近年、毎年のように起こる“豪雨災害”。多くの場合にその原因となっているのが、活発な雨雲が線状の列を作る「線状降水帯」だ。同じ場所に長い時間激しい雨を降らせるため、災害の危険度が急激に高まる。

そこで運用が始まった「線状降水帯予測情報」。
現状の的中率は25%ほどだが、気象庁は「概ね事前の見立て通り」と話す。そこには予測の難しさなどが関係している。
「線状降水帯予測情報」の現状をお伝えする。

2022年から始まった「線状降水帯予測情報」

気象庁はこの線状降水帯が発生する恐れがある場合、最大で半日前に公表する取り組みを2022年6月から始めた。
そして7月15日、全国で初めて九州を対象に発表されたが、発生しなかった。
しかし、その翌週にも九州北部などに発表。この時は、大分県内では北部と西部に線状降水帯が発生し、玖珠町と日田市を猛烈な雨が襲った。

線状降水帯が発生し九州北部は猛烈な雨に
線状降水帯が発生し九州北部は猛烈な雨に
この記事の画像(5枚)

的中率は4分の1「見立て通り」

線状降水帯の予測情報の運用が始まって3ヵ月半。
気象庁の発表をもとにまとめると、この予測情報は、これまでに全国で7回出されている。(2022年9月16日現在)
このうち、実際に発生したのは7月18日から19日にかけての九州北部の大雨。そして8月12日から13日にかけて東海地方に発表され、実際には隣の関東地方で発生した大雨の、あわせて2回である。

予測情報の的中率について、気象庁は運用開始前に、4回に1回程度としていた。
ここまで7回に2回発生していて、的中率はほぼ4分の1という状況だ。

的中率はおよそ4分の1
的中率はおよそ4分の1

気象庁は「概ね事前の見立て通り」と分析するものの、気象台の担当者は線状降水帯の予測は非常に難しいと話す。

メカニズムが十分に解明されていない

9月6日に県内に最接近した台風11号。
このときも県内を含む九州北部に線状降水帯の予測情報が出されたが、実際には発生しなかった。
予測が難しい理由は…

大分地方気象台 中村政文予報官:
線状降水帯の発生、維持、停滞などのメカニズムが十分に解明されていないことに加え、現状の数値予報シミュレーションでは、線状降水帯や線状降水帯を構成する積乱雲を十分に再現できないことが挙げられる

大分地方気象台 中村政文予報官
大分地方気象台 中村政文予報官

予測情報発表受けて対応した自治体は3割未満

また、予測情報の発表を受けて何らかの対応をした自治体をTOSが調べたところ、日田市や由布市、玖珠町など5つの市と町で、3割未満にとどまった。自主避難所を開設したり、地域の防災無線などで注意を呼び掛けたりしたということだ。

そのほかの市町村からは「予測精度の低さ」や「対象地域が広すぎて、すぐに行動に移しづらい」などの意見が聞かれた。

発生せずとも「災害級の大雨」に

一方で、線状降水帯が発生しなかった場合でも、予測情報が出された場合は全て災害級の大雨が降っているため、気象台は「発表された場合は絶対に油断しないでほしい」と呼びかける。

発生せずとも災害級の大雨に注意
発生せずとも災害級の大雨に注意

大分地方気象台 中村政文予報官:
線状降水帯による大雨の可能性について、呼びかけがあった場合には大雨災害に対する危機感を早めに持ち、心構えを一段高めてもらいたい

(テレビ大分)