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今回は整形外科の専門医、かわかみ整形外科クリニックの川上洋平院長が、起床してすぐや運動時の1歩目に足の裏に痛みを感じる「足底腱膜炎」について解説。マラソン、ジョギングをする人や肥満の人がなりやすい足底腱膜炎、予防のためのストレッチ方法や症状が長引く際の治療法などを解説する。

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足底腱膜炎の原因

足の裏には、かかとの骨から足の指の付け根の骨をつなぐ線維が扇状の膜のような形になって広がっています。

これが「足底腱膜」と呼ばれるもので、模型で示すと、ゴムのようにかかとの骨と足の指をつなぐような形で繊維状の組織があります。この足底腱膜というのは、アーチ状になった足の土踏まずを支えている非常に重要な役割を果たしています。

また、足の衝撃を和らげるようなクッションの役割を果たしていますが、この足底腱膜に炎症を起こして痛みを生じる。それが「足底腱膜炎」の症状となっています。

診断としては、かかとの内側の痛みに加えて、整形外科ではレントゲンやエコー、MRIを用いて診断を行います。レントゲンでは、かかとの骨の部分を撮影して、足底腱膜の付着部に骨棘(骨のトゲのようなもの)が見られる場合があります。

また超音波の検査では足底腱膜の付着部が分厚くなったり、炎症を確認することができます。MRIでも炎症の範囲であったり、浮腫の範囲を確認することができます。

足底膜膜炎の原因ですが、マラソンやハイキング、長時間の立ち仕事などで土踏まずに過度な負担がかかると足底腱膜がかかとの付近で引き伸ばされるような力が繰り返しかかることになります。

この時に、足底腱膜に炎症や目に見えない小さい傷などが起こり、それが痛みの原因になると考えられています。

足底腱膜炎の患者さんの数は非常に多くて、人口の約10%ぐらいが罹患されていると言われています。また、足の裏の痛みで整形科を受診される方の同じく1割ぐらいの方に足底腱膜炎の症状が見られると言われています。

足底腱膜炎以外にも、足の裏が痛くなる病気として「足根管症候群」という足の神経が圧迫されて起こるような病気であったり、筋肉や腱が部分的に断裂している場合もありますので、痛みが続く方は整形外科を受診されることをお勧めします。

足底腱膜炎になりやすい方

測定腱膜炎になりやすい方としては、マラソンやジョギングなどを長距離で、特にアスファルト舗装された堅い道を走っていると足底腱膜炎になりやすいと言われています。

スポーツをよくされる方はもちろんですが、スポーツをされない一般の方でも、普段履いている靴が合わないであったり、中年以降の女性の方は加齢により足の筋力が低下したり、足首や硬くなってしまって足の裏への負担がかかってしまうと、足底腱膜炎になりやすいと言われています。

また、体重が増えることで足への負担が増加することによって、足底腱膜炎の症状が強く現れやすいと言えると思います。

体が硬いと腓腹筋、ヒラメ筋という下腿の筋肉ですよね。足の下腿の裏の筋肉が硬いと足首は硬くなるので、足底腱膜にかかる負担が増えてしまいます。そうすることによって足底腱膜炎になりやすいと言われています。

コロナで増えているということもあると思いますが、足底腱膜炎は運動する人に起こりやすいので、近年のマラソン、ジョギングをされる方の方が起こりやすいかなと思います。ただ、普段あまり運動していない、コロナでどうしても運動をしていない方が急にたくさんマラソンや運動することによって痛みが強く出ることはあると思います。

足底腱膜炎の症状と予防法

足底腱膜炎の症状ですが、起床時の立ち上がりの1歩目。また、歩き始めや練習開始時に疼痛が生じやすい傾向にあります。歩行量や練習量が増えると疼痛が増強することがあります。

軽症であれば、運動開始時に疼痛あるのみで徐々に改善していきますが、重症になると疼痛が増悪して運動の維持が困難となります。

かかとの少し内側を指で押すと強い痛みを感じるのは、足底腱膜炎に特徴的な症状と言えると思います。

足底腱膜炎を起こさないためには、十分なストレッチを行うことが大切です。

脚を両手で覆い、足の先から足首にかけて十分に反らします。その際、足の裏がピーンと伸びているように感じることが大切です。10回を1セットにして1日3セットぐらいを目安に行うようにしてください。

テニスボールを用いたストレッチも有効です。

土踏まずの部分でテニスボールを転がすようにしてストレッチをすることで、足底腱膜に十分な刺激を与えることで、足底腱膜のストレッチを行うことができます。

次に「タオルギャザー」といわれるタオルを用いたストレッチを紹介します。

タオルを足の指でたぐり寄せるようにして、足の指の筋肉を鍛えたりストレッチを行うことができます。余裕がある方は、ペットボトルなどを用いて負荷をかけることでさらに筋力をつけることができます。

その他にも適度な運動をしたり、自分の足に合った靴を履くことが大切です。靴が合わないと歩行時に足が動いてしまい、足底腱膜に負担がかかってしまうからです。

その他、運動を行う時のスポーツシューズは、軽くて薄い靴よりもクッションが入ったものを選ばれるのが良いと思います。ヒールなども、足底腱膜炎の症状を悪化させることがあるので、痛みが強い場合は避けることが望ましいとされています。

急に体重が増加することによって、足への負担が増えて、足底腱膜炎の痛みにつながる場合もあります。規則正しい生活をすることも痛みの軽減につながります。

足底腱膜炎の治療法

足底腱膜炎の治療法ですが、消炎鎮痛剤の内服や湿布などの外用薬を貼ること。スポーツが原因であれば、ランニングやジャンプなどの動作をしばらく控えることが大切です。

整形外科では、痛い箇所に電気を当てるような物理療法を行ったり。その他、装具療法としましては、体重がかからないようにかかとの骨の足底腱膜の付着部に穴を開けたアーチサポートなどのインソール、足底部のアーチの形態を維持するような治療方法を行うこともあります。

テーピングや市販で売られているようなかかとの骨にパッドを当てるような治療であったり、踵骨パッドと言われるかかとの骨に負担がかからないような装具を市販でも売っていますので、使って痛みが取れるのであれば問題ないかと思います。

また、難治性でなかなか治らないような足底腱膜炎に対しては、ヒアルロン酸という注射を局所に行ったり、体外衝撃波という衝撃波を当てて足底腱膜炎の疼痛を除去するような治療も行っています。

重症化した場合は、歩行困難につながるような症例もあります。痛みが続く合、歩行時に強い痛みを感じるような場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

川上洋平
川上洋平

神戸大学医学部、神戸大学大学院修了 米国ピッツバーグ大学に留学
北播磨総合医療センター主任医長、新須磨病院整形外科医長などを経て
かわかみ整形外科クリニック 開院
• 医学博士
• 日本整形外科学会専門医
• 日本整形外科学会認定スポーツ医
• 日本整形外科学会認定リハビリテーション医
• 日本整形外科学会認定リウマチ医
• 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
• 再生医療学会認定 再生医療認定医など