大阪・堺市で母親と3歳娘が殺害された事件。公開手配中のブラジル国籍の夫とみられる人物がFNNの取材に、娘は殺していないと関与を否定した。

母親が指したカメラをのぞき込む女の子。SNSには家族3人の仲睦まじい様子が残されていた。
幼い我が子を抱き寄せほほ笑むのは、大阪・堺市で母親と3歳娘を殺害した容疑で公開手配された、ブラジル国籍のバルボサ・アンデルソン・ロブソン容疑者(33)。

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8月24日、自宅マンションで死亡しているのが見つかった、母親の荒牧愛美さん(29)と娘のリリィちゃん(3)。警察はバルボサ容疑者が2人を殺害したとみて、逮捕状を取り指名手配した。

愛美さんの友人は離婚を巡るトラブルがあったと話す。

亡くなった愛美さんの友人:
離婚の相談をしに行っていたみたいで、結構悩んでいた。

容疑者「私は娘を殺していない」と否定も…友人には「死にたい」と発言

事件後、FNNがバルボサ容疑者とみられる人物のSNSにメッセージを送ったところ、8月27日に返答があった。「話せる状況にはない。私は娘を殺していない」といった内容だった。

娘の殺害について自身の関与を否定。この返答があった先週末、バルボサ容疑者と電話で話したという友人は、その時の様子をこう話す。

バルボサ容疑者の友人:
最後に連絡来たときに「死にたい」と言っていたんですね。アンディ(バルボサ容疑者)は娘をすごく大事にしていました。「娘を失って家庭を失って、俺はもう生きている意味も価値もない」って。

事件後は母国・ブラジルへ逃亡して行方不明に

そのバルボサ容疑者は事件後、驚くべき速さで出国し、逃亡した。

2人が殺害されたとみられるのは、8月20日から21日の間。警察によると、バルボサ容疑者は21日午前10時半ごろ、自宅近くの南海電鉄「初芝駅」から乗車。その後、大阪の中心部・難波を徘徊していたことがわかっている。

そして翌22日、勤め先の工場に「朝 事故にあったので、2週間ほど休む」と連絡した後、行方がわからなくなった。

会社関係者:
(若手社員が)LINEを送ったら(すぐには)返事はなかったけど、24日に「骨折しているみたいで仕事はできません」みたいな、LINEが返ってきたとは言っていました。

バルボサ容疑者は22日夜、成田空港から日本を出国。ブラジルに逃亡したとみられている。

FNNは母国・ブラジルを取材した。バルボサ容疑者は少年時代、パラナ州ロンドリーナ市の小学校に通っていたという。

事件を知った幼い頃の友人も、驚きを隠せない。

バルボサ容疑者の友人:
彼を見つけて説明を求めるべきだ。とても残酷(な事件)です。

身柄の引き渡しには壁…逮捕は不透明な状況に

警察は国際手配も視野に入れ捜査しているが、容疑者の引き渡しには高いハードルがある。

日本とブラジルとの間では「犯罪人引渡し条約」が締結されていない。そもそも、ブラジルの憲法には、いかなる理由でも国民を海外に引き渡さないとの規定がある。そのため、バルボサ容疑者がブラジル国内にとどまる限り、逮捕されるかは不透明な状況だ。

加藤綾子キャスター:
日本で起きたことですし、強い殺意を感じるような本当にひどい事件なので、何があったのかきちんと日本で取り調べを受けてほしいと思うのですが、条約を結んでいる国しか引き渡しができないとなるとかなり限られてきますよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
日本が条約を結んでいる国がアメリカと韓国。2つの国だけなんですよね。それ以外はないわけですから、引き渡しは現実的ではないと思います。
ハードルの高さは一つには、日本に死刑制度があることによって、世界的な風潮は死刑は廃止の方向というなかで日本だけ死刑制度にこだわっていると、引き渡ししにくい環境がある。ただ、日本には日本の事情がありますからね。各国に事情を理解してもらったうえで、条約を結べなくてもこういう事件が起きたときには引き渡してもらえるような、外交ルートを使ったチャンネルを考えていくしかないのではないかと思いますね。

(「イット!」9月1日放送)

<情報提供>
黒山警察署 072-362-1234