「これまで経験がない価格」…ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で、愛媛でも畜産業は餌などが高騰、生産者はかつてない事態と苦境を訴えている。

高騰する“餌代”…畜産業界に落ちる影

勢いよく餌をついばむニワトリ。

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愛媛・西条市の養鶏場「山本エッグハウス」。現在13万羽を飼育、1日6トンの卵を出荷している。この養鶏場が今、頭を痛めているのが…

山本エッグハウス・山本啓介社長:
今まで畜産やってきた方も経験したことない餌の価格になってまして、こればっかりは経営努力だけで何とかなるようなものではないので、非常に困っています

今、愛媛の畜産業界に大きく影を落としているのが、これまでになく高騰している餌代。ニワトリの餌はトウモロコシが6割、大豆由来の油かすが2割ほどで、大部分が輸入農産物だ。

ところが、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で…

山本エッグハウス・山本啓介社長:
令和2年10月までは、上がったり下がったりで安定した価格になってたんですけど、そこから今年7月の相場まではずっと上がり基調で、その間に3万2000円くらい、1トン当たり上がっています

1トン当たり3万円以上も値上がり。山本エッグハウスは年間4000トンの餌を使っていて、このままの状態が続けば1億2000万円も支出が増える計算。

「光熱費」「鳥インフルエンザ」も…トリプルパンチに苦悩

また、原油の高騰で電気料金の値上げもある上、卵の価格は需要と供給のバランスで相場が決まるため、業界全体で価格転嫁はできにくい仕組みになっている。

しかも、この養鶏場は2021年末に鳥インフルエンザの影響を受けて、営業が元の状態に戻りつつある中で、今回の事態に直面した。

山本エッグハウス・山本啓介社長:
昨年末、鳥インフルエンザの影響を受けて、今そこから再開して8割強のニワトリが再導入できた時点で、この餌の高騰に直面してるので、国からの餌の値上がり分の補塡(ほてん)っていうのはいくらかあるんですが、それでまかなえない所は借り入れなんかで補塡(ほてん)していかないといけないと思っています

飼料と光熱費の高騰をあわせて、まさにトリプルパンチ。肥料の高騰には国から補助が出ているものの、足りていないと苦境を訴えている。

山本エッグハウス・山本啓介社長:
品質のいい卵を安定的に供給していくには、当社の経営努力だけでは至らない所まで来てますので、国や行政の支援が早く整うと非常に助かります

JAや畜産団体は、愛媛県に餌などの高騰に対する対策を求めている。

(テレビ愛媛)

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