スーパーなどで見かけるトマトはツヤツヤで丸い形をしている。しかし今、「エイリアンが!?」と思える少し不気味なトマトがTwitterに投稿され、話題となっている。
新潟にあるフルーツトマト専門農家の曽我農園(曽我ファーム)のアカウント(@pasmal0220)が投稿したのは、赤いトマトの実から緑色の小さな物体が生えている画像。

飛び出る緑色の物体は、形や大きさがそれぞれ異なっており、規則性は見当たらない。まるでトマトの中から別の生き物が出てきたかのようだ。
見た目エグいですが緑の部分を切り落とせば問題なく食べられます。私の一推し。 pic.twitter.com/Iv62WBHXUx
— フルーツトマトの曽我農園 (@pasmal0220) October 2, 2021
見た目エグいですが緑の部分を切り落とせば問題なく食べられます。私の一推し。
これは「出べそ」と呼ばれるトマトで、主に夏の極端な暑さが原因で出てくる生理障害。投稿コメントにある通り、緑の部分を切り取れば問題なく食べられるそう。
曽我農園では、編集部でも以前“形が悪いトマトの販売”について取材しており、今回の出べそトマトも加工品の原料となるほか、自社直売所で割安で販売したりしているとのことだ。
(関連記事:「形が悪く売れないトマト」をTwitterに投稿したら購入者が続々…トマト農家が感じた“優しい世界”)
緑部分もトマトの実
ここで気になるのは、“出べそトマト”の緑の部分が一体何であるかということだろう。また、 このようなトマトができることを農家としてはどのように思っているのだろうか?
代表の曽我新一さんに話を聞いてみた。
ーー緑の部分の正体は何?
トマトの実です。

ーーどの種類のトマトにも出てくるの?
ミニトマトやミディトマトにも出ますが大玉トマトの方が出やすいです。
ーーいつ頃の時期に出てくる?
7~8月に暑いハウスの中で栽培すると多く出やすくなります。9月から出荷される秋トマトに多く見られます。

ーー緑の部分もトマトの実なのに、食べられないの?
果実ですので食べることはできますが、未熟なので食べることはオススメしません。えぐみなどが強いからです。
ーー赤い部分は問題ないとのことだけど、味の違いはある?
ありません。緑部分を除去すれば食べることができます。ただし症状がひどい場合、果実の中に芯ができてしまうことがあります。この場合、味や食感が悪くなります。

過酷な環境で栽培すると必ず出る
ーー投稿には「私の一推し」とあるけど、その理由は?
お安く提供できる点です。特に大量に使用される方(ジュースやソース作り)にオススメです。
ーーフルーツトマト専門の農家として、このようなトマトができることをどう思う?
生理障害は過酷な環境で栽培すると必ず出ますので、そういうものだと思って栽培しています。出る症状も季節によって様々です。食べることができるのを知っていて捨てるのはもったいないので販売しています。

ーー専門農家だから分かる、美味しいトマトの選び方を教えて。
美味しいトマトを単純に糖度が高いと定義した場合、季節は基本的に春期(3月~6月)もしくは秋冬期(11月~12月)のものをオススメします(地域によって前後します)。気温差によってストレスがかかり甘くなる条件が整います。
小振りで持ったときに重く、品種によりますが、お尻から放射状の線(スターマーク)が出ているトマトが甘く感じやすいと思います。オススメの食べ方はカプレーゼです。

なお“出べそトマト”は、気温が低くなり量が少なくなったため、今年は市場への出荷を終了したそうで現在は買い求めることは難しそうだ。
一方で、今の時期(秋冬期)のトマトは糖度が高くて“美味しい”とのことなので、こちらを味わってみてはいかがだろうか。