愛媛の秋の味覚「いもたき」をご存知だろうか。2022年もシーズンが到来し、愛媛のいもたき発祥の地とされる大洲で、内木敦也アナウンサーがおいしい秋をいただいた。

約300年前から親しまれる「いもたき」 主役のサトイモ掘りに挑戦!

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夕暮れに染まる肱川の河川敷で、鍋を囲む人たち。

食べている人:
おいしいです

みなさんがおいしそうに食べているのは「いもたき」。

食べている人:
大洲のイモが一番おいしいですよ。この粘りといい最高です

大洲の秋の味覚「いもたき」は、サトイモを鶏肉やコンニャクなどと一緒に煮込んでつくる伝統料理だ。約300年前の藩政時代から親しまれている。

いもたきを食べている人:
やわらかいね。おいしいね

いもたきの主役はもちろん、大洲で採れたサトイモ。大洲市内を流れる肱川が育んだ肥沃な土地が、栽培に適していると言われている。

サトイモ農家の西野洋一さん(73)を訪ねた。

内木敦也アナウンサー:
こういう土地で育つサトイモっていうのは、どういう特徴があるんですか?

サトイモ農家・西野洋一さん:
やっぱりイモのおいしさというか。粘りがあるとかいろいろ言われるんじゃけどね

西野さんはサトイモを一株一株、くわを使って収穫する。葉っぱや茎を刈りとった株の脇に勢いよくくわを打ち込み、土を掘り起こしていくと、丸々と成長した鈴なりのサトイモが顔をのぞかせる。

サトイモ農家・西野洋一さん:
もっと大規模にやりよる人は機械で掘り起こしていくんやけど、そこまではいらん。土地がやおい(やわらかい)しね

内木アナウンサーも収穫に挑戦した。

西野さんに手ほどきを受け、くわを入れていく。

内木敦也アナウンサー:
ちょっと(株の)外側から

サトイモ農家・西野洋一さん:
これくらいで入れて、一回じわっと起こして。起きんかったらもう一回打ち直して。まあ、やってみてください

内木敦也アナウンサー:
見てるだけだと簡単そうに見えたんですけど

サトイモ農家・西野洋一さん:
真っ直ぐ立てて。まだ、もっと深うに

内木敦也アナウンサー:
打ち直した方が良いですか

サトイモ農家・西野洋一さん:
あぁ、それでは掘れんね。ちいと柄がいがんどる。大胆に。思いっきり。よし!これで起きる

簡単に見えたが、かなり手こずった。

内木敦也アナウンサー:
これをスピーディーに一発でしとめられた西野さんすごいですね

続いては、イモを株から取りわける。

内木敦也アナウンサー:
叩き落とすって感じですね。上から叩くような感じですか。全然びくともしないんですけど。引きちぎるような感じでも大丈夫?

サトイモ農家・西野洋一さん:
ちょっと訓練せないかんな

西野さんが栽培するサトイモは「女早生(おんなわせ)」という品種。やわらかい食感ながらも煮崩れしにくく、いもたきにぴったりだそう。

サトイモ農家・西野洋一さん:
年配者の人に言わせたら「昔のイモの味がする」。そがいなかったら、これを作らないけんぜ

内木敦也アナウンサー:
やっぱりこの地域ではいもたきって、これからの季節、よく食べられるんですか

サトイモ農家・西野洋一さん:
そうやね、親戚が来て何ぞごとやるいうたら、いもたきは必ずセットみたいなもんやね。やっぱり秋が来たなって

秋を迎えた大洲では、気軽にいもたきを楽しめる。

やわらかい身にぎゅっと旨味が凝縮

2022年で創業50年目を迎えた料理店「との町たる井」では、この時季限定の「いもたき定食」を味わうことができる。西野さんのサトイモが使われている。

収穫したばかりのサトイモを塩もみして、軽くぬめりを取る。アク抜きには米のとぎ汁を使用。とぎ汁を使うのは大洲ではポピュラーな調理方法で、アクがきれいに抜けて、サトイモの甘みを引き出せるそうだ。

内木敦也アナウンサー:
すでに良い香り、そして具だくさんですよね。主役のサトイモはもちろんですけど、シイタケ、鶏肉、コンニャク。本当に盛りだくさんですね

内木敦也アナウンサー:
サトイモを割っていきます。すっと箸が入る。すごくやわらかい。ねっとり感、粘り気がある感じ。秋の味覚です。
…サトイモそのものの甘さがきますね。最初はホックホクなんですけど、かんでいると、だんだんトロンととろけてきて、溶けるようになくなりました。
だしなんですけど、いろんな具材が入ってますから、それぞれのうまみが引き出されて。この中にぎゅっと凝縮されてるなって感じがしますね

ひとりでじっくり旬の味を楽しむもよし、河川敷で夜風に吹かれながら鍋を囲むもよし。いもたきで秋の訪れを感じてみてはいかがだろう。

(テレビ愛媛)

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