先月29日、神奈川県・厚木市の駐車場で、車の中に放置された末に、幼い姉と弟が死亡した。母親の長沢麗奈容疑者(21)が、今月2日、保護責任者遺棄の疑いで逮捕され、事件の真相が、少しずつ明らかになってきた。

車内に放置 幼い姉弟が”熱中症死”

「子どもが車内でぐったりしている、意識がない」。先月29日午後4時51分、長沢容疑者は、自ら119番通報をした。現場は、厚木市の「ぼうさいの丘公園」駐車場。救急隊員が駆けつけると、長沢容疑者は、娘の姫梛(ひな)ちゃん・2歳と、息子の煌翔(こうが)ちゃん・1歳に、心臓マッサージをしていたという。

通報内容の通り、2人は、すでに意識不明の状態だった。体温は40度を超えていたそうだ。すぐに病院に運ばれたが、弟の煌翔ちゃんは、その日のうちに息を引き取った。後を追うように、姉の姫梛ちゃんも、4日後に亡くなった。2人の死因は「熱中症」に伴う多臓器不全だった。

送検される長沢麗奈容疑者(21日)(3日午前 小田原署)
送検される長沢麗奈容疑者(21日)(3日午前 小田原署)
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神奈川県警厚木署は、2人が発見された日から、長沢容疑者に対する事情聴取を重ねた。当初、長沢容疑者は、「公園に来て、子どもと遊んでいた。子どもが寝たので、後部座席に寝かせていた。自分は前の席でスマートフォンを触っていた」と説明していたという。

また、車内の状況については、「窓は開けて、エアコンはつけていなかった。近所に迷惑だと思い、エンジンを切っていた」と話していたそうだ。ところが、現着した救急隊員は、車の窓が開いていなかったのを確認していた。長沢容疑者の”言い分”に綻びが見え始めていた。

母親がついた”ウソ”

その後の調べで、長沢容疑者が、当時、公園にはいなかったことも明らかになった。実は、公園近くの知人男性宅を訪れていたというのだ。車も、知人宅の近くに止めていたそうだ。長沢容疑者が、1時間ほど、”時を過ごして”、車に戻ると、すでに姉弟は、ぐったりしていたという。

幼い姉と弟が意識不明の状態で見つかった車(先月29日 神奈川・厚木市)
幼い姉と弟が意識不明の状態で見つかった車(先月29日 神奈川・厚木市)

しかし、長沢容疑者は、その場で救急車を呼ばなかった。わざわざ、車を公園の駐車場まで移動させて、そこから119番通報をしていたのだ。なぜ、警察官にウソの説明をしたのか。なぜ、車を移動させてから、助けを呼んだのか。子どもを車内に放置したことを隠そうとしたのか。

救急隊員が、現場で目にしたのは、”片手”で、我が子に心臓マッサージをする長沢容疑者の姿だった。その救命措置は演技だったのか。本人は「車のクーラーは付けていた」と主張しているようだが、エンジンは切られていた可能性が高い。