菅義偉前首相は2日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、9月27日に行われた安倍晋三元首相の国葬で友人代表として追悼の辞を読んだことに関し、「安倍前総理にあいさつさせてもらう最後の機会で、悔いの残らないようにしようと思った」と述べた。

追悼の辞について、菅氏は、7月12日の安倍氏の葬儀のあと、昭恵夫人から友人代表として読んでほしいと依頼があったことを明らかにした。

国葬は政争の場ではないとして、(政治的に)対峙する内容は盛り込まないように気をつかった、という。ただ、「平和安全法制など国のために必要でやり遂げたことは(追悼の辞に)入れさせてもらった」と述べた。

国葬を実施することについて賛否の議論があったことについて菅氏は、「議論、方向は直前でない時に決めておいたほうがいい」と指摘し、国葬の定義や基準をあらかじめ設けておいたほうがいい、との認識を示した。

以下、番組での主なやりとり。


梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
多くの国民が注目し、賛否も分かれた安倍元首相の国葬が執り行われた。菅前首相が読んだ追悼の辞も話題になった。
            
菅義偉氏(前首相):
安倍前総理にあいさつさせてもらう最後の機会だと思い、しっかり悔いの残らないようにしようと思った。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
追悼の辞をいつ頃から準備していたのか。

菅氏:
(7月12日の)東京・増上寺での葬儀が終わった後に昭恵夫人があいさつに見え、「何かあれば、菅さんに、友人としてぜひお願いしたい」という言葉をもらった。しっかりやらないと大変なことになってしまうと(思った)。さまざまな資料集めから始めた。

松山キャスター:
追悼の辞には政権担当時代のさまざまなエピソードも盛り込まれている。時間の制約で盛り込まなかった話もたくさんあったのではないか。

菅氏:
(国葬は)政争の場ではない。国葬に適している、適していないことがあり、それは分けるべきだ。少しだけ(政策を)入れさせてもらったが、そこは気をつかった。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪市長):
政治的な意味が入らないように注意したということか。

菅氏:
特に(政治的に)対峙するようなことは(盛り込まないようにした)。ただ、平和安全法制など国のために必要でやり遂げたことについては入れさせてもらった。

梅津キャスター:
菅氏が追悼の辞で述べた、安倍元首相との銀座の焼鳥屋でのエピソードを改めて紹介する。「総理、あなたは一度持病が悪くなって、総理の座を退いた。そのことを負い目に思って二度目の自民党総裁選出馬を随分と迷っておられた。最後には二人で銀座の焼鳥屋に行き、私は一生懸命あなたを口説いた。それが使命だと思ったからだ。3時間後にはようやく首を縦に振ってくれた。私は、このことを菅義偉生涯最大の達成として、いつまでも誇らしく思うだろう」。

菅氏:
自民党総裁選挙がもう目前に差し迫ってきている中で、安倍氏を説得する最後の機会だった。
第一次政権では、あのような病状で退陣した。しかし、やってきた政策は評価されるものがものすごくあったと思う。同時に野党政権になり、経済政策は六重苦と言われた。働きたいけど働く場所がないと。安倍氏は経済政策の勉強会をやっていた。外交安全保障、日米関係も最悪の状況、機能不全に陥っていた。もう一度この国を建て直すことができるのは、安倍晋三だとずっと思っていた。それで本人に出馬を勧めた。

宮家邦彦氏(内閣官房参与、元外交官):
「生涯最大の達成」と言ったが、お世辞抜きに日本の外交にとって決定的に大きな「達成」だった。だって、あの時は2010年、2012年の尖閣事件があって、日本を取り巻く環境が激変した。その時に必要なのが強いリーダーシップ。安全保障法制を含めた安全保障政策そのものを変えていかなければいけない時期だった。もし、この「達成」がなかったら、日本は今準備できていないと思う。その意味で日本にとって「とても大きな達成」だったと思っている。

橋下氏:
安倍氏を総裁選に出馬させたことが、自分の「生涯の達成」だっていうのがもうすべて、安倍さんと菅さんの関係を物語っている。菅氏はさまざまな実績を残したが、安倍氏を総理にしたことが自分の人生のもうすべてだという関係は、なかなか普通の社会人ではこんなことない。この言葉で、なにか菅氏のすべてを感じた。

松山キャスター:
弔問外交にも焦点が当たった。G7(主要7カ国)の首脳は一人も来なかったが、一方でクアッドは首脳級が参列した。クアッドは日米豪印4カ国で秩序をつくっていくのだということで安倍政権のときに始めた枠組みだ。インドのモディ首相は安倍氏が亡くなった時に国全体で喪に服し、国葬にも参列した。クアッドは、菅氏が総理だったときに初めて対面での会談を行った。

菅氏:
安倍氏が約8年総理大臣として指揮をする中で、世界の中で日本の評価をかつてないほど高めることができた。日米だけでなく、豪州とインドを含めクアッドという形で、自由で開かれたインド太平洋の中核に持ってこようと取り組んできたのは、日本の将来、安全保障を考えた時に極めて大きな意義のあることだ。

宮家氏:
おっしゃる通りだ。G7やG20もあるが、このインド太平洋地域で本当に協力しなければいけないのは、日米とインドと豪州だ。それをうまくまとめたというのは、すごい先見の明だと思う。       

松山キャスター:
今回の国葬をめぐり賛否の議論があった。あすから始まる臨時国会で議論になる可能性がある。これまでの経緯やこれから先、国葬がどうあるべきかという議論についてどう考えるか。

菅氏:
今回、直前に国葬にする、しないという議論があった。私自身はとにかく友人代表として感謝とお礼をしっかりやろうということだったが、(国葬に関する)議論、方向は、直前でない時に決めておいたほうがいい。