エリザベス女王の国葬に参列するため、天皇皇后両陛下はイギリスを訪問されています。「悲しみの旅」に同行した記者が感じることとは・・・。
政府専用機から、ロンドン北部のスタンステッド空港に降り立たれた両陛下。喪服姿で、出迎えたグレン・メイズ王宮特別代表ら一人一人と丁寧に挨拶を交わされる様子から、即位後初めての外国訪問がエリザベス女王に最期のお別れをする「悲しみの旅」であることを強く感じました。


通常、白いマスクを着用されている両陛下の黒いマスク姿は初めてで、状況を配慮されての判断だということです。
残暑の東京と比べ、ロンドンはコートが必要なほど肌寒く、快晴の空にきれいな夕焼けが見えるなか、レンジローバーに乗り込まれた両陛下の車列は、パトカーに挟まれ、ロンドン中心部へと向かいました。


宿泊先はロンドン中心部の歴史あるホテル、クラリッジズ。ホテル前には、両陛下の到着を多くの日本人らが待っていました。15時間近い長旅の翌朝、ホテル前に行ってみると、バングラディッシュからのVIPの外出を控えセキュリティーが集まり、物々しい空気に包まれていました。
国葬や、チャールズ新国王主催のレセプションなど、大事な行事に向け、両陛下はホテルで体調を整えられているとのことでした。
急に決まった今回のイギリス訪問。体調に波のある皇后さまにとって、慌ただしい準備の末の長旅は負担も大きかったことと思います。無事に行事に出席できるよう、慎重に静かに過ごされているのでは無いかと感じました。

バッキンガム宮殿周辺などは交通規制で車が入れず、町中では朝から花束やブーケを持った市民の姿を多く見かけました。カジュアルな服装でも、女王を悼む気持ちで過ごしている人が多いことが伺えます。
イギリスは、陛下は大学生として、皇后さまは外交官として、留学生活を送った思い出深い地で、特に陛下は、留学中に女王と家族のような時間を過ごした経験があります。

若い頃からの陛下をよく知る女王直々の招待を受け、即位後初の外国訪問としてイギリスに赴かれる予定でしたが、お二人揃っての初めての思い出の地・イギリスへの訪問はコロナ禍で延期され、叶わぬまま「悲しみの旅」に形を変えました。
現地2泊という強行日程のもと、昭和天皇以来3代にわたる女王との深い交流への感謝の思いと共に、両陛下は、きょう、国葬に参列されます。
(フジテレビ社会部・宮内庁担当 宮崎千歳)