食べるより食べられてしまいそうなミカンが、Twitterに投稿され「怪獣ミカン」だと話題になっている。

「めちゃめちゃこわいみかんいた」とのコメントと共に投稿されたのは、木に実っている1枚のミカンの写真。真ん中からパックリ割れて果肉が見え、それがまるでギザギザした歯が生えた怪獣のような姿をしている。

提供:のま果樹園
提供:のま果樹園
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こんなミカンを見つけたら、驚いてしまいそうだ。

映画やゲームでモンスターとして出てきそうな怖いミカンを投稿したのは、愛媛のミカンを全国に出荷する株式会社乃万青果(愛媛県今治市)が運営する「のま果樹園」(@nomakajuen)。
実はこのミカンは愛媛県でしか栽培されていない品種だという。

投稿を見たTwitterユーザーからは、「もっと育てたら手足も出てくる?」「食べるんじゃなくて食べられそう」「え?これほんとですか?急に出てきたら怖すぎ」とのコメントや、似ている怪獣などのキャラクターなどが多く投稿され、17万以上のいいねが付いている。(9月6日時点)

担当者「粒がしっかりしているから怖くなった」

エイリアンや怪獣、妖怪などと注目されたミカンだが、なぜこうなったのだろうか? 

のま果樹園のTwitter担当者に話を聞いた。

ーー投稿のミカンについて教えて

名前は、「甘平(かんぺい)」。
愛媛県が開発した、愛媛県でしか栽培されていない(栽培が許可されていない)品種。「甘平」という名の通り、甘みが非常に強く、見た目は扁平な形をしています。普通のみかんより大きく、手のひらくらいのサイズ。シャキシャキした珍しい食感です。

近年人気が高まってきていますが、栽培が難しいことや愛媛県でしか栽培していないことで生産量がまだまだ少なく、非常に高級な柑橘です。

甘平(提供:のま果樹園)
甘平(提供:のま果樹園)

ーーどうして“怪獣”みたいになったの?

柑橘類はどれも同じように、大雨による急激な果実の膨張に外皮が耐え切れずに裂けてしまうことがあります。「裂果」という現象です。数多い柑橘類の中でもこの「甘平」という品種は外皮が薄く、降雨後に裂けてしまうことが多く、栽培が難しいとされています。

外皮が裂けたとしても中の果肉まで割れていることは珍しく、今回のようなものはあまり見かけることはありません。甘平は果実の粒がシャキっとしてしっかりしており、通常のみかんに比べて裂けた際もしっかり粒が立っています。

提供:のま果樹園
提供:のま果樹園

ーー見つけた時、どう思った?

Twitterでバズるかも!と思いました。


ーーこれまでにも、こんなミカンはあったの?

私は入社してまだ2年目、栽培自体は別の部署が行っているため、ユニークなものは今回が初めてでした。

割れた時点でアウト。さよならを待つ

ーーこのミカンは食べることができる?

食べることができません。1月頃に食べられるようになる品種なので、現在はまだ酸味が強いだけです。また、割れてしまった果実は今後成長もせず、割れた時点でアウトです。

提供:のま果樹園
提供:のま果樹園

ーー形が悪いミカンはどのくらい出てるの?

今回の投稿の前日に雨が降ったのですが、この「甘平」という品種は2割くらいが割れていました。投稿のような見た目のものはサッと見た限りでは他にはありませんでした。


ーーその後、ミカンはどうなったの?

このまま腐って朽ち果てるか、人の手で切り落とされるかです。発見から2日後の状態は、カビが生えたり腐り始めています。おそらく数日中には見ていられない状態になるかと思うので、特に何もせずさよならを待つ予定です。

発見から2日後の“こわいみかん”(提供:のま果樹園)
発見から2日後の“こわいみかん”(提供:のま果樹園)

ーー投稿が話題になったけど、どう思う?

たくさんの方に楽しんで頂き、とても嬉しかったです。と同時に、バズるんじゃないかと思って投稿したものがバズってしてやったりな気持ちもあります。社内でおもしろがってもらえたり、Twitterの元々のフォロワー様からお祝いされたり、取材依頼がたくさんきたり、反響もありました。

今回の“怪獣”のようなミカンが現れたのは、粒がしっかり立つ「甘平」という種類だから起きた現象なのかもしれない。また来年1月頃に熟す品種のようなので、どんな味か気になる人はのま果樹園の公式サイトをチェックしつつ、楽しみにしていてほしい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。