新潟県長岡市栃尾地区のイベントで、学生が地域の未来を灯そうと開発した新商品が公開された。糸を巻き取る際に使われていた「糸繰り」を活用したランプ。地域の魅力を発信するため、商品化を目指す取り組みを取材した。
“地域活性化”を目指す学生が開発「糸繰り」ランプ
9月24日と25日、長岡市栃尾地区の商店街で行われたイベント「トチオノアカリ」で優しい光を放っていたのは、木の枠に巻かれた色とりどりの糸。

手がけたのは、2019年から長岡市栃尾地区で「地域活性化」をテーマに調査・研究している長岡大学の石川ゼミナール。
長岡大学 石川英樹 教授:
栃尾地区は江戸時代の前から繊維産業が地域をけん引してきた

地域の魅力を探り、交流人口の増加や経済の活性化を目指す石川ゼミ。2022年春から石川英樹教授と学生が「トチオノアカリ」で商店街を灯すランプの商品化に取り組んできた。

学生:
みんなに「欲しい」と思ってもらえるような商品を作れたらなと思う
学生:
自分たちのゼミで商品化して、栃尾のPRにつなげられたら
養蚕が盛んで繊維産業が発展した栃尾地区で学生がランプの材料に選んだのは、糸を巻き取る際に使われていた「糸繰り」。

かつて糸繰りを多く使っていたという山信織物の取締役・西片吉邦さんは糸繰りに再び光があたることに…
山信織物 西片吉邦さん:
繊維産業が地域の発展につながり、技術の向上が地域の誇りとなって成長できるといい

「学生が多様性を得る機会」 ランプ開発の中で様々な人と交流
トチオノアカリで灯す糸繰りを繊維産業で栄えた栃尾地区を象徴する商品にしようと、ランプの開発に取り組む学生たち。
学生:
地域に還元できる活動は、やりがいを感じる

しかし、大学で学んでいるのは経済。思いを形にするためには、明かりを灯す電子部品の開発が必要だが専門外…。そこに手を差し伸べてくれたのが、長岡技術科学大学の大学院で学ぶ電子工作が得意な山内陸さんだった。

これまでは乾電池を電源にしようと考えていたが、そこに山内さんのアイデアをプラス。USB電源を使い、LEDを発光させ、さらに光量の調節も可能にすることで商品の魅力UPを狙う。

長岡技術科学大学大学院 山内陸さん:
自分の持っている技術を外に出せる機会というのは、すごくいいなと思う
さらに学生たちに強い味方が現れた。それが2016年にトチオノアカリを始めた「トチオノアカリ協議会」。山信織物の西片さんなど栃尾地区で働く社会人を中心に、イベントで使う糸繰りのランプを製作した経験があった。

石川教授はこうした他大学や社会人との交流が学生を育てると考えている。
長岡大学 石川英樹 教授:
大学の中だけとは違った、多様性を得る機会になる

試作品をイベントでお披露目! 地域の人の意見参考に完成度UPへ
「トチオノアカリ」当日。商店街のギャラリーで学生たちが商品化を目指す「糸繰り枠ランプ」が試作品として光を放った。

学生:
試作品だけど、お披露目できるのがうれしい
あえて試作品をお客さんに見てもらうのにも、石川教授の狙いがある。
長岡大学 石川英樹 教授:
大学だけでなく、地域の人からも教えてもらって、大学卒業後、それぞれの学生が様々な地域で活躍する人材になってほしいと強く感じている

試作品を見たトチオノアカリ協議会メンバーは…
トチオノアカリ協議会メンバー 田中浩一さん:
基盤とかは我々にはできない。いいですよね
学生は商品の改良点や価格など、消費者目線の意見を調査していた。
学生:
試作品への意見はありますか?
訪れた人:
暗くなったら自動で点灯するとか

今回の意見を参考に、商品化へより完成度を上げた試作品を12月に公開する予定の学生たち。
学生:
良い商品を作りたい

一つの光は小さくても多くの気持ちが集まって地域の未来は輝く。栃尾地区の夜が優しく灯された。
(NST新潟総合テレビ)