大阪の「あめおばちゃん」を知っているだろうか?

電車などに現れては、いろんな人に「あめ、もってき!」と配りまくるおばちゃんが大阪にはいるそうだ。そんな独特の「あめ文化」をもっと活性化させようと、「あめおばちゃん」が大活躍するキャンペーンが計画されている。

(出典:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
(出典:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
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「世界一おもしろいお菓子屋さん」を自称するキャンディーショップの「PAPABUBBLE(パパブブレ)」は、大阪に新店舗をオープンするのに合わせ「あめおばちゃん」を募集し、電車内や街頭での「あめ、いらん?」の声掛けとキャンディーの配布を予定しているのだ。

スペイン・バルセロナ発祥で日本や世界中に展開するパパブブレは、大阪にすでに2店舗を構えており、新たに南海なんば駅直結の複合施設「なんばパークス」に、新店舗を9月16日オープンする。これに合わせ、店舗の公式イメージレディーとして、時給1500円のパートタイムで働く「あめおばちゃん」を募集した。(募集は既に締め切っている)

なんばパークス(イメージ)
なんばパークス(イメージ)

ただし「おばちゃん」と言っても、応募条件では年齢・性別は不問。必要なのは「ネイティブレベル」の大阪弁と、日常会話レベルの東京弁。

さらに「困っている人の気持ちが読める」と自負するぐらいの積極的なコミュニケーション能力と、「70~90デジベル程度のよく通る声」となっている。ちなみに、70デシベルは近くにいるセミの声、90デシベルはカラオケの音量ぐらいだと言うので、相当大きな地声の持ち主でなければならないようだ。

(出典:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
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金太郎飴的な店にはしたくない!大阪らしさを考えた

予定では、応募者の中から9月7日にオーディションを行って2人ほどを正式採用するという。そして新店舗がオープンした後の9月17・18日に、電車や、なんばパークス内で「あめ、いらん?」と声を掛け、キャンディーを配るそうだ。またリリースには「通行人への道案内、人生相談などは業務に含まれません」と書かれており、今回はあめの配布に専念してもらうという。

ところで大阪弁「ネイティブ」とは、どのように判断するのだろうか? そもそも、なぜ「あめおばちゃん」キャンペーンを思いついたのか? PAPABUBBLE代表取締役社長の横井智さんに聞いてみた。


――なぜ「あめおばちゃん」を募集しようと考えた?

あめの神さまが降りてきました。国内のパパブブレ店舗数が増えてきたため、いわゆる金太郎飴的な店舗にはしたくないなと考えていました。なんば店をオープンすることになり、大阪らしい特長あるサービスを考えていたのですが、そのときふと頭に浮かんだのが、あめおばちゃんがいる日常風景でした。

新店舗のデザイナーさんが、あめおばちゃんのイラストを描いてくださったのですが、そのおばちゃんが「あめ、いらん?」と街中や通勤電車の中で、パパブブレのお洒落なキャンディを突然配り始めるシーンが鮮やかにイメージされました。

提供された おばちゃんの画像
提供された おばちゃんの画像

自社のキャンディーには一度食べて頂いたら、手作りならではの味と食感に感動してもらえると自信があったので、大阪文化とキャンディーのPRができると考えて、今回のプロジェクトを南海電鉄さんに提案しました。


――すでに大阪には2店舗あるが、「あめおばちゃん」キャンペーンは初めて?

大阪はもちろん、世界中のパパブブレでも初の試みです。

(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)

リアルにあめを配っている「大阪レディ」からの応募も

――公募では、どんな人が何人集まった?

想定よりお若い40~50代の大阪レディ15名から問合せを頂きました。日頃リアルにあめを配っている方や、パパブブレファンの方から、CA、ボディビルダー、YouTuber、テーマパークのゾンビ役まで多彩な方が、あめ配りに対する熱い想いを語ってくださいました。


――本当に大阪ではあめを配ってるおばちゃんがいるの?

います。応募してくださった大阪レディの多くが、日常からあめを配っていらっしゃいました。
今回の活動を通じて、他人へ関心や好奇心を持つ“お節介焼き”が増え、もっと多くのあめおばちゃんや、あめおじちゃん、おねえちゃん、おにいちゃんが現れたら、うれしいですね。


――ネイティブレベルの大阪弁、70~90デシベルの声はどうやって測るの?

応募の段階では自己申告ですが、条件を満たさない心配はなさそうな方ばかりです。9月7日にオーディションを行い、生粋の大阪人を審査員にして、語学力を確認する予定です。声はこっそりデシベルを測定しますが、応募メールを拝見する限り皆さんエネルギーに溢れて呼び込み経験などもあり、その必要もなさそうです。


――仕事の前にはどんな研修を行うの?

声のかけかたなど最低限のルールだけお伝えして、あとはできるだけリアルな大阪レディの言動を引き出したいと考えています。いきなり街中で見知らぬ人から大きな声で「あめ、いらん?」と声をかけられる訳ですから、通行人の方に不快な思いをさせないようにだけ留意します。

(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)

本当は通勤電車でやりたかったけど…怒られますよね

――あめの配布はドコでやるの?どんな電車?

今回は南海電鉄さんの特急サザンと特急ラピート(指定席)でのみの配布となります。本当は、通勤帰りの普通電車の中に、あめおばちゃんが突然現れて「仕事えらいなぁ。おつかれさん。あめ、もってき」とバッグから取り出したあめを配りまくるシーンを実現させたかったのですが、怒られますよね。

なんばパークスでは、駅改札を出てすぐ近くのシースルーエレベーター前から、ガーデン入口前(2F)までのエリアで配布の許可を頂いています。2時間の制限時間があるのですが、時間内目一杯あめをお配りしたいと思います。


――「あめおばちゃん」はどんな格好なの?

応募者の方には普段着でお願いしたいと考えています。たとえば虎柄やヒョウ柄は、5年以上前に大阪では下火になりつつあり、現在では地方にその文化が波及したと耳にしたことがあります。

どんなファッションが飛び出すかわかりませんが、リアルな大阪らしさ、本物の大阪レディの今のファッションも今回、発信できたらうれしいです。


――どんな飴を配るの?

大阪文化を象徴するアイコンの絵柄入りを1種、大阪レディらしい“おせっかい焼き”なひと言メッセージ入りを1種、ブレンドして配る計画です。応募してくださったリアル大阪レディの皆さまからも、アイデアを募りたく考えています。


――その後の「あめおばちゃん」はどうなる?

現在、9月17・18日と、10月29・30日(ハロウィン)の2回の活動が予定されています。前例のない試みで、関係者の懸念も強かったため、まずはこの2回で街の声を拾い、問題がないこと、大阪文化とパパブブレの利益に貢献することを証明して、今後も第2弾、3弾と活動を継続していきたいです。

(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)
(出店:株式会社PAPABUBBLE JAPAN)

「あめおばちゃん」といえば、関西のお笑い芸人がモノマネするなどメジャーな存在のようだが、他の地域ではあまり聞いたことがない。そんな謎の存在を見てみたい方は、予定日の配布エリアに出かけてみてはいかがだろうか。もっとも、リアルな「あめおばちゃん」もいるそうなので、この日に関係なく会えるものなのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。