急速な円安のなか企業の経常利益が大幅に拡大。景気の底上げは実現できるか。
財務省は、2022年4月から6月の法人企業統計を発表した。
金融業・保険業を除く全産業で経常利益が28兆3181億円となり、前の年の同じ時期に比べ17.6%増えた。四半期では、統計をとり始めた1954年以降で最大だ。
世界経済の回復に急速に進んだ円安が加わり、輸出を中心に企業の収益が伸びた。設備投資は10兆6108億円で、4.6%増え5期連続で増加した。新型コロナ禍で慎重になっていた企業姿勢が前向きに変わり、製造業が13.7%増と大きく伸びた。
一方、同時に公表された2021年度の統計では、企業が利益を内部にためている「内部留保」にあたる利益剰余金が6.6%増えて516兆4750億円と初めて500兆円を超えて最大を更新した。
世界経済が落ち込むリスクが指摘されるなか、従業員の賃上げや生産性の向上を通じて景気の底上げを実現していけるかが日本経済の先行きを占うカギになる。