秋篠宮さまは、11月30日58歳の誕生日を迎えられた。

事前に行われた記者会見では、お住まいの改修工事を巡る経緯の発表について「私自身がかなりぐずぐずしていた」と率直に明かされた。
秋篠宮邸の改修について
およそ1時間に及んだ会見で、秋篠宮さまは、秋篠宮邸の改修工事の経緯について、新築や増築部分は全体の5%ほどで、大半は職員の事務スペースだったが、宮内庁の発表では「区分けが明確でなく説明が不十分だった」との認識を示された。

また、次女の佳子さまが宮邸ではなく、仮住まい先だった「分室」でご家族と別に生活されていることを当初公表していなかった理由について、「どこに住んでいるかというのはプライベートなこと」「セキュリティ上のこともある」と説明された。

その上で、発表が今年6月になった経緯については、公表するかどうかの判断を「先延ばしにしてしまった」として、「きちんと関わって、タイムリーに出すという必要があった」「私自身がそのことについて、かなりぐずぐずしていたということがあります」「タイミングとして遅くなったなというのが反省点です」と率直に明かされた。
情報発信について
秋篠宮家へのバッシングととれる一部報道やSNSへの書き込みなどについては、「非常に極端なことを言っている人の割合というのは相当低い」との認識を示した上で「目にしなければ気にならない」とする一方で、「目にすることもやはりある」と明かされた。向き合っていくためには「正確な情報をタイムリーに出していくことが大事」と述べられた。

その上で、皇室に関する情報発信については、「三人称でなくて一人称で発信したとすれば、それはより理解が深まると思う」とする一方、「一定の基準がないと難しい」との見解を示された。
活動を振り返って
2023年は、イギリスのチャールズ国王の戴冠式や、ベトナムなど、コロナ禍以降初めて外国を訪問された。

国内でも懇親会などが再開し、各地を訪れ、直接交流する機会の大切さを「この4年間があったから余計に感じる」と振り返られた。
佳子さまについて
次女の佳子さまについては、ペルーへの公式訪問や手話を使った公務などに「非常に一生懸命取り組んでいる」と振り返られた。

その上で、ご自身も手話を使った今年10月の障害者スポーツ大会のおことばについて、「今回別に娘から教わったわけではない」「この1年では一番緊張した挨拶」とユーモアを交えて明かされた。

一方、結婚についての話し合いへの質問には「特に今はありません」と述べるにとどめられた。
悠仁さまについて
今年初めて秋篠宮さまの地方公務に同行された高校2年生の長男・悠仁さまについては、「多くの時間を机の前に座っている」とし、家庭での学習の傍ら、トンボの調査やコメの実験などを続けていて、「関心の幅というのがやっぱり広がってはきている」と述べられた。

その上で、高校卒業後の進路については、「本人が何をしたいかということが一番大事」「そういうことができるような場所に行ってくれたらいいのではないか」と期待を寄せられた。
原稿なしの会見
今年の会見も、これまで同様原稿は無く、言葉を選びながら、穏やかな表情でひとつひとつの質問に答えられた秋篠宮さま。
およそ1時間にわたる質疑応答で、多くの注目を集めたお住まいを巡る経緯については、10分間以上かけて説明し、公表のタイミングが遅れた理由を「ぐずぐずしていた」と秋篠宮さまらしい率直さで明かされた。

また、各地で相次ぐ熊の被害を案じるなど、関心のある自然や生き物の分野にも目を向けられた。
佳子さまが熱心に取り組まれている「手話」をご自身もおことばに取り入れた経験については、「基礎的な知識も無いのでこの1年で1番緊張した」と明かされ、会見場は和やかな笑いに包まれた。

去年の記者会見で、手話について佳子さまからアドバイスを受ける可能性を「もしかすると、今後は何かあるかもしれません」と少し照れたような笑顔を見せられていたことが印象に残り、今年再度伺ってみたところ、「今回特に娘から教わってない」とのお返事だった。
かつてはお互いに記者会見で、「気が短い」という共通点があり、「すぐに衝突してしまう」と明かされていた、秋篠宮さまと佳子さま。
表情豊かに手話を言語として使い交流する娘と、その実力を認める父親。
成長と共に変わっていく父娘の関係性について、手話をめぐる変化にも注目していきたいと思う。
(宮内庁クラブキャップ兼解説委員 宮﨑千歳)