1ドル140円台と、24年ぶりの「超円安」水準が続く円相場。その影響は、愛知・尾張地方の伝統工芸にも及んでいた。

伝統の「七宝焼」…校章で手にする子供たちのためにも値上げ難しい

9月7日には、24年ぶりの円安水準となる1ドル144円台を付けた円相場。「超円安」が続く中、6日、通貨の両替を行う名古屋の店には、ドルを円に両替する人が訪れていた。

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訪れた女性:
少しはお小遣いになるかなと思って

岐阜・多治見市から訪れた女性は、数年前に夫と海外旅行に行くために準備したドル紙幣、2900ドルほどを持ち込んでいた。

訪れた女性:
(1ドル)80円から88円くらいで換えたやつだから、儲かっていると思う

両替した当時は26万円ほどだった「円」が、40万円に。14万円も増えていた。

訪れた女性:
ちょっとお小遣いで楽しんで、携帯をかえたいと思っているので

「超円安」の恩恵を受ける人がいる一方、愛知県の伝統工芸が大きなあおりを受けていた。
尾張地方の伝統工芸・七宝焼。津島市にある「太田七宝」では、ブローチなどのアクセサリーや花瓶などを作っている。

太田七宝の6代目:
土台が銅なんです。これは純銀線で、こういうリボン状の線で模様をつけています

銅や銀など金属の土台に釉薬(ゆうやく)をのせて作る七宝焼。この原材料に、円安の影響が大きく及んでいるという。

太田七宝の6代目:
(金属は)すべて海外です。全部輸入品になるので、やっぱり円安でかなり価格は上がっていますね

銅や銀はメキシコやペルーなどからの輸入。さらに色をつける釉薬にも金属が含まれていて、円安の影響で仕入れ価格が上がっていた。

太田七宝の6代目:
商品としても値上げになって…。今年に入って、かなり値上げしないと難しい状況になってきてしまったので

あまりの仕入れコストの上昇で値上げは避けられず、3000円〜5000円の値上げをした商品もあった。
しかし、簡単に値上げができない事情もあるという。

太田七宝の6代目:
これは学校の校章類。学校は何十円の値上げというのは毎年のものなので難しくて。ほとんど同じ値段で今まできているので、急に何十円もあげるということが難しくて

津島市や名古屋市など、約100校の校章を作製している「太田七宝」。円安で高騰したコストを補うには、校章1つあたり30円から50円ほどの値上げが必要だが、急な値上げは難しく、10円から20円ほどしか上げられていないという。

太田七宝の6代目:
作れば作るほど赤字になっていくので。子供たちが(校章で)七宝焼というものを多分初めて手にする子も多いので、これはもうちょっと無理してでも守っていきたいものですね

(東海テレビ)

東海テレビ
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