の道を選ぶ店もあったが、岡さんは「新モトコー」に移って再スタートをすることを決めたという。

岡さん:
“高架下”っていう文化をこれからも見ていきたい

街が変わることへの寂しさを感じつつも、前を向いて新たな「モトコー」に期待を寄せる。

岡さん:
また、どういう街になるかっていうのは不安でもあるけど、楽しみな部分もありますし。以前のモトコーはディープ、ごった煮っていうイメージやったけど、“現代版・未来版ごった煮”を続けていってほしいというのは、僕個人の願いでもあるので。
いい街になっていけたらこの上ないことやと思います

愛され続けてきた神戸の人気スポット。さまざまな人の思いを乗せて、生まれ変わる。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月3日放送)

関西テレビ
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