8月12日に初日を迎えた女子プロゴルフのNEC軽井沢72ゴルフトーナメント。大会出場選手の中に、プロ3年目、飛躍の時を迎えようとしている選手がいる。安田祐香、21歳だ。

アマチュア時代から、その名を轟かせていた安⽥は、⾼校2年でアマチュア⽇本⼀の栄冠を⼿にする。

高校時代の安田祐香
高校時代の安田祐香
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トップアマチュアとしてプロのトーナメントに出場しても、正確なショットを武器に結果を残し続け、出場した20試合のうち19試合で予選通過。2019年には海外メジャーのエビアン選⼿権でベストアマにも選ばれた。

さらに、その年のプロテストは⼀発合格。道のりは、まさに順⾵満帆だった。

プラチナ世代の筆頭に訪れた試練

しかしプロになった直後から思いがけない転機を迎える。

「初めてこんなにゴルフが出来ない状況になったし、⾊んな⼈に⼼配されるし。勢いで(プロの世界に)来てしまって、ちょっと壁にぶち当たるというか…」

アマチュア時代はプロの試合に出場しても20試合でわずか1度しかなかった予選落ちを12回経験。20-21年シーズンの賞金ランキングは69位。頸椎(けいつい)捻挫で⾸や背中を痛めた影響は、それほどまでに⼤きなものだった。

さらに出身である兵庫県の滝川第⼆⾼校の同級⽣には、同じプロゴルファーの古江彩佳がいる。

安⽥が度重なる怪我に苦しんでいる間に、ルーキーイヤーから賞⾦⼥王争いを演じ、20-21年シーズンには6勝をあげ賞金ランキング2位。アメリカツアーに挑戦し、早くも1勝をものにしている。

安田と同級生の古江彩佳
安田と同級生の古江彩佳

プラチナ世代の筆頭として注目され、ただでさえ比較されやすい環境に身を置いて来た安田にとって、有形無形のプレッシャーとなっていた。

身体作りを見直した今シーズン

迎えたプロ3年⽬。まず⽬を向けたのが、1年間を戦い抜くための身体作り。これまで避けてきた筋⼒トレーニングを本格的に導⼊。プロゴルファーとしてはきゃしゃな身体に鞭を入れた。

さらにコンディショニングにも注意を払い強化に努めた。

その結果「以前よりも体幹が強化され、体の耐久性がアップした」と安⽥。

練習から怪我を恐れず振り抜くことができるようになり、スイングにも変化が訪れた。

怪我の影響でアマチュア時代と⽐べて落ちていた、ドライバーの⾶距離が改善。一度は約226ヤードまで落ちていた平均飛距離が、今季は約232ヤードに回復。好調だったアマチュア時代の240ヤードに迫りつつある。

さらにドライバーの復調をきかっけに、正確なショットが戻ってきたのだという。

「やっぱり飛距離が伸びたのと、振れてきているなと感じる試合もあります。結構⾃信を持てるようになりました」

愛犬に癒されながら目指す初優勝

さらに今、1つの壁を乗り越えようとしている安田に安らぎを与えているのが、愛⽝と過ごす時間だ。

愛犬「イブ」に癒やされる安田
愛犬「イブ」に癒やされる安田

――この⼦の名前は︖
イブちゃんです。かわいいし懐いてくれるし。癒されますね。

――もしかして、「イブ」って名前は安田選手の誕生日からですか? 
あ、そうなんですよ!

――シーズン中もワンちゃんと触れ合うことは多いんですか? 
そうですね、帰ったら遊んだりします。

――会いに帰ったりするんですか?
まぁ、会いに帰ってるみたいな感じです(笑)。

今年4⽉のフジサンケイレディスクラシックでは、プロ転向後初の最終⽇・最終組を経験。3位タイに入ると、その後もメジャー大会のワールドレディスで7位タイに入賞。

初優勝は、⼿を伸ばせば掴めそうなところまで近付いている。

――同世代が活躍していく中で焦りの部分は無いですか?
無いですね。

――やることをやって勝つみたいな?
早く成績は出したいですけど、出ると信じて練習してます。

――周りから「初優勝に向けて頑張って」と言われることをどう感じますか?
「全然だめじゃん」と言われるよりはポジティブな言葉をかけてくれる方の方が多いので、バネにしたいと思います。

――「初優勝」という言葉がプレッシャーになったり、焦りは?
無いと思います。

自信をつかんだその瞳はまっすぐに、前を見定めている。

今週開幕したNEC軽井沢72ゴルフトーナメントは、彼⼥の所属企業が主催する⼤会。

「私にとって特別な⼤会ですし、ここで初優勝をできるようにしたいです。誰にも負けたくないです」

NEC軽井沢72ゴルフトーナメント2022
8月13日(土)午後3時00分~3時55分 生中継
8月14日(日)午後1時35分~3時00分 生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/golf/karuizawa72/index.html