鹿児島・大隅半島の肝付町に、1年を通してたくさんのツバメが集まるガソリンスタンドがあり、縁起が良いと地元で話題になっている。

“ツバメが巣を作ると幸せに…” 50組以上が子育て

「縁起が良い」と地元で話題のガソリンスタンド
「縁起が良い」と地元で話題のガソリンスタンド
この記事の画像(11枚)

のどかな田園風景の真ん中にある、ガソリンスタンド。多くの人が給油に訪れている。一見ごくごく普通のガソリンスタンドだが、天井を見上げてみると…、

天井にはたくさんのツバメの姿が
天井にはたくさんのツバメの姿が

たくさんのツバメの姿が。天井の巣の中や、筋交いにいるのはもちろん、近くの電線に止まっているのも全てツバメだ。
ガソリンスタンドに来た客も「子どもたちを連れて見に来たことがある。これだけたくさんいるのはすごい。あまり聞かないですよね」「縁起が良いガソリンスタンドが近場にあっていいですね」と笑顔を見せる。

ガソリンスタンドを経営する西平三郎(にしひら・さぶろう)さん(72)は、子どもの時、「ツバメが巣を作ると幸せが訪れる」と教えられて以来、ツバメがやってくる日をずっと待ち望んでいたという。

西平三郎さん:
えんび服。親から「モーニングの姿を見てごらん、ツバメの姿にそっくりだろう」と。任命式、表彰式で欠かせない洋装だと教わってきた

そんな西平さんのもとに初めてツバメがやってきたのは、10年ほど前のことだ。最初は1組のつがいだったが、年々その数は増えていき、2022年は50組以上のツバメが巣を作った。

子育ての真っ最中のツバメたち。

西平三郎さん:
私の子どもと同じです。その日によって表情も様子も一羽一羽違うし。おそらく考え方も違うんだろうなあ

「感動もの」日本野鳥の会から感謝状

ツバメの様子に「感動もの」と語る日本野鳥の会メンバー
ツバメの様子に「感動もの」と語る日本野鳥の会メンバー

そんなツバメのうわさを聞きつけて、日本野鳥の会のメンバーがやってきた。これだけのツバメが1カ所に住み着くのは、珍しいことだという。

日本野鳥の会 かごしま県支部・柳田一郎 支部長:
感動ものですね。こちらはさらに野性的ですよね。ここを完全にツバメのために使っている

日本野鳥の会の柳田さんがそう驚嘆するのは、ガソリンスタンドの一画にある、ツバメの専用部屋のようになっているスペース。
ここでは普段、車の点検や修理が行われているが、部品などがツバメのふんで汚れないよう、壁や床はブルーシートで覆われている。

西平三郎さん:
鳥インフルエンザが怖くて、毎日消毒するものだから、コンクリートが白くなって。病気が出たら大変だと思って

また、鳥インフルエンザ対策で毎日消毒しているので、ここだけコンクリートが白くなってしまったという。

こうした対策をしながらも、ツバメの子育てを見守ってきた西平さんをたたえ、日本野鳥の会は感謝状を贈った。

西平さんには日本野鳥の会から感謝状が贈られた
西平さんには日本野鳥の会から感謝状が贈られた

日本野鳥の会 かごしま県支部・柳田一郎 支部長:
いつもツバメたちを温かく見守ってくださり、ありがとうございます。これからも人とツバメの共存が続くことを願い、ここに深く感謝の意を表します

西平三郎さん:
今後も従業員一同、ツバメの住みやすい、子育てしやすい環境になるようにやっていきたい

好条件が重なりツバメが集う場に…翌年また戻る日を楽しみに

表彰から1カ月がたった7月28日。再びガソリンスタンドを訪れてみると、多くの子ツバメたちが巣立ち、ほとんどの巣が空っぽになっていた。2022年は、500羽近くのヒナが巣立ち、30羽ほどがこの場所に残ったという。

西平三郎さん:
ツバメが平和を運んでくれたら、これ以上のことはないなと思っています

2023年は、何羽が戻ってきてくれるのか。西平さんは、ツバメたちを温かく出迎える準備をしながら、その日を楽しみに待っている。

このガソリンスタンドにこれだけ多くのツバメが集まったのは、近くには田んぼがあり、巣作りに必要な泥を集めやすいこと、餌が豊富なこと、また天敵が来ない安心な場所だという好条件が重なったからだとみられている。

西平さんによると、同じ大隅地区でほかに4軒のガソリンスタンドを経営していて、そこにもツバメが巣を作っているということだ。

(鹿児島テレビ)