2021年7月、福岡県中間市の保育園で当時5歳の男の子が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡した事件。9月26日に当時の園長らの初公判が行われ、元園長らは「間違いありません」と起訴内容を認めた。

ドアを施錠し車内に9時間放置 保護者会紛糾

検察側:
公訴事実について話しておきたいことはありませんか

被告ら:
間違いありません

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小さな声で起訴内容を認めたのは、中間市にある双葉保育園の前園長、浦上陽子被告(45)と保育士の鳥羽詞子被告(59)。

起訴状によると、2人は2021年7月29日朝、浦上被告が運転する送迎バスが園に到着した後、降車の確認を怠ってバスのドアを施錠し、当時5歳の倉掛冬生ちゃんを約9時間に渡って車内に放置、熱中症で死亡させた業務上過失致死の罪に問われている。

冬生ちゃんが亡くなった後に行われた保護者説明会。当時、園長だった浦上被告は「私の確認不足と職員間の連携がうまくいっておらず、重大な事故を起こしてしまい、誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した。

保護者からは園の管理態勢を問いただす声が相次いだ。

保護者:
担任の先生は何にも先生(浦上被告)に言って来なかったんですか?

浦上陽子被告(当時園長):
冬生くんがいないことで、担任から確認の連絡がなかったので、私は登園しているとばかり思っていた。いつもは本当に(連絡)しています

保護者:
なんで今回はしないの?今回に限ってしてないことが多すぎる

突然、冬生ちゃんを失った母親は事件から約8カ月後、浦上被告ら2人が在宅起訴されたことを受けて悲痛な胸の内を明らかにした。

冬生ちゃんの母親:
保育園の誰か1人でも、欠席連絡もないのに冬生がいないことに気づいてくれていたら…と、悔しい気持ちでいっぱいになります

「気持ちが焦り確認怠った」生きていたら…祖父の悲しみ

そして2022年9月26日、福岡地裁で開かれた初公判。

裁判所に入る前園長・浦上陽子被告(9月26日)
裁判所に入る前園長・浦上陽子被告(9月26日)

前園長の浦上被告と保育士の鳥羽被告は、いずれも起訴内容を認めた。また検察側は「真夏日であることを認識し、車内に取り残せば熱中症で死亡することも認識していた」と指摘した。

午後から行われた被告人質問では…。

弁護側:
なぜ車内から冬生ちゃんを確認できなかった?

浦上陽子被告:
(別の園児が)ずっと泣いていたら、響き渡ってきたので早く戻るべきと気持ちが焦り、とにかく早く戻ろうという話をして、確認しないでバスを施錠した

「とにかく早く戻ろうという話をして、確認しないでバスを施錠した」と説明
「とにかく早く戻ろうという話をして、確認しないでバスを施錠した」と説明

弁護側:
慌てて、やるべきことを考えられなかった?

浦上陽子被告:
以前も同様の事故があり、わかっていたのに自分が同じようなことを繰り返すとは思っていなくて。自分がしっかりしていれば起こすことがないと思っていた。まさか自分が…

「自分がしっかりしていれば起こすことがないと思っていた」と述べた
「自分がしっかりしていれば起こすことがないと思っていた」と述べた

最後には、涙まじりに当時の状況を話した浦上被告。遺族に対し「私が人数を確認しなかったせいで被害に遭われてしまい、本当に申し訳なく思っています」と謝罪の言葉を述べた。

初公判後、冬生ちゃんの祖父が記者会見で悲しみの胸の内を語った。

冬生ちゃんの祖父:
冬生は、本当だったら小学校1年生なんですけど、ほかの男の子がランドセルをからっている(背負っている)のを見ると、やはり涙が出る…。保育園がルーズだということをわかってはいたが、裁判を聞いてあらためてそれがわかった。やるべきことをやっていないのだから、罪が重くなってほしいというのが私と娘(冬生ちゃんの母親)の気持ち

裁判は10月13日に結審する予定だ。

(テレビ西日本)