大好きな人がいた場所から、離れようとしない猫がTwitterで感動を呼んでいる。
三重県在住の漫画家・農家、六花チヨ(@ROkUHANA00)さんは、12歳の愛猫、六花・アイルー・ヌンヌン(愛称:ヌンヌン)ちゃんと暮らしている。一家に8月下旬、うれしいことがあった。

実家の稲刈りを手伝うため、遠方に住む大学生の息子が帰省してきたのだ。ヌンヌンちゃんは息子さんのことが大好きで、もらった袋で遊んだり、息子さんの部屋でくつろいだりしたという。

ただ、楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。息子さんは8月31日には下宿先に戻っていった。その後に息子さんの部屋を覗くと…そこには、背を向けて座り込むヌンヌンちゃんが。

静かになった部屋にぽつん…後ろ姿からは寂しさが伝わってくる。この日は夜になっても部屋にいたという。息子さんを待っていたのだろうか。
六花チヨさんがこの様子を投稿すると、Twitterでは「涙でました」「楽しい日々だったんだねぇ」「忠猫ヌンヌン」といった声が続々。13万8000以上のいいねが寄せられた。(9月6日時点)
9年間ほぼ息子の部屋で生活していました
夏の終わりもあって切ない光景だが、その後は元気になったのだろうか。ヌンヌンちゃんにとって、息子さんはどんな存在なのだろう。六花チヨさんに聞いた。
――ヌンヌンちゃんはどんな猫ちゃん?お家に迎えた経緯を教えて。
12年前の春にカラスにつつかれていたところを救出しました。危機一髪でした。性格は一言で言うと「野獣」です。過去にはトカゲ、ネズミ、ウサギ、ハトなど狩ってきている猛者です。

――息子さんはいつぶりの帰省だったの?
息子は3年前、大学進学と同時に下宿生活をはじめました。今回は正月ぶりに、稲刈りのために帰省してくれました。(帰省中は)ヌンヌンは夜は息子の部屋で寝て、昼も部屋にいました。
――ヌンヌンちゃんと息子さんはどんな関係?
今も昔もとにかく息子にベッタリです。世話は家族全員でしていますが、ヌンヌンは(息子さんが実家を出るまでの)9年間ほぼ息子の部屋で生活していました。ご飯を食べるときのみ、台所へ来る生活スタイル。息子がいない時間帯には狩りに出かけ、ネズミなどの戦利品を披露して、息子が絶叫する感じでした。褒めてほしいのだと思いますが。

――息子さんがいるときの反応は違う?
かなり違います。普段は私たち夫婦にベッタリで、夜は私たちと一緒に寝ています。ダンナがいるときはダンナの膝上に、ダンナが出社すると、私の仕事部屋にくるのですが、息子が帰ってくると私たちには見向きもしません。息子にベッタリです。
「次の日もその次の日も」気づくと息子の部屋に
――息子さんが戻った後のヌンヌンちゃんはどう?
息子が下宿先に帰るとそのまま息子の部屋で待ってました、しばらくしても息子が帰ってこないので部屋を出たり入ったりしてました。息子を探してるんだと思います。その後は夜まで待ち続け、次の日もその次の日も、気づくと息子の部屋にいました。
――帰った後はいつもこんな感じ?立ち直れた?
だいたいこんな感じです。息子の匂いが残ってて、ヌンヌンにとって安心するのかも知れない…と思ってます。3日目からは部屋から出てきて、私たちの側にきました。時折ふと息子の部屋に行きますが時間がたてば行かなくなります、きっと、息子がいないことを理解してるのだと思います。

――ヌンヌンちゃんを見て、感じたことはある?
息子の部屋で待ってる姿を見ると、胸にくるものがあります。猫と人間では寿命も違いますし…けど息子には息子のやらなければならないこともありますし…仕方ないのかなぁ…と思いますが…9年間も一緒にいて大好きな人が突然いなくなるのは辛いだろうな…と。性格は野獣なのですが、寂しがりなので、せめて私たちは側にいてあげようと思ってます。
稲刈りが終わり息子が大学の下宿先に戻り…
— 六花チヨ (@ROkUHANA00) August 31, 2022
待ってても、もう帰って来ないよ…
と伝えたいです pic.twitter.com/EUp3hSt1Iw
ヌンヌンちゃんは大好きな人が去ったことを理解しつつ、一緒に過ごした日々を思い出しているのかもしれない。息子さんは年末に帰省予定というので、もう少し待てばまた会えるはずだ。
(提供:六花チヨさん)