今や、タブーではなくなりつつある「美容整形」。

【SNS上のツイート】
「高校行く前にはきっと整形してるから。顔変わってるからみんなの反応楽しみだな」
「せっかく整形するならついでに目の幅広くしたいな!ってノリで下瞼拡大44万+目尻切開27.5万つけてみた」

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YouTuber 美容整形ちゃん:
美容室みたいな感覚…とまではいかないかもしれないけど、似たような感じ

一方で、安易に考えているとトラブルも…

整形失敗経験のある女性:
お肉が中の方にギュッと引っ張られる痛さで、鏡を見たらすごいへこんでいた

【SNS上のツイート】
小鼻縮小の傷跡が気になって病んでる。表情を変えるたびに鼻が痛い

かつて大手美容外科で勤務し、実情を知る医師はこう明かす。

実情を知る医師:
(大手の多くは)現状、(客を)お金だと見ていて…

その整形、本当に大丈夫なのか?
リスクを減らすために知ってほしい、美容整形のリアルをツイセキ取材した。

これまでに30回手術…YouTuber「美容整形ちゃん」

自らの美容整形経験を公開しているYouTuberがいる。その名も「美容整形ちゃん」だ。

YouTuber 美容整形ちゃん:
例えば雑草ときれいなお花どっちが好きですかっていう話だと思うんですけど、きれいなお花、わざわざみんな見に行くじゃないですか。やっぱりきれいな花みたら「きれいだね」となる。きれいだねっていう反応に、勝手に周りがなる。
人間もそんな感じで、私が整形することによって勝手に周りの反応が良くなって、自分にも自信がついて

これまでに繰り返した手術は約30回。整形手術の様子をYouTubeで公開しているのは、「美容整形への偏見をなくしたい」という思いからだ。

YouTuber 美容整形ちゃん:
(整形が)気持ち悪いとかいう人は中にはいます。「その顔変だよ」とか「不自然」とかっていう人はまだまだいるかなと思いますが、かなり少なくなってきました。
美容室みたいな感覚とまではいかないですけど、まあ似たような感じかなと思いますね

ある美容整形外科が独自に行った調査によると、患者数は2015年から2020年の6年間で、約7.7倍に増加。また、今すぐ整形したいと回答したのは、男女問わず2割近くいた。

若年層に広がる美容整形 10代の若者“メイクの延長”

幅広い世代に広がりつつある「美容整形」。10代などの若者には、“メイクの延長”という考えもあるようだ。

16歳で初めて、親の理解を得て二重の手術をしたAさんは、毎日の準備が楽になったと話す。

16歳で初めて二重手術したAさん:
アイプチの時間が面倒くさくてやりたかった。皮膚も伸びてきて痛くて。
(周囲では)5人いたら1人か2人はやっている

Aさんは整形したことで、心にゆとりもできたという。

16歳で初めて二重手術したAさん:
朝、メイクの時間がだいぶ減って、起きるのもゆっくりだったし準備が早くなりました。おしゃれするのも楽しくなりました

美容整形なぜ広がる? 背景にSNSや写真加工アプリの流行

Aさんの手術を担当した、大阪みなと中央病院の白川医師も、世代の広がりを感じてると話す。

大阪みなと中央病院 美容医療センター・白川裕二 副センター長:
最近、特にこの2022年4月以降は、18歳とかでも結局親の同意が必要ないという状態になっているから、若い人がちょっと増えましたよね

ここまで美容整形が広がっている理由は何なのか。
白川医師は、SNSや写真加工アプリの流行が背景にあるのではと分析する。

大阪みなと中央病院 美容医療センター・白川裕二副センター長:
インスタグラムとかアプリで目がくりくりとなって、顎は細くなっている状態をいいと思っている。人から評価されたいっていう、いわゆるSNSの「いいね」とかっていうことが、そうなりたいという風につながってる可能性は充分考えられますよね

広がる一方の美容整形だが…安易な決断にトラブルや後悔も

人生に前向きな影響があったという人がいる一方で、安易な決断は、トラブルの元にもなる。

美容整形ちゃんも多くの手術を経験したからこそ、「慎重な判断が必要」と警鐘を鳴らす。

YouTuber 美容整形ちゃん:
結局は自分の体を犠牲にして行うことなので、自分自身がしっかり調べて、リスクも説明してもらえると思うんですけれども…自分で情報をかき集めてから挑むべきだと思います

実際に情報不足のまま決断し、失敗したと感じている人もいる。

失敗経験のある女性:
一カ所ほっぺたのあたりがね、一週間ぐらいして痛くなりだしたんですよ。お肉が中の方にギュッと引っ張られる痛さで、鏡見たらすごいへこんでいたんです

複数回の手術をしているものの、初めての病院で、勧められるままに手術をしてしまったという女性。術後しばらくたってから、強烈な痛みを感じることになったという。

失敗経験のある女性:
私はちょっと小さく(フェイスラインを)上げてほしかったんですけど、頭の上からあげた方がいいと。「これしかないよ」みたいな感じで迫力よく言われて。流れに流されたというか…

ほかにも、大手美容外科で、カウンセリング当日に鼻の手術を受けた女性は、別の病院で修正のための手術をしなければならなくなり、後悔している。

修正の手術をした女性:
終了して鏡を見てびっくり。左右鼻の形違う!目が殴られたように腫れて、右の鼻穴から膿も出始めました。ものすごい痛みでした。
値段も高額だったし、当日するとは言ったけども持ち帰ってじっくり考えればよかった

考える時間を持たず、その場で手術をしてしまったことで「自分が悪いのでは」と、周囲に相談できないケースも多いという。

元勤務医が語る…一部の大手に「客をお金として見ている」実態

トラブルの原因として挙げられる、“手術の即決”。そうしてしまう背景の1つに、一部の大手がウリにする値段の安い手術の広告を見て、実情を知らずに受けてしまう人が多いと、かつて大手美容外科に勤務していたTクリニックの相良院長は語る。

Tクリニック・相良卓哉 院長:
(安い手術は)初心者の先生の練習台みたいな。そこで症例を積んで次のステップみたいな感じの扱いか、安い手術はほとんどやらないで高い手術を勧める。
本来であれば患者さんは一生付き合うぐらいのパートナーだと思っているんですけど、一部の大手の現状は(患者を)お金だと見ていて、一回きりで終わりみたいな形になっているなって思いますね

「その日にやっちゃう」がトラブルの一因 大事なのは「よく考えること」

人生をより良くしたいという思いで踏み切る美容整形が、悩みのきっかけにならないように、どんなことに気を付けたらいいのか。

大阪みなと中央病院 美容医療センター・白川裕二副センター長:
大抵のトラブルの一つは、その日にやっちゃうこと。結果として、よく考える時間がないまま進むのが一番良くない

口コミサイトやSNSでの情報もうのみにせず、“医師の実績を確認する”ことも重要だという。

大阪みなと中央病院 美容医療センター・白川裕二 副センター長:
今のところ、美容のランキングとか口コミサイトで、100%正確なサイトはないですね。別に大手が駄目とかじゃなくて、(手術を)担当する先生が何年経験しているのか、最低限やっぱり見るべき

白川医師は、その上でトラブルにならないためには「無料のカウンセリング」などの甘い言葉につられないことが大事だと指摘する。

大阪みなと中央病院 美容医療センター・白川裕二 副センター長:
ある種、営業されに行っているようなものっていう覚悟でやるべきなので。患者さんがそういう風な気持ちになると、美容医療っていうのは健全化が一気に進む

受けることに以前ほどの抵抗がなくなった、美容整形の手術。
自信を得て前向きに生きるきっかけにできるなら素晴らしいことだが、「気軽にきれいなれる魔法」ではなく、リスクのある手術ということは変わらない。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月29日放送)

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